しつこい黒カビを除去するおすすめアイテム|プロが教える正しい方法

「黒カビが生えてしまって気持ちが悪い」
「しつこい黒カビが除去できなくて困っている」

黒カビは、カビの菌が死滅しても色が残ってしまうため、カビの中でもかなり厄介なものと言えます。

たとえ黒カビを死滅させても、黒い色が残ったままでは気持ちが悪いですし、逆に黒い色が残ってしまったとしても、黒カビ自体は死滅しているというケースもあります。

つまり、黒カビを除去するためには、カビを死滅させて色素も取り除かなければいけないということです。

また、黒カビだと思っていたものが、実はカビではなく化学反応によるものだというケースもあり、化学反応による黒ずみには、市販のカビ取り剤では逆効果な場合もあります。

この記事では、黒カビを除去できる市販のカビ取り剤の効果的な使い方を紹介します。
黒カビの発生を防ぐための対策についてもお伝えするので、是非参考にしてみてください。

この記事でわかること


  • 効果のあるカビ除去剤
  • 黒カビを除去する手順
  • 黒カビを予防するための対策
  • 黒カビの正体や発生原因

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1.黒カビの菌を死滅させるおすすめ商品

黒カビの菌糸を破壊して死滅させることができる有効成分の中で、家庭用としてドラッグストアやネットショップなどで購入しやすいものは、以下の5種類です。

液性(ph) 水洗い 臭い 脱色力 表記成分名
塩素系カビ取り剤 アルカリ性 必要 あり 次亜塩素酸ナトリウム
酸素系漂白剤 弱アルカリ性 必要 なし 過炭酸ナトリウム
乳酸系カビ取り剤 弱酸性 必要 なし なし 乳酸、発酵乳酸など
エチルアルコール 中性 不要 あり なし エタノール、発酵アルコールなど
次亜塩素酸水 酸性〜微酸性 不要 あり なし 次亜塩素酸水、次亜塩素酸カルシウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムなど

参考:文部科学省「カビ対策マニュアル」

これだけたくさんあると、「どの成分のものを選べばいいのかわからない。どれが一番黒カビ除去に効果があるんだろう?」と思うかもしれません。
結論から言うと、カビを死滅させる効果に大きな差はありません。

どの薬剤も、黒カビのタンパク質を溶かしたり変質させたりすることで、黒カビを死滅させる効果が認められています。

そして選ぶ薬剤によって変わってくることは、色素除去に対しての効果です。

色素除去に対する効果は、黒カビがどこまで内部に侵入しているかによってきます。
また黒カビだと思っていた汚れが黒ずみだった場合、一般的なカビ取り剤ではなく、酸性の薬剤を使用することで効果が期待できます。
どの薬剤を選ぶかは、カビ取りしたい場所や素材、黒い色の原因によるということです。

それでは、黒カビに効果がある薬剤の特徴とおすすめ商品を見ていきましょう。

 

1-1.黒カビを死滅させる:①塩素系カビ取り剤

塩素系カビ取り剤の特徴

液性(ph) アルカリ性
水洗いの必要性 必要
臭い 強い刺激臭
黒カビ色素の除去効果 ある(非常に高い)
表示成分名 次亜塩素酸ナトリウム
おすすめの用途 浴室、キッチン
おすすめ商品 カビハイターかびとりいっぱつ

塩素系カビ取り剤は、塩素系漂白剤である「次亜塩素酸ナトリウム」を含んだカビ取り専用の薬剤です。

強い刺激臭があるため、必ず窓を開けたり換気扇を回したりして、換気対策をして作業しましょう。
塩素系カビ取り剤は、使用後に洗い流す必要があるので、浴室やキッチンなどの水回りにできた黒カビに向いています。

キッチンペーパーやラップなどを使って、薬剤が流れ落ちないようにすることで浸透時間を長くすることができます。
そうすることで、黒カビを死滅させるだけでなく色素を取り除く効果もより期待できるのです。

浴室タイルの目地によく使われているホワイトセメントと同じアルカリ性なので、タイル目地を傷める心配がありません。

酸性タイプの製品と混ぜて使ったり、使用前後に水洗いせずに酸性タイプの製品を使ったりすると、有害な塩素ガスが出て非常に危険なので注意してください。

また、製造から2〜3年経つと有効成分の効果がなくなってしまうため、古いものでは黒カビを取ることができない場合があります。

 

【黒カビ除去のおすすめ塩素系カビ取り剤】

■カビハイター(花王)

出典:花王株式会社



泡の密着度が高いため、壁面にスプレーしても液ダレしにくいのが特徴です。
天井に使う場合は直接スプレーするのではなく、刷毛やスポンジ、雑巾などに染み込ませてから塗りつける方が、目や顔、服などにかからず安全に使えます。

成分 次亜塩素酸塩、水酸化ナトリウム(0.5%)、界面活性剤(アルキルアミンオキシド)、安定化剤
使える場所 浴室の壁やタイル・目地、浴室のマット・小物類、扉等のゴムパッキン
使えない場所 ・獣毛のハケ・ブラシ
・木製品
・ホーロー、アルミニウム、真鍮などの金属製品
・しっくい壁、クロス壁、一部ユニットバスの化粧鋼板壁
・浴槽栓等のゴム部分

 

■かびとりいっぱつ(鈴木油脂工業)

出典:鈴木油脂工業株式会社



ジェルタイプなので、ゴムパッキンやタイル目地のほか、シリコンコーキング内部に侵入した頑固な黒カビにも、しっかり密着して強力に除去します。
黒カビに直接塗りつけるため胞子の飛び散りの心配がなく、塩素臭も穏やかなので狭い空間での黒カビ除去におすすめです。

成分 次亜塩素酸塩、水酸化カリウム(0.9%)、ゲル化剤 (有効塩素濃度1.5%以上)
使える場所 浴室内のシリコンコーキング、ゴムパッキン、タイル目地、シャワーカーテン、浴室小物類
使えない場所 ・木製品
・ホーロー、アルミニウム、真鍮などの金属製品
・壁紙、砂壁、漆喰壁など

 

1-2.黒カビを死滅させる:②酸素系漂白剤

酸素系漂白剤の特徴

液性(ph) 弱アルカリ性
水洗いの必要性 必要
臭い なし
黒カビ色素の除去効果 ある(おだやか)
表示成分名 過炭酸ナトリウム
おすすめの用途 キッチン用品、色柄物の布製品
おすすめ商品 オキシクリーン酸素系漂白剤

酸素系漂白剤は、「過炭酸ナトリウム」という成分が含まれた薬剤です。

塩素系カビ取り剤のようなきつい臭いや刺激がないため、赤ちゃんやペットのいるご家庭、ダイニングキッチンなどでも使うことができます。
プラスチック製のまな板や水筒・冷茶ボトルのゴムパッキンにつく黒カビも、つけ置きすることで落とすことが可能です。

塩素系カビ取り剤と比べると色素除去の効果がおだやかなので、色柄物の布製品についた黒カビにも使うことができます。

【黒カビ除去のおすすめ酸素系漂白剤】

■オキシクリーン(グラフィコ)

出典:グラフィコ



過炭酸ナトリウムに加えて、洗浄効果を高めるための炭酸ナトリウムが入っているため、より強力に黒カビのタンパク質に働きかけます。
洗濯洗剤と一緒に使うことで、日々の除菌や消臭にも効果的です。

成分 過炭酸ナトリウム(酸素系)、アルカリ剤(炭酸ナトリウム)
使える場所 衣類、布製品、台所まわり、水まわり、食器、タイル、家具
使えない場所 ・ウール・ウール混紡・シルク・シルク混紡などの水洗いできない繊維製品
・革
・宝石類、金属全般、金属製の付属品、ラテックス塗装
・ジュート・チーク材・仕上げ木材等

 

■シャボン玉石けん 酸素系漂白剤

出典:シャボン玉石けん



過炭酸ナトリウム100%なので、汎用性が高く、カビ取りだけでなく家中の除菌・消臭・漂白に使えます。
家にひとつあると、日常的な掃除から年末の本格的な大掃除まで使えて便利です。

成分 過炭酸ナトリウム
使える場所 衣類、布製品、水まわり、食器や台所用品、ベビー用品、塩素系漂白剤が使用できないステンレス水筒
使えない場所 ・デリケートな繊維のシルクやウールとこれらの混紡品
・水洗いできない衣類
・含金属染料で染めた衣類
・ステンレス以外の金属製の容器
・ステンレス水筒の外装
・アルミ製のもの
・ボタン、バックル、漆器など

 

1-3.黒カビを死滅させる:③乳酸系カビ取り剤

乳酸系カビ取り剤の特徴

液性(ph) 弱酸性
水洗いの必要性 必要
臭い なし
黒カビ色素の除去効果 なし(アルカリ性化による木材の黒ずみには効果がある)
表示成分名 発酵乳酸
おすすめの用途 浴室、キッチン、木材製品
おすすめ商品 乳酸カビトリーナー

乳酸系カビ取り剤は、有効成分である「乳酸」がカビ内部に侵入し、pHを低下させることでカビの酵素等に障害を起こし、修復不可能な状態とさせることでカビを死滅します。

漂白剤を使用していないため、刺激臭がなく家具などに使っても色落ちの心配がありません。
内部にまで浸透した黒カビの色素は落とすことができませんが、アルカリ性化によって黒ずんでしまった木材製品は、乳酸の力で白く復活させることができます。

 

【黒カビ除去のおすすめ乳酸系カビ取り剤】

■乳酸カビトリーナー(アズマ)

出典:アズマ工業株式会社



まな板やおひつなど、水洗いのできる木製製品に適しています。
カビだけでなくアルカリ性化による黒ずみも復活させることができます。
界面活性剤が入っているため、トイレの壁紙や床掃除などに使った後は、水拭きが必要です。

成分 発酵乳酸(3%)、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、溶剤
使える場所 浴室、トイレ、洗面所、洗濯槽、キッチン、冷蔵庫、押入れ、畳、ビニールクロス壁
使えない場所 ・ニス塗りのもの
・アルミ、銅、真鍮、大理石
・液晶パネル
・電球などの電気機器類

 

1-4.黒カビを死滅させる:④エチルアルコール

エチルアルコールの特徴

液性(ph) 中性
水洗いの必要性 不要
臭い なし
黒カビ色素の除去効果 なし
表示成分名 エタノール、発酵アルコールなど
おすすめの用途 冷蔵庫や食器、弁当箱、壁、家電製品
おすすめ商品 パストリーゼ77ジェームズマーティンフレッシュサニタイザー

エチルアルコール(エタノール)は、揮発性の高い中性の液体で、さまざまな物の除菌に使えます。

飲むことはできませんが、口に入っても安心な成分のため、キッチン周りのあらゆる物や、赤ちゃんやペットのいる室内でも使うことができます。
特に、扇風機や空気清浄機など、水気に弱い家電製品にできたカビの拭き取りには、エチルアルコールがおすすめです。

内部にまで入り込んだ黒カビの色素を除去する効果はありませんが、水洗いの必要がないので表面についた黒カビを拭き取ったり、日頃の掃除の際にエチルアルコールでの拭き取りを加えることで、黒カビの発生を防ぎます。
洗い流しの必要がないのも、簡単に使えて便利でしょう。

 

【黒カビ除去のおすすめエチルアルコール】

■パストリーゼ77(ドーバー)

出典:ドーバー酒造株式会社



酒造会社のノウハウから生まれたアルコール製剤です。
アルコールの含有率が77%と高濃度なため、カビをはじめとした多くの細菌やウィルスを除菌します。
ドラッグストアなどでも購入できるので、思い立った時にすぐにカビ除去ができます。
スプレー式なので、日常の掃除の後にひと吹きすることでカビ予防にも役立つでしょう。

成分 発酵アルコール、緑茶抽出物、乳酸ナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、精製水
使える場所 壁、床、天井、食品、キッチン用品、歯ブラシ、冷蔵庫
使えない場所 ・フローリング
・塗料、ワックス等塗布面
・樹脂、ゴム、皮革
・塗装製品など

 

■ジェームズマーティン フレッシュサニタイザー

出典:株式会社ファーストコレクション



外食産業の現場から生まれたアルコール製剤です。
一般的なアルコールスプレーでは除菌が難しいとされている、ノロウィルスなどのノンエンベロープウイルスの除菌にも有効なのが特徴です。
シンプルでセンスの良いデザインなので、置き場所を選びません。
こちらもスプレー式なので、こまめに吹き付けて使用することができます。

成分 エタノール 57.22%、DL-リンゴ酸 0.35%、グリセリン脂肪酸エステル 0.30%、DL-リンゴ酸ナトリウム 0.06%、水 42.07%
使える場所 浴室、窓、サッシ、カーテン、エアコン、キッチン用品、下駄箱
使えない場所 ・ニス塗りのもの
・アルミ、銅、真鍮、大理石
・液晶パネル
・電球などの電気機器類

 

1-5.黒カビを死滅させる:⑤次亜塩素酸水

次亜塩素酸水の特徴

液性(ph) 弱酸性〜微酸性
水洗いの必要性 不要
臭い あり
黒カビ色素の除去効果 なし(アルカリ性化による木材の黒ずみには効果がある)
表示成分名 次亜塩素酸水、次亜塩素酸カルシウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムなど
おすすめの用途 浴室、キッチン、室内
おすすめ商品 ジアニストジアウォッシュ

次亜塩素酸水は、人の手肌に近い弱酸性から微弱酸性で、水洗いのいらない除菌剤です。
飲むことはできませんが、口の中に入っても無害なので、赤ちゃんやペットのいる家庭でも安心して使うことができます。

プールの消毒薬としても使われる薬剤のため、まさに「プールのような」臭いがします。
製造時をピークとして急速に効果を失い水に還元されていくものなので、使いたい時に使いたい分だけ購入したり生成したりすると良いでしょう。

黒カビの色素除去の効果はありませんが、アルカリ性物質による木材の黒ずみを中和させるため、さまざまな木材製品に使うことができます。
水洗いも不要なので、室内の大型家具や窓の木枠などの黒ずみにもおすすめです。

 

【黒カビ除去のおすすめ次亜塩素酸水】

■エスエーシーラボ ジアニスト

出典:エスエーシーラボ株式会社



人間の肌に近い微酸性の次亜塩素酸水なので、部屋の中にできたカビの除去に原液のまま使うことができます。
水道水で希釈することで、除菌や消臭にも安全に使えます。
こちらは水溶液で販売しているものなので、冷暗所で保管し、おおよそ3ヶ月以内に使い切るようにしてください。

成分 水、塩化ナトリウム(食塩)、二酸化炭素
使える場所 トイレ、キッチン、バスルーム、洗面所、汚物入れ、エアコンや加湿器のフィルター
使えない場所 ・金属製(鉄、ブリキ、銅等)のもの

 

■除菌研究所 次亜塩素酸水生成パウダー

出典:Amazon



水道水に溶かすことで、次亜塩素酸水を生成することのできるパウダーです。
使う時だけ都度水溶液を作ることができます。
粉末状の次亜塩素酸は長期保存できますが、作った水溶液は1ヶ月以内に使いきるようにしてください。

成分 ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム
使える場所 玄関、キッチン、冷蔵庫内の掃除、テーブル、子どものおもちゃ、寝室、床の掃除、トイレなど
使えない場所 ・金属
・繊維製品など

 

2.【素材別】黒カビ除去のやり方

黒カビはふだんから空気中に浮遊している雑菌なので、条件が揃えばどんな場所にもどんな素材にも発生します。

黒カビが生えている場所や素材によってカビ除去の方法や使用できる薬剤が異なるため、適切な薬剤を選んで処理しましょう。

以下の場所や素材ごとに、効果的な薬剤とその使い方をご紹介します。

  • タイル
  • 布製品
  • 木製製品

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

2-1.タイルについた黒カビを除去する

浴室やキッチンなど水回りによく使われるタイルは、洗い流すことができる素材のため、漂白効果のあるカビ取り剤を使用して、徹底的に黒カビ除去をすることができます。
タイルの目地に使われるセメントは、漂白剤と同じアルカリ性なので、素材を傷める心配もありません。

ただし、強力なカビ取り剤は人体への影響も少なからずあることから、マスクやゴム手袋、ゴーグルを着用し、服の色落ちにも十分注意してください。

STEP1:換気する
STEP2:掃除する
STEP3:薬剤を使う
STEP4:洗い流す

 

STEP1:換気する

浴室やキッチンなど、限られたスペースで黒カビの除去を行うため、まずは換気を十分に行います。
換気は作業を始める前から行い、浸透時間も含めた作業時間の間、ずっと行ってください。
また、雨の日は窓を開けることで外部の湿気が入ってきてしまうため、窓を開けての換気は、できれば晴れた日に行った方が良いでしょう。

窓のない場所では、換気扇を回してください。
もしも換気扇がない場合は、ドアの外に向けて扇風機を回すことで空気を循環させることが可能です。

 

STEP2:掃除する

カビ取り前に、空間全体の掃除をしましょう。
黒カビの菌は、ゴミやほこりを見つけるとそこに付着して成長します。
あらかじめ空間全体の掃除をしておくことで、カビの胞子の逃げ場をなくすことができます。

 

STEP3:薬剤を使う

漂白効果のある薬剤でカビ取りを行います。

【黒カビ除去のおすすめ塩素系カビ取り剤】
【黒カビ除去のおすすめ酸素系漂白剤】

黒カビをしっかり除去するためのポイントは、以下の2点です。

  • 浸透させるためにしっかり時間をおく
  • 酸素を与えない工夫をする

薬剤をかけてすぐにブラシでこすると、薬剤を削ぎ落としてしまい、せっかくの効果を台無しにしてしまいます。
また、ラップやキッチンペーパーで塞いだり、重曹と混ぜたペーストを塗りつけるようにすると、液ダレを防いで効果を高めることが可能です。
また、黒カビに酸素を与えない工夫により、死滅を早めることができます。

 

STEP4:洗い流す

漂白効果のある薬剤を使った後は、必ずしっかりと洗い流しましょう。

黒カビの除去効果や洗浄効果を高めるために、カビ取り剤の多くが合成界面活性剤を含んでいます。
この合成界面活性剤は、残っていると再度カビの栄養になることがあるのです。
せっかく除去した黒カビを再発させないよう、必ず水で洗い流すようにしてください。

 

2-2.木材についた黒カビを除去する

窓枠や木製家具などについた黒カビは、「酸性」のものを使用しましょう。
もしアルカリ性を木材に使用すると、黒ずんでしまう恐れがあるからです。

酸性の薬剤は以下の2種類です。

【黒カビ除去のおすすめ乳酸系カビ取り剤】
【黒カビ除去のおすすめ次亜塩素酸水】

また、木製家具などの表面の塗装によっては、薬剤の使用で塗装が溶けてしまうことがあります。
薬剤を使用する前に、目立たないところで試したり、塗装の種類を確認することが大切です。

どちらの薬剤も、黒カビの色素を落とすことはできませんが、アルカリ性化による黒ずみであれば、非常に高い色素除去効果を発揮します。
木材のカビ取りについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

■関連記事■【プロが教える】木材のカビ取り|おすすめの5つのカビ取り剤

木材についた黒カビは、以下のような手順で除去していきます。

STEP1:黒カビ部分に薬剤を塗り込む

STEP2:固く絞った清潔な布で水拭きする

 

STEP1:黒カビ部分に薬剤を塗り込む

刷毛などを使って薬剤を黒カビ部分に塗り込みます。
どちらの薬剤も木材を傷めず、人体への悪影響がほとんどないため、浸透時間を長く置いても大丈夫です。

 

STEP2:固く絞った清潔な布で水拭きする

洗い流しのできるものは洗い流し、洗い流せないものは固く絞った清潔な布で水拭きしてください。
多少の薬剤残りがあっても問題のない薬剤ですが、木材製品を濡れたままの状態で放置するのは良くないため、黒カビ除去が終わったら拭き取るようにしてください。

 

住宅や家具の黒カビが除去できない場合

黒カビが内部まで侵入していて、自力でのカビ取りが難しい場合はカビ取り業者に依頼するようにしましょう。

業者に依頼する際は、信頼できる会社を選ぶことが重要です。
実績や口コミ、サービス内容を確認し、必要に応じて複数の業者から見積もりを取ることをおススメします。

ハーツクリーンはこれまでに10000件以上のカビの調査と、5000件以上の施工実績があり、病院や官公庁、上場企業などより高い技術が求められる現場での経験も豊富です。

また、海外の国立大学と提携してカビ取り剤を自社開発し、液剤の独自性と施工方法が認められ世界初のカビ対策工法として特許取得もしております。
弊社は防カビにも力を入れており、カビの再発率は3年で5%以下と業界最高レベルです。

黒カビは非常に厄介なカビなので、これ以上悪化する前に一度弊社までご相談ください。

 

2-3.布製品についた黒カビを除去する

衣類やタオル、カーテンなど、洗濯できる布製品についた黒カビは、酵素系漂白剤による部分塗りと全体漬け込みによって除去できることがあります。

【黒カビ除去のおすすめ酸素系漂白剤】

必ず洗濯表示を確認し、水洗いのできるものかどうかを確認してください。
布製品の中でも、特に服についたカビ取りについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

■関連記事■服にカビがついたときのお手入れ方法|安心して着られる5つの対策

カビ取り手順は以下の通りです。

STEP1:黒カビ部分に酸素系漂白剤を塗り込む

STEP2:全体を酸素系漂白剤の溶液に漬け込む

STEP3:洗濯機で洗う

STEP4:天日でしっかり乾かす

 

STEP1:黒カビ部分に酸素系漂白剤を塗り込む

布製品の黒カビ除去に使う酸素系漂白剤は粉末状のため、水道水に溶かして使います。
黒カビの生えている部分に、綿棒等で酸素系漂白剤の水溶液を直接塗りつけます。

酸素系漂白剤は色柄物を守りながら黒カビの色素だけに働きかけることができるので、濃色や柄物の布製品にも安心して使うことができます。

 

STEP2:全体を酸素系漂白剤の溶液に漬け込む

15分ほど浸透時間を置き、黒カビの色素が薄くなっているのを確認したら、布製品全体を酸素系漂白剤の水溶液に漬け込みます。
ここでも15分ほど漬け込みをします。
黒カビの生えている箇所だけでなく全体を漬け込むことで、周囲に潜んでいる黒カビの菌を死滅させます。

 

STEP3:洗濯機で洗う

ふだん使っている洗濯用洗剤を使い、洗濯機で洗います。

なお、酸素系漂白剤は、ふだんの洗濯の際に洗濯用洗剤に加えて使ったり、洗濯槽の掃除にも使うことができるものです。
ただし、洗濯機メーカーによっては、洗濯槽の洗浄に塩素系漂白剤を推奨しています。

日立「洗濯槽のお手入れ方法(槽洗浄コース)について知りたいです。」
Panasonic「洗濯槽の黒カビ 予防と対策」

上記のメーカー以外でも、洗濯槽の種類によっては酸素系漂白剤を使うことのできないものもありますので、必ずお手持ちの洗濯機の取扱説明書を確認してください。

もしも酸素系漂白剤の使用が推奨されていない洗濯機の場合は、STEP2のつけ置きで使った酸素系漂白剤溶液ごと洗濯槽に入れるのではなく、軽く水分を絞った服だけを洗濯機に入れるようにしてください。

 

STEP4:天日でしっかり乾かす

洗濯が終わった布製品は、できれば天日で乾かしてください。

水分は、黒カビの成長を爆発的に促します。
せっかくきれいに洗った布製品が生乾きになってしまうと、またカビの胞子が付着して再発してしまうかもしれません。
やむをえず部屋干しをした場合も、浴室乾燥や扇風機などを使い、必ずしっかりと湿気を取ってください。

 

酸素系漂白剤で黒カビが落ちない場合

繊維の奥まで染み込んでいる黒カビを除去するのは容易なことはありません。
クリーニング店によっては、黒カビが発生している衣類は受け付けていないことがあるほど、プロでも除去が難しいものです。
そのため、先ほど紹介した方法では除去できないこともあります。

もし大事な衣類やバッグなどにカビが生えて困っている時は、カビ取り専門クリーニングのハーツクリーニングへの依頼をおススメします。

ハーツクリーニングは国内外の要人が利用するほどの実績を持つ老舗クリーニング店と提携しており、通常のクリーニング業者では除去が難しい頑固なカビでも対応することがあります。

また、医療機器の滅菌にも使用されるエチレンオキサイドガス(EOG)を活用したガス滅菌も行っているため、カビの菌(真菌)や害虫の卵も徹底的に除去することが可能です。

高価なものや替えの効かないような大事なアイテムにカビが生えた場合には、是非ハーツクリーニングをご検討ください。

 

3.【黒カビの原因】人が生息できるところには黒カビが生える

黒カビの発生条件は「酸素・温度・湿度」で、人間とほぼ同じ環境で育ちます。
そのため、黒カビを完全に避けて生きることはできないのです。

実は「黒カビ」の正体は、クラドスポリウムという空中雑菌です。
ふだんから空気中を浮遊していて、有機物に付着して繁殖します。
有機物というと難しく聞こえるかもしれませんが、その内容は以下のように多岐に渡ります。

黒カビの好む有機物


  • 毛、フケ、アカ、爪といったヒトや動物の体から出るもの
  • すべての食品、油脂
  • 花粉やダニの死骸など

日常生活の中で、これらの有機物と無縁に過ごすことは、まず不可能です。
黒カビの発生条件について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

3-1.黒カビの発生条件:①酸素

黒カビは酸素のないところでは生育することができませんが、それは人間も同じです。
要するに、人間が呼吸できる場所なら、黒カビも生息できるということです。

しかも、カビが必要とする酸素の量は、人間と比べるとはるかに少ない量で済みます。
密封していたつもりのタッパーの中の食品に、カビを生やしてしまった経験のある方もいることでしょう。
真空でない限り、黒カビはどこにでも発生してしまうのです。

 

3-2.黒カビの発生条件:②温度0〜40℃

黒カビがもっとも成長しやすい最適生育温度は25〜28℃です。

しかし実は、0〜40℃の間であればカビは生き続け、ゆっくりとではありますが成長もするのです。
冷蔵庫の中で冷やしておいたものにカビが生えてしまうのは、低い温度でも時間をかけて生育しているからなのです。

また、夏場にエアコンの設定温度を「25〜28℃」で設定している家庭も多いことでしょう。
冬場でも、暖房で部屋全体が暖かくなっていたり、湯を張った浴室でも温度が25℃を超えるため、一年を通してカビにとって最適な生育温度の場所が、家の中のどこかしらにはあると言えます。

 

3-3.黒カビの発生条件:③湿度64%〜94%

カビは湿度の高い環境を好みます。
毎年梅雨の時期になるとカビが一気に繁殖するのは、カビが生育しやすい高湿度の環境が整ってしまうからです。

カビが生育できる湿度は64%〜94%ですが、観測地点を東京で見た場合の月ごとの平均湿度は、毎年5月から11月までの7ヶ月間、ずっと64%に達しています。

参考:気象庁 東京 平年値(年・月ごとの値) 主な要素

1年のうち半分以上は、カビの生育に適した湿度になっているのが分かります。
空気中の湿度が低い冬場でも、室内で加湿器を利用していたり、外気との温度差で窓に結露が生じたりする場所はピンポイントで湿度が高くなります。

湿度の面で見ても、カビが生育しやすい環境が、一年中どこにでもあると言えるでしょう。

 

4.黒カビを寄せ付けない3つの予防策

黒カビの胞子はどんなところにもありますが、発生を防止したり、成長を遅くさせることはできます。

具体的な方法は、以下の通りです。

  • 掃除する
  • 水分を拭き取る
  • 換気する

 

4-1.掃除する

黒カビの胞子は日常的に空気中を漂っています。
そしてほこりや汚れがあると、そこに付着して栄養を得ます。

カビを生やさないためには、まずは黒カビの栄養となるほこりや汚れをなくすことです。
そして日常の掃除にひと手間加えて、エタノールや次亜塩素酸水を含ませた布で拭き掃除をすることをおすすめします。

胞子が壁や床に付着したとしても、薬剤の効果によって繁殖することを抑えられるため、カビの発生を防ぐことができるのです。

 

4-2.水分を拭き取る

黒カビの好む水分や湿気をしっかり取り去ることで、黒カビは生育できなくなります。

入浴後の浴室や、使用後のキッチンや洗面所のシンクは、しっかりと汚れなどを洗い流してから水分を拭き取ってください。
汚れを流すだけでも黒カビの発生を抑える効果はある程度期待できますが、流した後の水を拭き取ることで、さらに黒カビの好む環境をなくすことができます。

また、冬場は温度差による結露でカビの好む多湿な環境ができやすいです。
結露は放置せず、寝室などでも「起きたらまずは結露を拭き取る」のを習慣にすると、黒カビは除去が必要な状態にまで至りません。

もし可能であれば、結露防止シートを活用するのもいいでしょう。

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出典:amazon



 

4-3.換気する

黒カビは湿度の高い環境を好みますが、逆に湿度が60%以下になるとほとんど繁殖しなくなります。

洗面所などのエアコンのない場所では換気扇を回す、クローゼットなど換気扇のない空間では扇風機を回すなどしてこもった空気を入れ替えたり、除湿剤を利用することで湿度を60%以下に保ちましょう。

ただし、除湿剤に溜まった水を放置すると逆効果になるため、こまめに取り替えてください。

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出典:amazon



 

まとめ

この記事では、黒カビを除去するためのおすすめ商品と、素材別の正しい薬剤とその使い方をご紹介してきました。

黒カビの菌を死滅させることのできる薬剤とそれぞれの特徴は、以下の通りです。

液性(ph) 水洗い 臭い 脱色力 表記成分名
塩素系カビ取り剤 アルカリ性 必要 あり 次亜塩素酸ナトリウム
酸素系漂白剤 弱アルカリ性 必要 なし 過炭酸ナトリウム
乳酸系カビ取り剤 弱酸性 必要 なし なし 乳酸、発酵乳酸など
エチルアルコール 中性 不要 あり なし エタノール、発酵アルコールなど
次亜塩素酸水 酸性〜微酸性 不要 あり なし 次亜塩素酸水、次亜塩素酸カルシウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムなど

素材別では、以下のように薬剤を使い分けます。

素材別・使用できる薬剤
タイル 塩素系カビ取り剤、酸素系漂白剤
布製品 酸素系漂白剤
木材 乳酸系カビ取り剤、次亜塩素酸水

 

黒カビを寄せ付けないための予防策として、有効なのは以下の3つです。

  • 掃除する
  • 水分を拭き取る
  • 換気する

この記事により、たくさんの方が黒カビを正しく除去し、清潔で気持ちの良い暮らしを取り戻せることを願っています。