施工事例

【詳細調査】建物構造が原因と疑われたカビ臭を精密調査で切り分け、過剰な全面改修を回避した法人向けカビ調査事例

【詳細調査】建物構造が原因と疑われたカビ臭を精密調査で切り分け、過剰な全面改修を回避した法人向けカビ調査事例

案件情報

住所
東京都東大和市
物件用途
オフィス
作業内容
カビ臭の原因究明を目的としたカビ汚染度調査(浮遊菌検査、付着カビ検査、ルミテスターによる表面清浄度測定、含水率検査、現場写真・状況確認、報告書作成)
作業人数
調査1名
作業時間
約2時間
作業面積
約380㎡
作業費
税抜296,000円

事例の概要

約380㎡の地下空間で原因不明のカビ臭に悩む法人様に対し、複合的な精密調査で構造的問題と局所汚染を切り分け、過剰な工事を回避する客観的根拠を提示した調査事例です。

課題

  1. 約380㎡の地下空間全体に汚染が広がっている懸念があった
  2. 建物構造上の問題か、室内環境の問題かの切り分けができなかった
  3. 社内や関係者に説明するための客観的な根拠が不足していた

成果

  1. 空気と建材の状態を数値化し、構造的な問題がないことを証明した
  2. 汚染箇所を特定し、過剰な工事を回避する判断材料を確保した
  3. 数値に基づく報告書で、関係者への説明責任を果たせる状態にした

抱えていた課題/依頼の背景

今回ご相談いただいたのは、建物・施設の工事、修繕、維持管理を担当されている法人様(以下、同社)です。同社が管理するRC造建物の地下1階(約380㎡)で「カビのような臭い」が発生し、ご担当者様は原因の特定に苦慮されていました。

単に目に見えるカビを取り除くのではなく、臭いの根本原因が本当にカビなのか、そして建物構造自体に重大な問題が潜んでいないかを明らかにしたい、という明確なご意向をお持ちでした。約380㎡という広い空間全体への汚染拡大、壁内部など目視できない場所でのカビの繁殖、漏水や結露といった構造的な問題への懸念も抱えていらっしゃったのです。

ご担当者様は、施設利用者への対応や関係各所への説明責任も担うお立場でした。そのため、法人として費用を投じる以上、「調査したものの原因は不明でした」という結果は絶対に避けなければならない状況です。

一方で、原因が分からないまま闇雲に全面改修を行うといった大掛かりな対応は望んでおらず、原因箇所を正確に特定し、必要な範囲で対策を講じたいという、非常に的確な課題認識をお持ちでした。お問い合わせの段階からこうした背景を踏まえ、客観的な根拠として機能する詳細な有料調査を強くご希望されていました。

今回案件のポイント

今回の調査の成否を分けたのは、単にカビの有無を確認することではありません。カビ臭の原因が、ご依頼者様が最も懸念されていた建物構造に起因するのか、あるいは室内環境に起因するのかを、客観的なデータで明確に切り分けること。それが本件の核心でした。

この切り分けを実現するため、私たちは複数の異なる角度から調査を行いました。空気中の浮遊菌、床材などの表面状態、そして建材の含水率をそれぞれ個別に測定し、それらの結果を総合的に分析するという手法です。RC造の地下という条件では、どれか一つの指標だけでは根本原因の特定には至らないからです。

また、約380㎡という広い空間での見落としを防ぎ、「調べたが原因不明だった」という事態を避けることも重要な課題でした。そのため、基本となる検体数に28検体を追加し、合計38検体という網羅性の高い調査設計としました。これにより、空間全体の問題と局所的な問題を明確に区別することが可能になったのです。

依頼から診断完了までの流れ

ご依頼をいただいてから診断完了までの主な流れは、以下のとおりです。

  1. 現地調査
    地下1階約380㎡を対象に、複数の手法を組み合わせて調査を実施しました。原因の見落としを避けるため、基本10検体に加えて28検体を追加し、合計38検体を採取しています。
  2. 浮遊菌検査
    各地点の空気中の浮遊菌数を測定しました。結果は日本建築学会が汚染指標とする基準値を大きく下回っており、室内空気そのものに顕著なカビ汚染は認められないと評価しました。
  3. 付着カビ検査
    クッション材やタイルカーペットなど、疑わしい箇所の表面から検体を採取しました。空気中では問題が確認されない一方、一部の物品・床材が局所的な発生源となっている可能性が示されました。
  4. ルミテスターによる表面清浄度測定
    専用の測定器(ルミテスター)を用いて、6地点の表面清浄度を数値化しました。地点によって著しく高い値が確認され、特定の場所に有機汚れや微生物が多く残存していることを可視化しました。
  5. 含水率検査
    建材の含水率を測定し、継続的な漏水や過度な結露といった、建物内部の根本的な湿害を示す兆候がないことを確認しました
  6. 報告書の作成・提出
    平面図、測定位置、現場写真、培養写真、各種測定数値を整理した報告書を作成しました。各測定結果を根拠に、カビ臭の原因が建物構造ではなく、局所的な問題である可能性が高いことを示しました。
  7. 対策方針の提示
    調査結果に基づき、全体的な除菌に加えて、発生源と特定されたカーペットの除菌やフローリング等への素材変更が望ましい対策となることをご提案しました。

得られた結果

空気中のカビ濃度が基準値を大きく下回ることが確認され、「地下全体が汚染されているのではないか」という懸念が数値によって解消されました。

建材の含水率調査により、建物構造の根本的な湿害がないことを証明し、ご依頼者様の最大の不安を取り除くことができました。

また、タイルカーペットやクッション材からカビの発生源を特定したことで、対策の焦点を「どこを、どう処置すべきか」へと具体的に進められるようになりました。汚染箇所が限定的であると判明したため、過剰な全面改修を回避し、コストを最適化するための合理的な判断材料も整っています。

さらに、客観的な数値と写真を含む報告書により、ご担当者様が社内および顧客へ説明できる状態を確保しました。

今回案件で発揮できたハーツリッチの強み

1:複数指標の精密測定で「建物の問題」と「室内の問題」を切り分ける調査設計

ご依頼いただいた当初、ご担当者様はカビ臭の原因が建物構造そのものにあるのではないか、という大きな不安を抱えていらっしゃいました。

その不安を解消するため、私たちは空気(浮遊菌)、表面(付着菌・清浄度)、建材内部(含水率)という4つの異なる指標を個別に測定しました。それぞれの状態を客観的な数値に落とし込み、総合的に分析することで、問題の所在を正確に切り分けるアプローチです。

この複合的な調査設計により、ご担当者様が最も懸念されていた構造的な問題はないと科学的に証明できました。原因が室内環境にあると特定できたことで漠然とした不安が解消され、具体的な次の一手を打つための確かな土台が整ったのです。

2:地点差の可視化で約380㎡の全面改修を回避し、対策コストを最適化

原因が特定できない場合、約380㎡という広大な空間の全面改修も視野に入れなければならず、コスト面での大きな懸念があったことと思います。

私たちは、表面清浄度の測定値が地点によって「1,032」から「180,728」まで大きく異なるという事実を提示しました。これは「全体が均一に悪いのではなく、問題箇所に強い偏りがある」ことの動かぬ証拠です。

この結果によって、闇雲な全面施工ではなく、汚染レベルの高い箇所に絞った効率的な対策を検討できるようになりました。過剰な工事費用の発生を回避する、客観的で合理的な判断根拠をご提供できたと考えております。

3:誰もが納得できる「動かぬ証拠」として機能する報告書の作成

ご担当者様は、調査結果をご自身の判断材料とするだけでなく、社内や顧客など複数の関係者に説明し、納得を得る必要がありました。

そこで私たちは、平面図、測定位置、現場写真、培養写真、そしてすべての測定数値を網羅した詳細な報告書を作成しました。公的な指標との比較も盛り込み、「なぜ問題がない(あるいは、ある)と言えるのか」という論理的な根拠を、誰の目にも明らかな形に整えています。

ご担当者様が口頭で補足しなくても、資料単体で状況が正確に伝わる形式を徹底しました。これによりスムーズな合意形成を後押しし、プロジェクトを次のアクションへと円滑につなげる重要な役割を果たせたのではないかと考えています。

代表 穂苅からのコメント

今回の調査の鍵は、お客様が抱える「建物全体がダメかもしれない」という漠然とした不安を、具体的な数値に落とし込むことでした。空気、表面、建材内部の状態を別々に測定し、原因を切り分ける。この複合的なアプローチこそが、私たちの調査の真骨頂です。

建築とカビ、双方の知見を掛け合わせることで、初めて精度の高い原因特定が可能になります。調査結果をもとに、ご担当者様が次の具体的な対策へと踏み出せる道筋をご提示できたことを、大変嬉しく思います。

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