カビの汚染範囲が不明で工事計画を立てられなかった施設において、科学的な調査で状況を可視化し、約3か月半で過不足のない対策工事を完了した事例です。
課題
- カビの汚染度や種類が不明で、対策の要否を判断できなかった
- 処置漏れと過剰な工事費用の間で、解体範囲を決められなかった
- 調査と工事を別々に手配する手間と、情報共有の齟齬が懸念された
成果
- 菌数と菌種により、カビ汚染の状況を客観的に把握できる状態になった
- 客観的データに基づき、適切な工事範囲で対策を完了できた
- 調査から工事までの一貫対応で、ご担当者様の手間と不安を解消した
抱えていた課題/依頼の背景

今回ご相談いただいたのは、施設の建物管理・アフターメンテナンスを担当する住宅・建築関連会社様(以下、同社)です。ご担当の施設内では、男子・女子更衣室や共用廊下など複数の箇所でカビの発生が疑われていました。しかし、壁や天井裏といった目視だけでは確認できない場所も含まれており、汚染の深刻度や範囲、カビの種類を特定できずにいたそうです。
ご担当者様は、処置が不十分でカビが再発する事態は避けたい一方で、必要以上に解体範囲を広げて工事費が膨らむことも避けたい、という難しい判断を迫られていました。判断の根拠となる客観的なデータが不足しており、調査と工事を別々の業者に依頼する手間の多さや、情報伝達の齟齬にも懸念を抱かれていたとのことです。そこで、専門的な調査から対策工事までを一貫して任せられる業者を探されるなかで、弊社にご連絡をいただきました。
今回案件のポイント
本件の成否を分けたポイントは、カビを除去すること自体ではなく、「どこまで解体・処置すべきか」という工事範囲の判断根拠を、客観的なデータとして先に確定させることにありました。感覚的に範囲を決めてしまえば、処置漏れによる再発か、過剰な解体による費用増大のいずれかを招く可能性が高まります。
そのため、まずは付着菌の菌数測定とカビ種類の特定を丁寧に行い、その科学的な結果に基づいて工事範囲を組み立てるという手順を踏みました。また、更衣室内の付着菌だけでなく、共用廊下では空間にカビが広がっていないかを確認するため、浮遊菌の調査も計画に含めています。
さらに、報告書の提出後に壁の解体範囲についてご質問をいただいた際には、その場の口頭説明で済ませるのではなく、報告書自体を修正してご提出しました。ご依頼者様が社内や施設関係者様へそのまま説明できる状態に整えたことも、円滑な意思決定を後押しする重要な要素となりました。
依頼から診断/施工完了までの流れ
ご依頼をいただいてから診断、施工完了までの主な流れは以下のとおりです。
診断の実施

- 現地確認
2026年2月に現場へ伺い、汚染状況と調査対象範囲を確定しました。男子更衣室、女子更衣室、パイプスペース、共用廊下を対象とし、壁・床面・天井面・天井裏など計約10ポイントを調査対象として設定しています。 - 付着菌の菌数測定・カビ種類の特定
目視だけでは判断できない汚染度を数値化するため、付着菌の菌数測定を実施しました。あわせてカビの種類(コウジカビ、アオカビ、クロカビ、ケトミウムなど)を特定し、最適な対処方法を検討するための材料としました。 - 共用部の浮遊菌確認
共用廊下については、カビの胞子が空間に浮遊していないかを確認するため、浮遊菌の測定も計画に含めました。 - 調査報告書・見積書の提出
3月に、調査結果を写真とともに整理した報告書を作成し、必要な対策範囲を反映した見積書とあわせて提出いたしました。 - 報告書の修正対応
壁の解体範囲に関するご質問を受け、報告書を修正しました。解体・処置が必要な範囲とその根拠を書面上で明確にし、修正版を再提出しています。
施工の実施

- 日程調整
施設を稼働させながらの工事となるため、4月に施設側のご予定を丁寧にお伺いし、運営への影響が少ない連休明けに工事日を設定しました。 - 除カビ・防カビ対策工事
5月、調査結果に基づいて確定した範囲の除カビ処理を実施しました。再発リスクを抑えるため、必要な箇所には防カビ処理も行っています。 - 完了報告
5月中に作業内容と施工結果を記載した作業報告書を請求書とあわせて提出し、本件の対応を完了いたしました。 - 完了後の照会対応
後日、ご担当者様より過去に提出した作業報告書について確認のご連絡がありましたが、提出済みの資料をもとにスムーズに対応させていただきました。
得られた結果
客観的データに基づき、過不足のない除カビ・防カビ工事を完了しました。
菌数と菌種の測定により、目視では不明だった汚染状況を客観的に把握できるようになりました。
また、社内および施設関係者への説明に必要な書面一式が整い、完了後の照会にも耐えうる正確な記録体制を構築できました。
ご依頼後、施設の建物管理・アフターメンテナンスを担当する住宅・建築関連会社様より、以下のメッセージを頂戴しました。
「どこから手をつけていいか分からず困っていましたが、専門的な調査で現状を数値化してもらえたおかげで、関係者にも納得のいく説明ができました。調査から工事まで一貫してお任せできたので、非常に心強かったです。」
今回案件で発揮できたハーツリッチの強み
1:菌数と菌種の測定で、目に見えないカビ汚染状況を数値化

ご依頼いただいた当初、ご担当者様は目視では判断できないカビの汚染状況に直面し、対策範囲を決めかねていました。専門的な知見がなければ、どこまで対応すべきかの判断が難しい状況でした。
そこで弊社は、付着菌の菌数測定とカビ種類の特定を実施。感覚に頼るのではなく、客観的なデータによって汚染の現状を正確に把握するアプローチを取りました。
これにより、ご担当者様が必要とされていた専門的な判断材料が揃い、データに基づいた具体的な対策を検討できる状態を整えることができました。
2:科学的根拠に基づく提案で、過不足のない工事範囲を確定
カビ対策には、処置漏れによる再発のリスクと、過剰な解体による工事費増大のリスクが常に伴います。ご担当者様も、この二つのリスクの間で判断に迷われていました。
弊社は調査結果という科学的根拠をもとに、壁や天井をどこまで解体・処置すべきかを具体的にご提案しました。
双方のリスクを回避するための明確な判断根拠が示されたことで、ご担当者様は安心して工事の実施に踏み切ることができたのです。
3:調査から工事まで一元化し、情報共有の齟齬と手間を解消
調査会社と工事会社を別々に手配する場合、ご担当者様の手間が増えるだけでなく、業者間の情報伝達ミスがプロジェクトの遅延や品質低下を招く懸念がありました。
弊社では、お問い合わせから現地確認、報告、施工、そして完了報告まで、すべての工程を一貫して進行。
窓口を一本化することで、ご担当者様の負担を大幅に軽減し、情報の齟齬のないスムーズなプロジェクト進行を実現しました。
4:依頼者の説明責任を支える、報告書の即時修正対応
施設の管理を担当されるご担当者様は、社内や施設関係者様に対して、対策の必要性や内容を説明する責任を負われていました。
弊社では、解体範囲に関するご質問をいただいた際、単に口頭でご説明するのではなく、報告書自体を速やかに修正して再提出しました。
これにより、ご担当者様が口頭で補足説明をする必要がなく、そのまま関係各所への説明資料として活用できる状態を整えました。この対応が、円滑な合意形成を力強く後押ししたと考えております。
5:施設の稼働を最優先した、柔軟な工事日程の調整
今回の施設は常に稼働しており、工事による運営への影響を最小限に抑えることが必須条件でした。
弊社はご依頼当初からその点を深く理解し、施設側のご予定を最優先。ご担当者様と密に連携を取りながら、施設の休業期間である連休明けに工事日を設定しました。
この柔軟な日程調整により、施設の運営に支障をきたすことなく、計画どおりにすべての対策を完了させることができました。
代表 穂苅からのコメント
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今回の鍵は、単にカビを取り除くこと以上に、工事範囲をどう決めるかという「判断の拠り所」を科学的にご提示することでした。弊社の強みである建築知識と菌類への深い知見を組み合わせた調査だからこそ、客観的なデータに基づいた最適なご提案が可能です。データによってご担当者様の不安が解消されたことは、私にとっても大きな喜びでした。