【プロが教える】木材のカビ取り|おすすめの5つのカビ取り剤

「木の窓枠に生えたカビってどうやって取るのだろう」
「洗い流すことのできない木製家具のカビを取りたい」

木材についたカビを取ろうとすると、以下の2つのことが問題になります。

  • 洗い流しの必要なカビ取り剤が使えない
  • 素材を傷めて強度や意匠性を損ねる

実際、木材のカビの多くは、窓枠やベッド等の大型家具など室内で発見することが多いため、丸洗いができなかったり替えがきかなかったりするものが多いです。

しかしカビを放置するのは、見た目が気持ち悪いだけでなく、健康面への悪影響も心配です。

木材のカビ取りは、「洗えない」「室内から動かせない」ことを前提に、素材を傷めないカビ取り剤を選ぶ必要があります。

そこでこの記事では、木材のカビ落としに使えるおすすめの商品と、場所や原材料別の木材のカビ取り方法について、分かりやすく解説します。

この記事でわかること


  • 木材のカビにおすすめのカビ取り剤を知ることができる
  • 場所別の木材のカビ取り剤の使い方を知ることができる
  • 木材に生えるカビを知ることができる
  • 木材をカビから守る方法を知ることができる

この記事を読むことで、木材に生えたカビを取り除き、見た目にも衛生的にも気持ちの良い空間を手に入れることができます。

 

1.木材のカビ取りは市販のカビ取り剤で取れるのか

木材についたカビも、市販のカビ取り剤で落とすことができます。

しかし、そもそも木材に使うことをおすすめできない成分を含んだカビ取り剤が多いのです。

木材のカビで悩んでいるあなたに、まずは下記のことをご説明していきます。

  • 木材のカビに塩素系や酸素系の漂白剤は使うべきではない
  • 木材のカビ取りにはエチルアルコールと次亜塩素酸水を使うべき

その上で、木材についたカビの色や状態に合わせた、正しい液剤の選び方をお伝えします。

 

1-1.木材のカビに塩素系や酸素系の漂白剤は使うべきではない

風呂場やキッチンなどで使うカビ取り剤で、木材についたカビは取れるのでしょうか。

結論から言うと、カビは取れます。

しかし、確かにカビは取れますが、一方で木材そのものを傷めてしまうことで強度が落ちたり、洗い流せないことによって不要な成分が内部に残ることで、腐食したりする危険が出てきます。

以下は、一般的なカビ取り剤に使われている液剤の液性です。

種類 液性(ph)
塩素系漂白剤 アルカリ性
酸素系漂白剤 弱アルカリ性

カビそのものは酸性のため、アルカリ性の液剤で取り除くのがもっとも効果的です。一般的なカビ取り剤の多くが塩素系漂白剤や酸素系漂白剤を主成分に使っているのは、こうした理由からです。

しかし、住宅で使われる建具や木製家具などの木材の多くは弱酸性のため、アルカリ性の液剤を使うと変色したり、場合によっては劣化の原因にもなったりします。

木材についたカビを取るのに、塩素系漂白剤や酸素系漂白剤の入った一般的なカビ取り剤を使うことは、おすすめできません。

 

1-2.木材のカビ取りにはエチルアルコールと次亜塩素酸水を使うべき

弱酸性の木材についたカビを取るには、木材と同じ弱酸性または中性の液剤を使います。

カビの菌を死滅させる効果のある、弱酸性および中性の液剤は、以下のふたつです。

種類 液性(ph)
エチルアルコール 中性
次亜塩素酸水 強酸性〜微酸性

エチルアルコールも次亜塩素酸水も、カビのタンパク質を溶解させたり変質させたりすることで、カビ菌を死滅させます。

ちなみにエチルアルコールとはエタノールのことです。

カビ取りには、エタノールの中でも殺菌力が高い消毒用エタノールを使用するようにしましょう。

次亜塩素酸水は、「次亜塩素酸」「次亜塩素酸カルシウム」「ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム」という成分で表記されています。

上記の2つの液剤は、塩素系や酸素系の漂白剤のようにカビを死滅させる効果があります。

参考:文部科学省カビ対策マニュアル[基礎編]

【!注意!】「次亜塩素酸水」と「次亜塩素酸ナトリウム」はまったく別のもの

塩素系漂白剤の成分は「次亜塩素酸ナトリウム」というもので、名前は似ていますが性質はまったく異なるものです。

次亜塩素酸水 次亜塩素酸ナトリウム

(塩素系漂白剤)

液性(ph) 強酸性〜微酸性 アルカリ性
カビの殺菌力
人体への害 ほとんどない あり
洗い流し 金属の場合は必要 常に必要

次亜塩素酸ナトリウムを水で薄めても、次亜塩素酸水にはなりません。成分表示をよく確認し、正しく使ってください。

参考:厚生労働省 新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について

 

1-3.木材のカビ取りはカビの状態や色で使い分ける

木材のカビ取りができるふたつの液剤は、以下のように性質や利点が異なります。

エチルアルコール 次亜塩素酸水
液性(ph) 中性 強酸性〜微酸性
カビの殺菌力
黒ずみ除去 できない できる
人体への影響 ほとんどない ほとんどない
洗い流し 不要 金属の部分は必要
保存 原液で長期保存可能 時間と共に急速に効果が消失

特に着目したい違いが、「黒ずみの除去ができるかどうか」と「保存期間」です。

カビが木材の表面だけに生えている場合は、エチルアルコールでの拭き取りがもっとも手軽で効果的です。

表面カビの除去と、カビ菌の死滅を同時に行うことができます。

木材が黒く変色を起こしている場合、次亜塩素酸水を一定時間浸透させることで、黒ずみの緩和ができます。

カビの死滅と、見た目の復活に最適です。

ただし、次亜塩素酸水は製造時または水溶液作成時をピークとして、除菌力が時間と共に下がっていくものです。そのため、水溶液になっているものを買った場合は3ヶ月ほど、自分で水溶液を作って使用する場合は3週間ほどで使い切る必要があります。

黒い変色をなくすために浸透時間を置く際にも、塗り直しを行う必要があるので注意してください。

カビの状態や木材の変色具合、使い勝手などから、シーンに合った液剤を選びましょう。

 

2.木材のカビにおすすめのカビ取り剤5選

木材のカビを除去できる、エチルアルコールと次亜塩素酸水を主成分とした、おすすめの商品は以下の5つです。

エチルアルコール

■健栄製薬 消毒用エタノール

■ドーバー パストリーゼ77

■ジェームズマーティン フレッシュサニタイザー

 

次亜塩素酸水

■エスエーシーラボ ジアニスト

■除菌研究所 次亜塩素酸水生成パウダー

それぞれの特徴と、購入できる場所をご案内します。

 

2-1.エチルアルコールのおすすめ商品

■健栄製薬 消毒用エタノール

出典:Amazon

カビに有効な高濃度のアルコールを含有し、原液のままカビ取りをしたり、水で薄めて日常的な除菌に使ったりすることができます。
ドラッグストアなどでも安価で購入でき、長期保存が可能なので家に一本あると便利です。

有効成分 エタノール(濃度76.9~81.4vol%)
参考価格 1,200円(500ml)



 

■ドーバー パストリーゼ77

出典:ドーバー酒造株式会社

酒造会社のノウハウから生まれたアルコール製剤です。アルコール含有率77%と高濃度で、カビをはじめとした多くの細菌やウィルスを除菌します。こちらもドラッグストアなどでも購入できるので、思い立った時にすぐにカビ除去ができます。
スプレー式ですが、表面カビに直接吹き付けると胞子が拡散してしまうため、拭き取りを行う際は清潔な布に噴射してから使うようにしてください。

有効成分 発酵アルコール(濃度77v/v%)
参考価格 1,058円(500ml)



 

■ジェームズマーティン フレッシュサニタイザー

出典:株式会社ファーストコレクション

外食産業の現場から生まれたアルコール製剤です。一般的なアルコールスプレーでは除菌が難しいとされている、ノロウィルスなどのノンエンベロープウイルスの除菌にも有効。主成分がエタノールながら、リンゴ酸配合によりphが弱酸性になっているため、木材のアルカリ性化による黒ずみを中和して復活させます。
キッチン用品やキッチン周辺の木材のカビ取りに、安心して使うことができます。

有効成分 エタノール
参考価格 1,338円(500ml)



 

2-2.次亜塩素酸水のおすすめ商品

■エスエーシーラボ ジアニスト

出典:エスエーシーラボ株式会社

人間の肌に近い微酸性の次亜塩素酸水なので、部屋の中にできたカビの除去に原液のまま使うことができます。水道水で希釈することで、日常的な除菌や消臭にも安全に使えます。
こちらは水溶液で販売しているものなので、冷暗所で保管し、おおよそ3ヶ月以内に使い切るようにしてください。



 

■除菌研究所 次亜塩素酸水生成パウダー

出典:amazon

水道水に溶かすことで、次亜塩素酸水を生成することのできるパウダーです。粉末状の次亜塩素酸は長期保存できるため、使う時だけ都度水溶液を作ります。
濃度を薄めて作れば、家の中の日常的な除菌にも使うことができます。



 

3.【場所別】木材のカビ取り剤の正しい使い方

木材についたカビは、以下の手順で取り除きます。

木材についたカビの取り方
STEP1 ゴミやほこりを取り除く
STEP2 エチルアルコールを含ませた清潔な布で拭く
STEP3 次亜塩素酸水を含ませたキッチンペーパーをカビの生えていた箇所に貼って15分ほど置く
STEP4 色素が取れていなければ、次亜塩素酸水をさらに含ませてもう15分置く

木材のカビ取りに使えるふたつの液剤は、どちらも粘性がないため、壁や天井などのカビ取りに使うと、液ダレしてしまうことがあります。

また、木製家具のカビ取りをする場合、液剤の使い方を間違えると塗装を溶かして風合いを損ねることがあるため、どのような塗装がされているかを判断し、木材への悪い影響ができるだけでないようなひと手間が必要になります。

カビ取り効果をしっかりと高めるため、以下の場所別に、特に注意したい液剤の正しい使い方をご紹介していきます。

  • 窓枠
  • 大型家具
  • 天井
  • フローリング

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

3-1.窓枠についたカビの取り方

木の窓枠についたカビは、表面だけのものか、黒ずんでいるかで以下のように液剤を使い分けます。

カビが表面だけに生えている エチルアルコールで拭き取る
カビとともに黒ずんでいる 次亜塩素酸水を染み込ませて浸透時間を置く

木枠が黒ずんでいなく、表面だけにカビが生えている状態であれば、エチルアルコールで拭き取りをするだけでカビを取り除くことができます。

清潔な布にエチルアルコールを含ませ、カビの生えている箇所を拭き取ります。

アルコールは揮発しやすいため、こまめに清潔な面に変えながらアルコールを含ませて拭き取りをしてください。

注意したいのは、スプレー式のエチルアルコール製剤をカビに直接吹き付けないこと。

カビの胞子を拡散させ、別の場所にカビを移動させる可能性があります。

カビが生えているだけでなく木枠が黒ずんでいる場合は、次亜塩素酸水を使って色素を取り除きます。

キッチンペーパーを使い、液剤を十分に染み込ませて浸透時間を置くと、カビに酸素を送らず死滅効果を早めることができます。

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3-2.大型家具についたカビの取り方

大型家具の場合も、木材に黒ずみがあるかないかで、エチルアルコールと次亜塩素酸水を使い分けます。

表面カビだけであればエチルアルコールによる拭き取り、黒ずみを伴うカビであれば次亜塩素酸水によるつけ置きを行ってください。

ただし家具表面の塗装によっては、液剤の使用で塗装が溶けてしまうことがあります。

液剤を使用する前に、目立たないところで試したり、塗装の種類を確認することが大切です。

主な塗装の種類と、液剤の相性は以下の通りです。

エチルアルコール 次亜塩素酸水
ウレタン塗装
ラッカー塗装 × ×
水性塗装
オイル仕上げ ×

基本的に、どちらの液剤もラッカー塗装を溶かしてしまいますが、ふだん目につかない部分への使用であれば、1〜2回使用する程度でしたら大きな問題はありません。

オイル仕上げの家具についても、基本的にどちらの液剤もオイルを落としてしまうものですが、液剤の使用後に再度オイルコーティングをすれば、風合いは復活します。

オイルコーティングは自分でも簡単に安全にできるため、液剤使用後のメンテナンスを適切に行うことができれば、どちらの液剤でも問題はないと言えます。

家具のカビ取りに関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。

■関連記事■プロが教える正しい家具のカビ取りと6つのカビ対策【タンス・棚・ソファetc.】

 

3-3.天井についたカビの取り方

天井は手が届きにくく、また液ダレしやすいためにカビ取りにおいて工夫が必要な箇所です。

天井についたカビを取るには、以下のアイテムがあると効果的です。

  • 刷毛
  • ビニール袋
  • 養生テープ

この3つのアイテムと液剤を用いて、以下の手順でカビ取りを行います。

天井のカビ取り手順
STEP1 カビ取りしたい箇所をカバーできる大きさのビニール袋を用意する
STEP2 カビ取りしたい箇所に、刷毛で次亜塩素酸水を塗り込む
STEP3 ビニール袋でカビ取りしたい箇所を覆う
STEP4 養生テープでビニール袋を固定する

このやり方であれば、液ダレの心配がなく、カビに酸素を送らないため、死滅を早めることができます。

慣れない姿勢での貼り付け作業に時間がかかることもあるため、すぐに揮発してしまうエチルアルコールではなく、次亜塩素酸水を使った方が良いでしょう。

天井のカビの怖さやカビ取り方法はコチラの記事で詳しく解説しています。

■関連記事■天井のカビは壁の13.5倍危険!?天井のカビを一瞬で除去する方法を徹底解説

 

3-4.フローリングについたカビの取り方

フローリングに生えたカビを取る場合、液剤の使用後に必ず乾拭きをしてください。

エチルアルコールはフローリング表面のワックスを溶かしてしまうため、放置しないことが大切です。

次亜塩素酸水はエチルアルコールほどワックスを溶かすことはありませんが、汚れがあると汚れに作用してすぐに水に還元してしまうため、使用の前に汚れを取ってから使うようにしてください。

床のカビ取りに関しては、コチラのサイトでも詳しく解説しています。

■関連記事■フローリングのカビ取りは間違いやすい!?悪化させない正しいカビ取りと予防法をカビ対策のプロが解説

■関連記事■床のカビ取りと予防をカビ対策のプロが徹底解説【フローリング・クッションフロア・カーペット】

 

また、押入れやクローゼットというような場所も、木材が使われていることがほとんどです。

押入れやクローゼットのカビ取りやカビ対策については、コチラの記事で解説しているので参考にしてみてください。

■関連記事■カビ取りのプロ直伝!押入れのカビ取りと二度と再発しないための対策

■関連記事■カビ取り業者が教える!クローゼットのカビ対策マニュアル

■関連記事■【カビのプロが教える】クローゼットのカビ対策と最強のアイテム10選

 

サウナのカビ取りは以下の記事で解説しています。

■関連記事■サウナのカビで売上激減!?サウナのカビ対策とカビ取りをプロが徹底解説

 

4.自力でカビ取りできないならカビ取り業者に相談する

木材のカビは一般的なカビ取り剤を使用することができないため、カビの色素が残ってしまったり、カビが完全に死滅せずに再発してしまったりすることがあります。

木材のカビ取りは難しいので、個人では無理だと思ったらカビ取り業者に依頼しましょう。

専用のカビ取り剤で木材に発生したカビを根本から除去してくれますし、万が一カビが酷くて業者でも除去しきれない時はリフォームなどの提案をしてくれます。

ハーツクリーンは、これまでに10000件以上のカビの調査、5000件以上の施工実績があり、官公庁や上場企業など大規模な施工経験も豊富です。

また弊社では海外の国立大学と提携してカビ取り剤を自社開発し、液剤の独自性と施工方法が認められ世界初のカビ対策工法として特許取得もしました。

カビ取りだけでなく防カビにも力を入れており、カビの再発率は3年で5%以下と業界最高レベルの品質を提供しています。

弊社では無料で相談も行っておりますので、自力でカビ取りできるのか、業者に依頼するべきか分からない時も、まずは一度ご相談ください。

 

5.【材質別】カビの生えやすい木材とカビの生えにくい木材

木材の材質によって、カビの生えやすいものと生えにくいものがあります。

木材ごとのカビの生えやすさは、以下のようになっています。

カビおよび変色菌に対する木材の抵抗性
カビへの抵抗性が高い ヒノキ、ヒバ、サワラ、ケヤキ
カビへの抵抗性がある スギ、アピトン
カビへの抵抗性があまりない モミ、シナ、トチ、ハン、タモ
カビへの抵抗性がほぼない マツ(パイン)、ブナ(オーク)、ラミン、アンベロイ、タケ

参考:『木材に発生するカビとその防止法』井上嘉幸

比較的安価で加工のしやすいパイン材やオーク材といった木材は、水分含有量が多いために、カビの生えやすい材質と言えます。

もちろん、乾燥や塗装で防カビの処理や加工はしていますが、木材のもともとの性質に、カビの生えやすさや生えにくさがあるということは、知っておいても良いでしょう。

カビそのものでは木材の強度は落ちない

カビは「表面汚染菌」と呼ばれるもので、木材の表層面で繁殖をします。木材がもともと持っているアミノ酸やタンパク質、糖類のほか、木材に付着した汚れなどを栄養源にするのです。

 

実は、カビの生えた木材を何年もそのまま放っておいたとしても、木材の強度や耐久性には影響しません。

 

どんなにカビだらけになったとしても、カビの栄養として分解される成分は、木材全体の1~5%程度にしかならないからです。

 

ただし、カビのような「表面汚染菌」が繁殖している場所では、同じような環境を好む「木材腐朽(ふきゅう)菌」と呼ばれる、木材を内部から腐敗させる菌が繁殖している可能性が高いのです。

 

カビそのもので木材の強度や建具の耐久性は落ちませんが、カビが生えているところの近くでは、木材腐朽菌が木材内部を侵食していることが多いため、カビの生えた木材を見たら、内部の腐食が疑われます。

 

また、カビは臭いがあるだけでなく、食中毒やアレルギーの原因となるなど、健康被害を引き起こす危険があるため、たとえカビが木材を侵食しなくても、発見次第すぐに取り除いた方が良いのです。

 

6.木材にカビを寄せ付けない3つの方法

木材にカビを生やすカビ菌は、もともと空気中を浮遊している雑菌です。

この雑菌を付着させない、または付着してもカビを成長させないための3つの方法があります。

  • 汚れを取る
  • 通気性を良くする
  • 水分を拭き取る

それぞれ具体的にどんなことをすれば良いのか、見ていきましょう。

 

6-1.汚れを取る

木材そのものにカビの浮遊菌が付着しても、カビが栄養にできる成分は実はあまり多くありません。

それよりも、木材の表面に付着したゴミやほこりなどの汚れの方が、カビを爆発的に繁殖させる栄養になるのです。

水ハネや油ハネ、近くにある家電による静電気で吸い寄せられたほこりなどは、カビにとって非常に栄養豊富な成長源となります。

日頃からモップや清潔な布で表面を乾拭きするだけで、カビを発生を抑えることができます。

 

6-2.通気性をよくする

部屋の模様替えの際に大型家具を動かすと、家具の置いてあったところの壁や家具そのものにカビが生えていることがあります。

これは、家具と壁の間が近すぎるために空気がこもってしまうことで起こるものです。

木製家具は壁から5cmほど離して置いたり、少しでも動かすことができるものであれば、週に1~2回ほど扇風機やドライヤーの冷風で風を送ったりします。

背面に入り込んだほこりも追い出しやすくなるため、習慣にしておくと良いでしょう。

 

6-3.除湿する

除湿機や除湿剤を使って、カビの繁殖しやすい湿度を物理的になくします。

カビが生育できる湿度は、64%〜94%と高い値で広範囲です。

逆を返せば、湿度を60%以下に抑えておけば、カビは繁殖しにくくなるのです。

気をつけたいのは、温度とともに湿度の高くなる梅雨から夏にかけての時期だけでなく、冬場の閉め切った室内でも、加湿器をかけたり料理をしたりすることで、湿度が平均的に60%以上になることがあるということ。

また、冬場に結露しやすい窓は、ほこりが一緒になっていることが多いため、カビの温床になります。

結露は拭き取り、除湿機や除湿剤をうまく使って、カビの生育しにくい湿度環境を作ってください。

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7.まとめ

今回は、木材に生えたカビを正しく取る方法をご紹介しました。

木材に向いているカビ取り剤と向かないカビ取り剤の成分は、以下の通りです。

種類 用途
木材のカビ取りに向いている エチルアルコール 表面カビを拭き取る
次亜塩素酸水 カビと黒ずみを取る
木材のカビ取りに向かない 塩素系漂白剤 木材を変色・変質させる
酸素系漂白剤

 

木材についたカビの基本的な取り方は、以下の通りです。

木材についたカビの取り方
STEP1 ゴミやほこりを取り除く
STEP2 エチルアルコールを含ませた清潔な布で拭く
STEP3 次亜塩素酸水を含ませたキッチンペーパーをカビの生えていた箇所に貼って15分ほど置く
STEP4 色素が取れていなければ、次亜塩素酸水をさらに含ませてもう15分置く

 

なお、木製製品の塗装によっては、液剤で塗装が取れることもあるため、カビ取りの前に塗装方法を確かめてください。

エチルアルコール 次亜塩素酸水
ウレタン塗装
ラッカー塗装 × ×
水性塗装
オイル仕上げ ×

 

木材にカビを寄せ付けないための3つの予防策は、以下の通りです。

木材にカビを寄せ付けないための3つの方法


  • 汚れを取る
  • 通気性を良くする
  • 水分を拭き取る

この記事により、あなたの大切な家具や建具が気持ちよく復活し、ナチュラルで快適な空間を取り戻せることを願っております。