砂壁(珪藻土)に発生したカビのカビ取り方法と再発を防ぐテクニック

「砂壁が良いって聞いたから砂壁にしたのに、カビが酷い!こんなことなら砂壁にするんじゃなかった・・・」

といった声をカビ取りに行くと度々聞きます。

予想以上に砂壁や珪藻土のカビ問題が多く、塗装や壁紙よりも圧倒的にカビの除去や防カビが難しい為、弊社でも砂壁や珪藻土のカビに関する相談をよく頂きます。

珪藻土のカビ

また、リフォームや新築検討時に砂壁を薦められることが多くあります。正しい場所で使えば、様々なメリットがありますが、使用場所を間違ってしまうとカビ発生の元凶になってしまうこともあります。

  • 現在砂壁や珪藻土を壁に使っているがカビが既に発生していて困っている方
  • リフォーム時に砂壁・珪藻土を採用するか迷っている方

に向けて本記事を書いていきます。

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1.砂壁にカビが生えた時の対処方法

1-1.原因を把握

砂壁でカビが発生する原因は以下の4つが考えられます。

  • 結露
  • 漏水
  • メンテナンス不十分
  • 自然発生

それぞれ、何故カビが発生するのかについて説明していきます。

カビが発生しているのを見つけたら気持ち悪く感じてしまいますが、まずは原因を把握するようにしてください。湿度や温度などが原因の自然発生であれば、早急にご自身でカビ取りを行っていただくか、カビ取り業者への相談。漏水の可能性が考えられる場合には、マンションであれば管理会社、戸建てなら工務店に相談をしてください。

1-2.カビ取りorリフォームかの基準

大きく分けて以下のように分けることが出来ます。

カビ取りを行った方が良い基準・・・自然発生・メンテナンス不十分な場合

リフォームをおこなった方が良い基準・・・漏水・結露が発生している場合

なぜそうなるのか説明していきます。

自然発生・メンテナンス不十分な場合

カビは20℃以上の温度、60%以上の湿度、水分やほこりなどの栄養素が原因となって発生してしまいます。そのため、カビ取りを行うのと同時に環境改善を心がけて頂くことで、再発を防ぐことが出来ます。

漏水・結露が発生している場合

このような場合には一度根本的に対処しないと、再び水分を栄養素としてカビが発生してしまいます。

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2.生えたカビの種類による発生原因

2-1.黒カビ・紫・赤カビが発生している場合

黒カビ、紫カビ、赤カビは非常に水分を好むという特徴があります。そのため、これらのカビが発生している場合には、

  • 水道管などの破損で漏水が起こっている。
  • 寒暖差が激しく結露が発生している。
  • 湿度が高すぎる。

この3つが関係している可能性が高いです。

そのため、この種類のカビが発生した場合には

  • 水が垂れて来てはいないか。
  • 結露が発生していないか(特に寒暖差の激しい朝晩など)。
  • 温度計・湿度計を設置して適切な温湿度かどうかを計測する。

こちらを確認するようにしてください。

2-2.青カビ・茶色いカビが発生している場合

青カビと茶色いカビはジメジメとした環境を好むカビです。

温度や湿度が高すぎる。

湿度や温度が高すぎる可能性があります。温度計・湿度計を設置して適切な温湿度になっているか確認してください(20℃以上の温度・60%以上の湿度をカビは好みます)。

日当たりが悪くなってしまっている。

北側の部屋だったり、住宅の密集地だったりすることで日当たりが悪いと、紫外線による殺菌がされにくくなってしまいます(日光に含まれている紫外線にはカビを殺菌する効果があります)。

また、元々は日当たりの良い部屋であったとしても、

盆地や間取りや家具の配置が悪い

盆地だったり家具の配置の仕方が悪かったりすると、風通しが悪くなってしまいます。風通しが悪いと空気が滞留しやすくなり、湿気が溜まりやすくなり埃も溜まりやすくなってしまいます。

これらのことが原因となって発生してしまうことがあります。

また、砂壁は左官で塗っているため、1mm程度の厚さになります。砂壁には一般的には調湿効果があると言われていますが、1mm程度と薄いため、湿気が溜まりすぎて、許容範囲を超えた状態が続くと、砂壁に付着した埃などの栄養素もありカビが発生します。

2-3.その他

掃除不足が関係していることもあります。

砂壁の種類によっては表面が凸凹しているため、どうしても埃が付きやすくなってしまいます。凸凹している分お手入れはしにくくなってしまいますが、掃除を怠っていると、その蓄積された埃を栄養素としてカビが発生してしまいます。

3.カビ取りの基準

3-1.自分でカビ取りをするレベル

「何とか自分で砂壁のカビを取ることは出来ないか」

弊社には電話やメールでこのような問合せをいただくこともあります。

  • 砂壁は表面が凹凸している。
  • ポロポロと崩れてきやすい。
  • 液剤の垂れ跡が残りやすい。

このような特徴があるため、カビ取り業者でも砂壁のカビ取りには苦労することが多いのが現状です。そのため、弊社ではご自身で砂壁にカビ取りをすることはあまりお勧めしていません。しかし、費用面の問題などでご自身で砂壁のカビ取りを考えている場合には、以下の条件に当てはまれば、ご自身でカビ取りをすることが出来ます。

  • 砂壁のカビが発生している範囲が狭い。
  • カビの発生箇所が高い場所や狭い場所ではない。
  • カビの色素が取れなくても良い(見た目がきれいにならなくても良い)。

↑自分でカビ取りを行える基準のカビです。

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3-2.カビ取りを依頼する基準

「自分でカビ取りを行う基準」とは反対に、

砂壁の広範囲にカビが発生してしまっている。

珪藻土のカビ

→広範囲のカビだと、カビ取りに慣れていない方がご自身でカビ取りを行うと材質を傷つけてしまったり、カビを取り残してしまったりする可能性が高くなってしまいます。また、範囲が広くなれば広くなる分、カビ取り作業にかかる時間も長くなってしまうので、カビ取りに慣れていない方にはかなり負担の大きい作業になってしまいます。

カビの発生箇所が高所や狭い場所である。

→高所だと脚立などを使った作業になります。足元が不安定になるので、バランスを崩してしまい、転落事故に繋がってしまうこともあります。また狭い場所だと身動きが取りにくくなるので、作業もしにくくなってしまいます。カビ取りに慣れていない場合には、このような場所にあるだけで、さらにカビ取りの難易度が上がってしまいます。

カビの色素もしっかり落としたい(見た目もきれいにカビ取りしたい)。

このような条件に当てはまる方は、プロのカビ取り業者へ施工を依頼するようにしてください。また、「カビの色素は取れなくても良い」と思って、一度ご自身でカビ取りを行ったことがある方でも、カビの発生している場所が拡がってきてしまっていると感じた方は、カビを除去出来ていない可能性や温度や湿度、漏水や結露など、根本的な原因が残っている可能性が考えられます。このような場合にもカビ取り業者へ施工を依頼するようにしてください。

一度カビ取りをしたことがあるが、再発してきてしまった。

以前、一度ご自身でカビ取りをしたことがあり再発してきてしまったという場合も業者に依頼してください。

一度カビ取りをしたが再発してきてしまうということは、完全にカビを除去しきれていなかったか、カビは除去出来ていたが環境が悪かった(湿度管理や温度管理が出来ていなかったなど。その他土地が原因の場合もあります)などの可能性も考えられます。プロのカビ取り業者ではないと本当の原因を見つけることが出来ないこともあるので、このような場合にはカビ取り業者への依頼をするようにしてください。

3-3.カビ取りを勧めるケース

茶色いカビが発生している場合

今まで我々が施工を行ってきた砂壁に発生していたカビは、ほとんどが茶色いカビでした。

この茶色いカビは、一般の方ではカビだと気が付かずにいる場合もあります。これは、一見するとシミのように見えてしまい、一般の方だとカビだと気が付かずに見過ごしてしまう場合もあります。そのため、シミだと思って放置していたら、どんどん拡がってきてしまうこともあります。これがシミなのかカビなのかを見極めるのは、カビ取り業者ではないと難しいです。そのため一度カビ取り業者へ依頼することをお勧めします。

カビの臭いがする場合

カビの臭いがする場合にもカビ取りすることをお勧めします。カビの臭いがするということは、白カビか青カビが発生している可能性が高いです。このカビは他のカビに比べて拡散力が強く、あっという間に家全体に拡がってしまい、数日後には全然カビが発生していなかったような場所にまで拡がってしまう可能性があります。

3-4.リフォームを薦めるケース

下記の場合には、まずリフォームすることをお勧めしています。

①結露がひどい場合

結露は室内と室外の気温差が激しいときに発生する現象になります。

窓の結露を見たことがあるという方は多くいらっしゃると思いますが、気温差が激しい場所であれば砂壁にも結露は発生します。砂壁は水分を吸収する働きがあるので、発生した結露を吸収してカビが発生するための栄養素としてしまいます。

②壁が膨らんでいる

壁が膨らむ原因としては、湿気が入り込み膨張してしまったことが考えられます。

このような状態だと、自力で膨らみを戻すことが出来ないためリフォームを行い修理するしかありません。

また、湿気で膨らむということは、室内の湿気が多いということになります。併せて室内の湿度を下げるために除湿器を使うなどの対策も必要になります。

※土地の問題で湿度が上がっている可能性もあるので、一度カビ取り業者へ相談することをお勧めしております。

4.砂壁のカビを取る方法

ここでは、自分でカビ取りを行う基準に当てはまった方で、実際にカビを取る方法について説明していきます。

<用意するもの>

  • 400ppm以上の次亜塩素酸水
  • スプレーボトル 1本

除菌研究所 次亜塩素酸水生成パウダー

出典:Amazon



<カビ取りの手順>

手順① スプレーボトルに400ppmに薄めた次亜塩素酸水を入れます。

手順② カビが発生している箇所に下のほうからたっぷり吹きかけてください。

手順③ よく乾燥させてください。

※次亜塩素酸水には漂白効果がないため、垂れて来ても垂れ跡がつきにくいです。

※上から噴霧すると汚れが下に垂れてしまい、垂れ跡が残るケースがあります。

※漂白効果はないためカビの色素までは落とすことは出来ません。

※カビ取りを行う際には、ゴーグル、マスク、手袋、汚れても良い長袖長ズボンを着用にて行うようにしてください。

5.何故リフォーム業者は砂壁を薦めているのか

元々は砂壁ではなかったが、壁紙の交換や塗装の塗り直し、その他住宅のメンテナンスの際にリフォーム業者から砂壁を勧められるといった事例もございます。

では、何故リフォーム業者は砂壁を薦めてくるのでしょうか。

正しく使えば大変優れた建材になります。

5-1.防火性に優れているから

砂壁は砂で出来ているため不燃性物質になります。不燃性物質は燃えにくく防火性が高いという特徴があります。日本にはまだ木造の住宅が多いため、防災対策という観点から砂壁を勧められることもあります。

5-2.消臭効果があるから

砂壁は消石灰や岩塩などの自然素材でできているため、呼吸をしています。そのためペットの臭い、料理の臭いなども吸収し、快適な空間を保ちます。

5-3.有害物質を吸収するから

家具や建材に含まれている、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、キシレンなどの有害物質を吸収する働きがあります。

6.砂壁を使ってはいけない場所

このようにメリットの多い砂壁ですが、下記のように使ってはいけない場所というのも存在します。もしリフォーム会社に薦められたとしても、もし以下のような場所だった場合には、砂壁の使用を避けるようにしてください。

6-1.湿度の高い場所

低層階だと湿気が溜まりやすいという特徴があります。また、地下は窓がないため、換気を行うことが難しくなります。上記でも挙げましたが、一般的に砂壁には調湿を吸収する機能があると言われています。しかし厚さが薄いため、元々湿度が高い空間だと、すぐに許容範囲を超えて、カビが発生しやすくなる危険性があります。

6-2.日光が当たらない場所

日光に含まれている紫外線には菌を殺菌する効果があります。つまり、日光に当てるだけで菌を殺菌し、カビが発生しにくくすることが出来ます。しかし、日光に当たりにくい場所にあると紫外線も当たらないということになってしまうので、カビが発生しやすくなります。

そのためカーテンやシャッターを閉め切っている部屋、建物などの影になっていて日光が入りにくい部屋や北側の部屋などには砂壁は使わないようにしてください。

一般的に、南側の部屋は日当たりが良いと言われています。しかしこのような部屋でもカーテンやシャッターを閉め切っていたら全く日光が入ってこないことになるので、注意してください。

6-3.結露が酷い場所

砂壁には水分を吸収しやすいという特徴があります。

そのため、内部と外部の寒暖差が激しい部屋だと結露が出来やすくなるので、その発生した結露を吸収してしまい、カビが発生しやすくなってしまいます。

6-4.普段出入りをしない場所

物置用の部屋として使用していたり、お客様用の部屋として使用していたりして、普段あまり人が出入りしていない部屋の場合にも注意が必要です。

人が出入りしていないということは、その分空気が滞留してしまいます。空気が滞留することで埃が溜まりやすくなってしまいます。砂壁は種類によりますが、表面が凹凸していることが多いので、埃が付着すると取れにくくなってしまいます。また、人の出入りが少ない分、湿度管理や温度管理をきちんと行っていない場合も多いと思います。そのため高い湿度と温度、埃(カビの栄養素になります)が合わさることでカビが発生しやすい環境になってしまいます。

7.砂壁を正しく使うことで快適な健康住宅に

近年では、シックハウス症候群という病気が問題となっています。シックハウス症候群とは、家具や建材などに使われているホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、キシレンなどといった化学物質やカビ・ダニなどが原因の病気で、めまいや頭痛、咳などの症状が現れます。風邪と症状が似ているため、シックハウス症候群だと気が付かない方場合もあります。

このシックハウス症候群を予防するために、自然素材の家具や建材を使用した健康住宅を建てる方も居ます。

自然素材とは化学物質を使用していないもののことで、これを住宅に使用することで、シックハウス症候群の原因と言われているホルムアルデヒドなどを吸収せずに済みます。

砂壁も自然素材の例外ではありません。また、砂壁は上記で挙げたように、防火性・消臭効果・有機物質の吸収というメリットがあります。

そのため砂壁は湿度が高い場所や日光が当たらない場所、結露の酷い場所のように、使用場所さえ間違うことがなければ、私たちの健康を守るために大きな力を発揮してくれる存在と言えます。

8.FAQ「よくあるご質問」

砂壁の種類もたくさんありますがお勧めはありますか?

代表的な砂壁の種類として、エコカラット、シラス壁、漆喰などが挙げられます。

【エコカラットの特徴】

砂壁なのに水拭きをすることが出来るのが大きな特徴です。通常の砂壁は水分を吸収しやすくカビが生えやすくなってしまいますが、エコカラットは表面が超微細構造になっているため、粒子が大きくなってしまう水分が通りにくくなっています。そのため、洗面所などの水気がある場所でも安心して使用することが出来ます。

【シラス壁の特徴】

シラス壁は静電気が発生しにくいという特徴があります。そのため、カビの栄養素となる埃が付着しにくくなり、頻繁にお手入れをする手間を省くことも出来ます。

あまり使うことのない部屋だけど、砂壁を使用したいという場合には、こちらをお勧めします。

【漆喰壁の特徴】

漆喰もシラス壁と同じく静電気が発生しにくい素材です。また、ph濃度が高いアルカリ性の素材です。

どれもカビが生えにくいです。使用したい場所に合わせた素材を選ぶことをお勧めします。

まとめ

■カビが発生している範囲が狭い場合や、発生箇所が高所や狭い場所ではない場合は自分でカビ取りすることをお勧めします。

■結露が酷かかったり、壁が膨らんできていたりする場合にはリフォームが必要になります。

■湿度の高い場所、日光が当たらない場所、結露が酷い場所、普段出入りをしない場所に砂壁を使用することは危険です。

■シックハウス症候群の予防のためにも健康住宅が注目されています。砂壁は自然素材で、化学物質が含まれていないので、使用場所をしっかりと守ることで、健康維持に力を発揮します。

■砂壁を検討している場合には、エコカラットやシラス壁、漆喰壁を使用したい場所に合わせて選ぶことをお勧めします。