施工事例

【見解書作成・施工】停電によるカビ被害を科学的に証明。保険適用につなげた大学地下保管室の除カビ施工事例

【見解書作成・施工】停電によるカビ被害を科学的に証明。保険適用につなげた大学地下保管室の除カビ施工事例

案件情報

住所
千葉県柏市
物件用途
国立大学研究所
作業内容
カビ発生状況の調査・温湿度ログデータの時間単位解析・カビ生育モデルを用いた因果関係の数値化・専門的な見解書の作成(保険申請に使用)・除カビ・防カビ施工・施工後の菌数検査
作業人数
調査1名、施工2名
作業時間
約6時間
作業面積
ー
作業費
調査・見解書作成 /除カビ・防カビ施工 税込603,900円

事例の概要

千葉県柏市の大学研究室で、構内停電により約39日間空調が停止し、カビが大量発生した大学の地下保管室において、科学的調査で事故との因果関係を証明し、難易度の高かった保険適用と施工予算の確保を実現した事例です。

課題

  1. カビの原因が日常的な湿気か、停電という事故なのかを特定できなかった
  2. 保険申請を提出するための、客観的で定量的な根拠が不足していた
  3. 組織内で承認を得るための、専門家の見解をまとめた資料がなかった

成果

  1. カビ指数を用いて、停電とカビ発生の因果関係を数値で明確に証明した
  2. 専門的な見解書が根拠となり、難易度の高い保険の適用が認められた
  3. 保険適用で予算を確保し、保管室と物品類のカビを完全に除去できた

抱えていた課題/依頼の背景

大学の研究機関様(以下、同機関)の地下保管室でカビが発見されたのは、夏期休業中のことでした。構内の受変電設備の保全作業に伴う停電が原因で、エアコンと除湿機が約39日間も停止していたのです。室内に保管されていた資料や研究関連の備品は、広範囲にわたりカビの被害を受けていました。

しかし、ご担当者様が直面されていた本当の課題は、カビの除去作業そのものではありませんでした。このカビ被害が、単なる「湿気が原因の経年劣化」なのか、それとも「停電という突発的な事故」によって引き起こされたものなのかを、客観的に証明する必要に迫られていたのです。事故性が認められなければ保険の適用は難しく、大学という組織の性質上、担当者の一存で高額な施工予算を確保することも容易ではありません。そこで、施工会社としてだけでなく、この現象を専門的に解明できる相談先として、弊社にお声がけいただきました。

今回案件のポイント

本件の成否は、調査結果が保険申請の可否を左右し、その結果が施工予算の成立を決めるという構造にあった点が最大のポイントでした。カビ被害が日常的な湿気によるものと判断されれば、予算は確保できません。停電という特定の事象が原因だと立証できて初めて、必要な処置へと進める状況でした。

そのため、「カビが出そうな条件だった」という経験的な説明ではなく、科学的な根拠が求められました。弊社は、実測された温度と湿度のデータを時間単位でカビ生育モデルに当てはめ、カビが成長可能な時間を積算するという定量的な評価を実施。これにより、停電期間中の環境がいかにカビの生育に適していたかを、「カビ指数」という客観的な数値で示しました。

また、「カビがあるから停電が原因だ」という結論の先取りを避け、停電からカビ発見までの時系列と環境条件が矛盾なく一致することを丁寧に確認しました。第三者である保険会社や学内関係者が読んでも論理的に納得できる、筋の通った見解書を作成することを徹底しています。

さらに、保管されていた什器や段ボールなどに付着したカビを残したままでは、空間全体のリセットにはならないと判断しました。建物表面だけでなく、保管物も一体で処置する計画を立てたことも、根本的な解決に向けた重要な判断でした。

依頼から診断/施工完了までの流れ

ご依頼をいただいてから診断、施工完了までの主な流れは以下のとおりです。

診断・見解書作成

  1. 現地調査
    地下保管室を訪れ、カビの発生状況を詳細に確認しました。壁や床、棚だけでなく、室内に置かれていた物品類の状態まで一つひとつ記録しました。
  2. 温湿度ログデータの解析
    ご提供いただいた温湿度データを1時間単位で解析しました。カビの生育速度を評価する公開特許に基づく手法(カビ生育モデル)を用い、カビが成長可能な時間を定量的に算出しています。
  3. 通常運転時と事象期間の比較
    空調が正常な期間(平均22.5℃・45%RH)はカビ指数が0であったのに対し、停電期間中の環境では約7割の時間がカビの生育可能条件に該当し、カビ指数が約30に相当することを確認しました。この対比により、停電が異常な環境を生み出したことを明確にしました。
  4. 建築条件を踏まえた解釈
    参考としたデータは上層階のものであったため、より湿気がこもりやすい地下階という条件を考慮しました。測定値をそのまま当てはめるのではなく、前提条件の違いを踏まえたうえで慎重に考察を進めています。
  5. 時系列の整合性の確認
    「停電 → 空調停止 → 高温多湿 → 長期間放置 → カビ発見」という一連の流れに矛盾がないかを確認し、出来事の経過と環境条件が一致していることを整理しました。
  6. 専門的な見解書の作成
    すべての解析結果を統合し、「停電と空調停止がカビ発生の主因であった」と結論づける専門的な見解書を作成しました。ご担当者様が説明しなくても、資料自体が説得力を持つように構成しています。
  7. 保険申請
    作成した見解書を根拠として保険申請が行われ、結果として、申請難易度の高かった保険の適用に至りました。
  8. 廃棄・残置の整理
    施工に先立ち、保管されていた物品について、廃棄するものと除菌して残すものを、ご担当者様とともに整理しました。

施工の実施

  1. 除カビ・防カビ施工
    壁・床・天井・棚(219㎡)に加え、加湿器や机、段ボールといった什器・物品類もすべて施工対象としました。カビ取り剤を丁寧に噴霧し、タオルなどで細部まで拭き取る作業を徹底しました。
  2. 施工後の菌数検査(ATPふき取り検査)
    施工後、空間の清浄度を数値で確認するため、出入口2箇所でATPふき取り検査を実施しました。結果はそれぞれ6と9で、いずれも清潔基準内であることを確認し、施工の効果を客観的に証明しています。
  3. 着色残存についての説明
    施工後も一部に残ったカビ由来の着色について、菌は死滅しているものの色素沈着は残る可能性があることをご説明し、報告書にも明記しました。
  4. 施工報告書の提出
    施工内容と検査結果をまとめた詳細な報告書を提出し、一連の対応を完了しました。
  5. 施工後の照会対応
    後日、床の汚れに関するお問い合わせがありましたが、本作業は清掃とは目的が異なることをご説明し、ご理解をいただきました。

得られた結果

停電とカビ発生の因果関係が、「通常時カビ指数0、停電時約30」という客観的な数値によって定量的に証明されました。第三者が読んでも納得できる技術的な見解書により、申請が難しいとされていた保険の適用も実現しています。

保険適用によって施工予算が確保され、本格的な除カビ・防カビ施工へと進む道筋が整いました。地下保管室の壁・床・天井・棚219㎡に加え、室内にあった什器・物品類まで含めた包括的な処置を完了しています。

施工後のATP検査では清潔基準内であることを確認し、カビ汚染からのリセットを数値で示すことができました。

今回案件で発揮できたハーツリッチの強み

1:経験則を覆す科学的データで、カビの原因を数値化

カビ被害の原因究明は、一般的には「湿度が高かったから」といった経験則に基づいた説明に留まりがちです。しかし本件では、保険申請という明確な目的があり、客観的な証明が不可欠でした。

そこで私たちは、単なる状況証拠ではなく、実測された温湿度データをカビ生育モデルに当てはめるという、科学的なアプローチを選択しました。通常時と停電時の環境を「カビ指数」という定量的な指標で比較し、誰もが客観的に理解できる形で因果関係を提示しています。

この数値による証明があったからこそ、単なる憶測ではない専門的な根拠として受け入れられ、次のステップへと進むことができたのです。

2:誰もが納得する技術文書で、組織内の意思決定を後押し

大学という組織内で予算を伴う決定を進めるには、担当者個人の意見だけでは不十分です。意思決定者や関係部署、そして保険会社といった第三者を納得させられる、客観的で論理的な資料が求められていました。

私たちは、調査データ、計算根拠、比較分析、時系列の整合性、そして専門家としての結論までを、一つの技術文書に集約しました。ご担当者様が複雑な説明をしなくても、資料そのものが説得力を持つ状態を作り上げています。

この見解書が、組織内での円滑な合意形成と、保険申請という外部との交渉における強力な拠り所として機能したのです。

3:調査から施工まで一貫した設計で、確実な復旧を実現

今回のご依頼は、調査と施工が分断されていては決して成立しませんでした。調査は施工予算を確保するための前提条件であり、施工は調査結果を現実の復旧につなげるための最終工程。この一連の流れを、初めから一つのプロジェクトとして設計できたことが弊社の大きな強みです。

因果関係の証明から始まり、保険適用による予算確保、そして建物と保管物を一体とした包括的な除カビ・防カビ施工まで。すべての工程で情報が途切れることなく、一貫した目的意識を持って対応しました。

だからこそ、単にカビを取り除くだけでなく、ご担当者様が抱える根本的な課題を解決し、確実な復旧へと導くことができました。

代表 穂苅からのコメント

今回の事例で最も重要だったのは、目に見えるカビの裏に隠された「なぜ?」という問いに、科学的な根拠を持って答えることでした。停電とカビ発生の因果関係を証明するという、非常に難易度の高い課題だったと記憶しています。

私たちの強みであるカビ生育モデルを用いた定量的な分析が、ご担当者様が組織を動かし、未来へ進むための確かな拠り所となれたことを、大変嬉しく思います。専門知識がお客様の不安を安心に変える一助となれた瞬間は、私たちにとって何よりの喜びです。

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