カビ取り業者が教える!自宅でカビ取りする際の8つの注意点

家の隅々にこっそりと潜むカビは、私たちの生活環境において無視できない問題となっています。
家庭でカビを取り除こうとしたとき、どのように対処すれば良いのか、戸惑ってしまうことも少なくないでしょう。

カビ除去とひとくちに言っても、不適切な方法を選んでしまうと、壁紙や家具を損傷させるリスクがあるのです。
さらに、カビ取り剤の成分によっては健康を害する可能性も考えられます。

本記事では、カビ取り専門業者としての経験から、自宅でカビを取り除く際に注意すべきポイントをご紹介します。
カビとカビ取り剤についての知識を深め、適切な対策を行うことで、清潔で快適な居住空間の実現を目指してください。

 

1.【注意点①】換気しながら作業を行う

カビ取りにおいて換気は非常に大事なことの1つです。

窓はできるだけ複数個所あけて、換気扇は「強」にして、しっかりと換気してください。
もしカビ取りする場所が窓が1つしかないなど換気が不十分になりそうな場合は、扇風機やサーキュレーターを回して空気を循環させましょう。

もし万が一換気が不十分だった場合、以下のような問題が考えられます。

 

1-1.カビ取り剤の化学物質

カビ取り剤に含まれる化学物質は、有効にカビを除去する力がありますが、同時に強い刺激性や有害性を持つものもあります。特に塩素系のカビ取り剤は、その蒸気が目や呼吸器系に刺激を与え、長時間露出することで健康に害を及ぼす可能性があります。適切な換気を行わないと、これらの化学物質が室内に滞留し、居住者の健康を脅かすことになります。

 

1-2.カビの胞子の拡散

カビ取り作業は、単なるお掃除以上に特別な注意が必要な作業です。カビの胞子は空気中に放出されやすく、特に喘息などの呼吸器系の疾患を持つ人には刺激となり得ます。さらに、カビ毒やカビ取り剤の化学物質が健康リスクを高めることもあります。実際、カビ取りが原因で間質性肺炎などの深刻な疾患を発症した事例も存在します。カビ取り作業はそれだけ危険を伴うということを理解して行いましょう。

 

1-3.塩素ガスの発生

後ほど3.絶対に塩素系と酸性を混ぜないで詳しく解説しますが、カビ取り剤と酸性のものが混ざると有害な塩素ガスが発生する恐れがあります。もし室内での換気が不十分な状態でこのような化学反応が起こると、塩素ガスが部屋に充満しやすくなり、体調不良に陥り、最悪の場合命を落としてしまうかもしれません。

そのような事態を避けるためにも、換気が必要なのです。

 

2.【注意点②】体を保護しながら作業を行う

カビ取り作業では、自身の健康を守るためにも体を適切に保護することが重要です。
化学物質を含むカビ取り剤は、皮膚や目、呼吸器系に刺激を与える可能性があるため、以下のものを身に付けるようにしましょう。

  • マスク
  • ゴム手袋
  • ゴーグル
  • 長袖の服

これらの保護具を着用することで、カビ取り剤の化学物質やカビ自体の胞子から自身を守ることができます。特に、換気を行いながら作業をすることが推奨されますが、それでも空気中にはカビの胞子や化学物質が漂っている可能性があります。マスクは、呼吸器系を保護し、有害な粒子の吸入を防ぐために重要です。また、ゴム手袋と長袖の服は、皮膚への直接的な接触を避けるために役立ちます。ゴーグルは、目への刺激を防ぐために有効です。

作業終了後は、使用した保護具を適切に取り扱い、必要に応じて洗浄または交換してください。また、手や顔を丁寧に洗い、作業中に服に付着したかもしれない化学物質や胞子を除去することも忘れないでください。

代表 穂刈
実際に、お客様の中でも「自分でカビ取りをしようとして気分が悪くなった方」は多くいらっしゃいます。原因は換気不足とマスクなどの防御不足です。

 

3.【注意点③】絶対に塩素系と酸性を混ぜない

しかし、これらの塩素系カビ取り剤や漂白剤を、酸性の清掃剤(例えば、酢やクエン酸など)と混合することは絶対に避けるべきです。なぜなら、塩素系化学物質と酸性物質が反応すると、有害な塩素ガスが発生する可能性があります。このガスは、目や喉、肺に刺激を与えるだけでなく、高濃度になると呼吸困難や肺の損傷を引き起こすこともあり、非常に危険です。

カビ取り作業を行う際は、製品の使用説明書をよく読み、推奨される使用方法を守ることが重要です。また、異なるタイプの清掃剤を使用する場合は、一つの作業が完全に終了し、そのエリアがよく換気されてから次の作業に移ることをお勧めします。これにより、化学物質間の不意な反応を防ぎ、作業環境の安全を確保できます。

 

代表 穂刈
カビ取り時、カビを除去することに集中し過ぎて長時間カビ取りをした結果、気分を悪くしてしまったお客様もいました。タイマーなどで時間を計りながらこまめに区切って行いましょう。

 

4.【注意点④】カビ取り剤による脱色や変色に注意する

カビ取り剤とひとくくりに言っても、種類は様々あります。
特に注意するべきなのが、塩素系カビ取り剤(カビキラー、カビハイターなど)や塩素系漂白剤(ハイター、ブリーチなど)です。

これらには漂白効果があるため、壁紙や家具、衣類などのカビ取りに使用すると脱色や変色する恐れがあります。

 

4-1.推奨されていない場所では使用しない

塩素系カビ取り剤や漂白剤は、その強力な効果から一部の素材や場所では使用が推奨されていません。特に、木製の家具や色の薄い布製品、金属部分が露出している場所での使用は避けましょう。これらの素材では、腐食や変色、劣化の原因となることがあります。使用前には、製品ラベルに記載された使用上の注意を必ず確認し、推奨されていない素材や場所への使用は控えるよう心がけてください。

 

4-2.使用するなら必ず少量で試してから

塩素系カビ取り剤や漂白剤を使用する際には、まず目立たない部分で試し塗りをすることが大切です。少量を取り、素材に対する反応を確認しましょう。数分間待って変色や脱色が見られない場合でも、完全に乾燥させてから最終的な確認を行います。この工程を省略すると、予期せぬダメージを素材に与えてしまうリスクが高まります。

 

4-3.使用後に成分が残らないようにする

カビ取り作業後は、塩素系成分が素材に残らないように、しっかりと水拭きを行いましょう。特に、塩素系の成分は時間が経つにつれて素材を弱らせることがあるため、使用後は念入りに拭き取ることが重要です。

代表 穂刈
塩素系のカビ取り剤は、強力で黒カビなどの色素も除去できるので非常に効果的なのですが、素材までも漂白してしまうことがあります。まずは、少量で試してから使用するようにしましょう。

カビキラー

出典:amazon



花王 キッチンハイター

出典:amazon



 

5.【注意点⑤】カビ取り剤の置き時間に注意する

カビ取り剤を使用する際には、その置き時間にも細心の注意が必要です。各カビ取り剤には、最適な効果を発揮するための推奨置き時間が指定されています。この時間を守らないと、カビの完全な除去が難しくなるだけでなく、素材への損傷や色落ちの原因ともなります。

短すぎる置き時間では、カビ取り剤がカビの根深い部分まで浸透できず、効果的に除去することができません。カビが残ってしまうとそこから再発の恐れがあります。

一方で、長すぎる置き時間は、特に塩素系のカビ取り剤を使用する際に、壁紙やシーリング材、タイルの目地などの素材を傷める恐れがあります。また、不必要に長い時間放置することで、化学物質による室内の空気汚染が懸念される場合もあります。

使用する前には必ず製品のラベルを確認し、推奨されている置き時間を守るようにしてください。カビ取り剤の場合20~30分程度であることが多いです。
カビ取り剤を適用した後は、タイマーをセットするなどして、正確な時間管理を心がけましょう。

 

6.【注意点⑥】強く擦らない

カビ取り作業では、カビがすぐに落ちないからといってスポンジや布で強く擦ることは避けるべきです。このような力任せの方法は、表面を傷つけ、その結果、傷の間や繊維の奥深くにカビが浸透しやすくなり、問題をさらに悪化させる恐れがあります。特に衣類のような繊維製品では、繊維の奥にカビが入り込んでしまうと、除去がさらに困難になります。

 

6-1.浴室など水回りの場合

水回りのカビは湿度と密接に関わっています。カビ取り剤を使用する際は、まず表面の水分をできるだけ取り除き、その後カビ取り剤を適用します。カビ取り剤がカビにしっかりと浸透した後、スポンジで軽くこすってカビを除去しましょう。強く擦るとタイルや目地の素材を傷めることがありますので、優しく扱うことが重要です。

 

6-2.壁紙や家具の場合

壁紙や家具に生じたカビは、特にデリケートな取り扱いが必要です。カビ取り剤を使用する前に、試し塗りをして素材への影響を確認しましょう。問題がなければ、カビ取り剤を軽くスプレーし、柔らかい布でポンポンと叩くようにしてカビ取り剤を浸透させます。強く擦ると壁紙が破れたり、家具の塗装が剥がれる原因になります。

 

6-3.衣類など布製品の場合

衣類や布製品についたカビは、カビ取り剤を直接スプレーするか、薄めたカビ取り液に浸すことで除去します。この際、カビ取り剤が素材に適しているか事前に確認し、色落ちしないかテストすることが重要です。適用後は、優しくたたくか、軽く押し洗いすることで、カビを除去します。力強く擦ると、繊維が傷むだけでなくカビが繊維の奥深くに浸透する可能性があります。

 

7.【注意点⑦】素材に注意しながら水拭きする

カビ取り作業後の水拭きは、カビ取り剤の残留を防ぐために重要なステップですが、この際にも注意が必要です。特に、木製品や壁紙など、水分に弱い素材では、水拭きをすること自体が新たなダメージやカビの発生原因となることがあります。

 

7-1.木製品の場合

木製品は水分を吸収しやすく、水拭き後に十分に乾燥させないと、水分が内部に残りカビの原因となります。カビ取り作業後に木製品を水拭きする際は、柔らかい布を軽く湿らせる程度にして、拭き取った後は速やかに乾いた布で水分を取り除き、十分に乾燥させることが重要です。

 

7-2.壁紙の場合

壁紙は水に濡れると膨張や色落ち、剥がれの原因となります。カビ取り剤の使用後、壁紙を水拭きする際は、直接水を壁にかけるのではなく、乾いた布で優しく拭き取るか、必要最小限の水分を含ませた布で軽く拭き取ることが望ましいです。作業後は、自然な風通しでしっかりと乾燥させましょう。

 

7-3.衣類や布製品の場合

衣類や布製品には、カビ取り作業後に水洗いが推奨されますが、洗濯する際はカビ取り剤の指示に従ってください。特に色落ちの心配があるアイテムは、目立たない部分で試し洗いをしてから全体を洗うと良いでしょう。洗濯後は、直射日光を避けた風通しの良い場所で完全に乾かすことがカギとなります。

 

8.【注意点⑧】しっかりと乾燥させる

カビの成長には湿度が大きく関わっています。特に、生乾きの状態はカビが繁殖するのに最適な環境を提供します。カビ取り作業後、表面を水拭きしたり、洗ったりした場合、そのまま生乾きになってしまうと、カビの再発や新たなカビの発生を招く可能性があります。

このため、カビ取り作業後は素材や場所ごとに適切な乾燥方法を選び、迅速に行動することが重要です。表面を水拭きした後や洗濯物を干した後は、可能な限り早く完全に乾燥させるようにしましょう。特に、湿度の高い日や雨の日は、室内での乾燥にも注意が必要です。除湿機の使用、エアコンや扇風機での空気循環、窓を開けての換気など、状況に応じた方法でしっかりと乾燥させてください。

衣類や布製品の場合、生乾きを避けるためには、洗濯後すぐに干す、分厚い衣類は内側を外にして干す、衣類同士の間隔を十分に取るなどの工夫が有効です。また、浴室やキッチンなどの水回りでは、使用後に表面の水分をしっかり拭き取り、換気扇を使って湿気を外に排出することがカビ予防につながります。

家具や壁など、拭き掃除をした後は、乾いた布で水分をしっかりと拭き取り、乾燥させることがカギです。特に木製の家具や壁紙は水分に敏感なため、乾燥させる際には特に注意が必要です。

 

9.自力では難しい場合には専門家へご相談を

ここまで紹介してきた通り、カビ取りには多くの注意点があります。
そのため、「自分でのカビ取りは難しい」と感じる方もいるでしょう。
また、カビが広範囲にわたる場合、自力での対策だけでは根本的な解決が難しく、カビが残るとそこから再発する可能性も高まります。

このような状況の時は、プロのカビ取りサービスに相談するのが一番です。専門家は適切な薬剤と技術を駆使して、カビの原因を徹底的に調査し、根本から除去します。また、再発防止のためのアドバイスも提供してくれます。

  • すぐにカビを除去したい
  • カビの問題を根本的に解決したい
  • 体に負担をかけたくない

このように考えている方は、是非一度ハーツクリーンまでご相談ください。

 

10.まとめ

カビ取り作業は、カビがまだ少ないうちに対処すれば比較的簡単に済み、身体への負担も少なくて済みます。しかし、カビが広範囲にわたる場合は、カビ取りにより時間がかかるため、その分、体への負担も大きくなります。そのため、適切な換気を行い、身体を保護するための手段を講じること、また、作業を短時間で区切って休憩を取ることなど、自身の健康を守る対策を取ることが大切です。

カビ取り剤を選ぶ際には、対象となる素材に適しているか、目的に合ったものを選ぶこと、そして、使用方法や注意点を事前に確認することが重要です。パッケージが似ている製品でも、使用方法や必要な置き時間が異なる場合がありますので、細心の注意を払いましょう。

カビ取りは、ただ単にカビを除去する作業以上の意味を持ちます。自身と家族の健康を守り、快適な生活空間を維持するための重要な一歩です。適切な方法でカビ取りを行うことで、安全かつ効果的にカビの問題を解決し、清潔で健康的な環境を手に入れましょう。