施工事例

【詳細調査】事務所で広がる原因不明のカビ。18地点の比較測定で局所的な汚染と判明し、改修方針の決定を支援した調査事例

【詳細調査】事務所で広がる原因不明のカビ。18地点の比較測定で局所的な汚染と判明し、改修方針の決定を支援した調査事例

案件情報

住所
千葉県市原市
物件用途
オフィス
作業内容
カビ発生原因の詳細調査
作業人数
調査1名
作業時間
約2~3時間
作業面積
ー
作業費
税込259,600円

事例の概要

千葉県市原市の大規模事務所で、原因不明のまま広がるカビに対し18地点の比較調査で原因の方向性を特定し、具体的な改修方針の決定を支援した調査事例です。

課題

  1. 一室から始まったカビが廊下へ広がり、原因が特定できなかった
  2. 「湿気が多い」という曖昧な説明では、判断材料にならなかった
  3. 最終目的は報告書の受領ではなく、改修内容を決定することだった

成果

  1. 局所的な汚染と判明し、全館対策が不要であると確認できた
  2. 「乾いているのにカビがある」矛盾に対し、過去の事象が原因と整理された
  3. 環境改善と除カビを合わせた方針が示され、改修の優先順位が明確になった

抱えていた課題/依頼の背景

建設・設備関連会社様(以下、同社)からご相談があったのは、管理事務所棟で発生したカビの問題でした。はじめは1階の一室だけだったカビが、いつの間にか廊下にまで広がり、原因が特定できない状況に陥っていたそうです。

ご担当者様は、設備や建築の改修計画を担うお立場にありました。そのため、単にカビを取り除くだけでなく、「なぜ湿気が滞留したのか」という根本原因を、空調や建物の構造など複数の要因から複合的に解明する必要がありました。最終的な目的は、調査報告を受け取ることではなく、次に何をすべきか、具体的な改修方針を決定すること。その判断材料を得るため、弊社にご相談いただいたと伺っております。

今回案件のポイント

今回の調査で最も重要だったのは、カビが発生している部屋が、建物全体のなかで本当に特異な状態なのかを客観的な数値で判断することでした。

問題の部屋だけを測定しても、その数値が異常かどうかは分かりません。そこで、問題のエリアだけでなく、正常と思われる入口付近や事務スペースなどを含む1階の計18地点で測定し、データを比較できる調査を設計しました。これにより、問題が局所的なものなのか、建物全体に共通する課題なのかを正確に切り分けることが可能になります。

また、もう一つの論点が「調査時点では乾いているのに、なぜカビがあるのか」という点です。含水率に異常がない以上、現在進行形の漏水が原因とは考えにくい。この矛盾を解き明かすには、過去の結露や一時的な湿気の滞留といった事象を、丁寧に考察する必要がありました。

依頼から診断完了までの流れ

ご依頼をいただいてから診断完了までの主な流れは、以下のとおりです。

  1. 現地調査
    カビの発生原因を特定するため、現地にて詳細な調査を行いました。浮遊しているカビ菌の量を測る検査や、壁の含水率測定、目視での確認など、多角的なアプローチで現状を把握します。今回は比較データを十分に確保するため、基本の10地点に8地点を追加して調査を進めました。
  2. 浮遊菌検査
    問題の部屋だけでなく、廊下や事務スペースなど1階の計18地点で、空気中のカビ胞子量を測定しました。建物全体が汚染されているわけではなく、特定のエリアで局所的に数値が上がっている状態であることをデータで確認しました。
  3. 付着カビの簡易同定
    壁に付着していたものが本当にカビなのかを特定するため、検体を採取して調査しました。その結果、アスペルギルス属のカビであることを確認し、目視での所見が正しいことを裏づけました。
  4. 含水率検査
    壁の内部に含まれる水分量を測定したところ、異常な数値は確認されませんでした。この結果から、現在も水漏れが続いている、といった状況ではないと判断しました。
  5. 報告書の作成と原因の考察
    各種調査結果を統合し、調査から約2週間後に報告書として提出しました。今回のカビは、過去の一時的な結露や通気不足がきっかけで発生し、その後時間をかけて広がった可能性が高いと結論づけています。
  6. 対策方針の提示
    調査結果に基づき、具体的な対策をご提案しました。薬剤によるカビ除去だけでなく、換気や空調管理の見直しといった環境改善をセットで進め、再発を防ぐための総合的な方針を示しました。

得られた結果

建物全体ではなく、局所的にカビ胞子量が増加している状態だと数値で特定され、全館を対象とした大がかりな対策が不要であることを確認しました。壁面の黒ずみがアスペルギルス属のカビだと証明され、憶測ではない事実に基づいた対策の検討が可能になっています。

また、現在進行形の漏水が原因ではないと判明したことで、調査対象を過去の環境要因へと絞り込むことができました。「乾いているのにカビがある」という一見矛盾した状況に対し、過去の結露や通気不足が原因であるという論理的な説明が得られています。

さらに、空調の運用方法や部屋の区画、物置スペースがリスク要因となりうることが具体化され、改修すべき点が明確になりました。環境改善と既存カビの除去を組み合わせた総合的な方針が示されたことで、改修工事の優先順位を判断するための材料が整いました。

今回案件で発揮できたハーツリッチの強み

1:18地点の比較調査で、問題の異常性を客観的な数値で証明

ご担当者様は、カビが発生している部屋が本当に特異な状態なのか、客観的な判断材料を求めていらっしゃいました。

私たちは、国の基準に準拠した「浮遊菌調査」を、問題のエリアだけでなく、正常と思われる場所を含む計18地点で実施しました。問題箇所だけを調べても、その数値が本当に「異常」なのかは判断できないためです。

この比較調査の結果、建物全体が高濃度に汚染されているわけではなく、問題が局所的であることが数値で明確になりました。これにより、対策範囲を無駄に広げることなく、費用対効果の高い改修計画を立てる土台が整いました。

2:過去の事象から、一見矛盾したカビ発生の仕組みを解明

調査当日の壁の含水率は正常値で、「乾いているのにカビがある」という、一見すると矛盾した状況がご担当者様を悩ませていました。

建築士としての知見を持つ弊社代表は、現在の数値だけで判断しません。建物の構造や空調の使われ方、部屋の区画といった多角的な情報から、カビ発生の仕組みを紐解きます。今回は、過去に起きた一時的な結露や通気不足がきっかけでカビが定着し、時間をかけて広がった可能性を指摘しました。

「なぜ今乾いているのか」ではなく、「なぜカビが生えるに至ったのか」という本質的な問いに答えることで、ご担当者様にも状況を深くご理解いただけたようでした。

3:調査報告に留まらず、具体的な改修方針の決定までを支援

今回の最終的な目的は、報告書を受け取ることではなく、具体的な改修方針を決めることでした。

私たちは、調査で得られた客観的なデータに基づき、単なる現状報告で終わらせません。空調の調整、換気の改善、カビの除去、壁材の補修といった複数の選択肢のなかから、何を優先すべきかを判断するための「対策の方向性」を具体的に提示します。

これにより、ご担当者様は憶測ではなく、明確な根拠を持って社内での意思決定を進めることができるようになりました。専門家として、お客様が次の一歩を踏み出すまで伴走できたことは、私たちにとっても大きな喜びです。

代表 穂苅からのコメント


今回の調査の鍵は、「今、乾いている」という事実と「カビがある」という事実の間に横たわる、目に見えない時間軸を解き明かすことでした。建築とカビ、両方の知見を持つ私たちだからこそ、過去の環境変化まで遡って原因の仮説を立てることが可能です。調査結果が、お客様の次の具体的な一歩につながったと伺い、大変嬉しく思います。

 

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