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優良のカビ調査業者を選ぶ際に注意すべきポイントを徹底解説

著者穂苅 英樹

日本の多湿な気候では、建物内部、外壁や商品にもカビが発生することが珍しくありません。商品が毎年カビの被害を受けることで、大きな損失を招くケースも多く、さらにカビが健康被害を引き起こすこともあるため、早急かつ適切な対策が求められます。

カビ取り業者は、発生したカビの除去と再発防止を目的としていますが、カビの発生原因の特定や、どこまで除去が必要かといった根本的な判断までは対応が難しいことが多いのが実情です。

カビ調査業者は建物の汚染度を把握するための調査を行い、構造的な問題など建築的な視点からも解決策を見出すことができます。そのため、カビの発生状況や建物の状態に応じて、適切な業者を選ぶことが重要です。

本記事では、現在お悩みのカビ問題を正確に分析し、それに最適な業者を選ぶポイントを具体的に解説します。問題に合った専門業者に依頼することで、カビの根本的な解決を最短かつ最速で実現することが可能です。

1.はじめに

弊社ハーツクリーンはカビの専門業者として、カビ取り施工だけでなく、多岐にわたるカビ調査も行ってきました。
調査の目的は、カビ菌による部屋の汚染度を調べる単純なものから、新築時に発生したカビの原因特定、責任の所在の明確化、除菌の範囲の線引き、弁護士と協力して仲裁役まで様々です。

また、専門家として見解を述べることも少なくありません。 これまでの豊富な調査経験から得た知見を基に、カビ調査の重要性や業者選定において知っておくべきポイントを解説いたします。  

 

1-1.カビ調査の重要性について

カビ調査は、単なるカビの除去以上に、多くの重要な役割を果たします。

弊社では、ゼネコン、工務店、不動産業者、倉庫業者、メーカー等から、今後のカビ発生を防ぐためにどのような対策や設備を導入するべきかという内容の相談を受けています。
これには、環境の正確な汚染度・含水率・菌の種類を特定し、適切な分析や考察に加え、過去の事例に基づいた内容で、コンサルティングも行っています。

このようにカビ調査は根本解決の一環として、非常に大きな価値を持っています。 

 

カビによるお客様とのトラブル時も、調査は非常に重要です。

例えば、ある工務店の事例では、新築時に発生したカビが原因でお施主様との間に訴訟問題が発生し、建て替えが検討されていました。
そこで弊社が詳細なカビ調査を行い、正確な菌数の測定と過去の事例を総合的に判断したところ、1階部分のみの除カビおよび防カビ対策で対応できることが判明しました。

お客様もその結果に納得いただき、建て替えではなく除カビ防カビ作業となったことで、工務店側からしたら数千万円の損失を防ぐことになりました。

 

第三者がカビ調査を行うことで、お客様も話を聞いてくれることも多く、健康リスクの把握や第三者的な見解の提供が可能となり、適切な対策を講じることができます。
また、コスト削減にもつながり、長期的に見ても非常に有益であることが多いです。

 

1-2.目的別で業者選定を決める

カビの調査を行う目的は様々ですが、カビ調査業者にもそれぞれ得意不得意があります。

例えば弊社は、過去に多数のカビ問題を解決した実績があり、さらに建築に関する知識も持っています。
そのため、豊富なカビ問題の事例をもとに、カビと建築においての総合的な判断を行い、今後の対策について見解を述べることや、除菌の範囲を明確にすることを得意としています。

また、汚染度を正確に判断するための最新の機器も導入しています。 

 

逆に、弊社が苦手とするのはカビの菌の種類を特定する同定検査です。
これは職人的な技術が要求されるため、最新AI等を駆使していますが、大学の専門機関と比べるとどうしても劣ってしまいます。

そのため、菌の種類が非常に重要な場面では、弊社よりも大学機関に依頼する方が良いでしょう。
有名なところでは、北里環境科学センターが同定検査において非常に優れた機関です。
こちらは菌数の正確な把握と菌の種類の特定に優れていますが、逆にカビの除去方法や解決策に関する見解を求めることは難しいです。

そのため、カビの調査を行う際には、最終的な目的に基づいて業者を選ぶことをお勧めします。  

 

2.カビ調査業者を選ぶポイント

続いて、優良なカビ調査業者を選ぶためのポイントを紹介します。
カビ調査業者を選ぶ際には、以下の5つが揃っている業者を探すようにしてください。

 

 

2-1.カビに関する専門知識

当たり前ですが、カビ調査においてカビの専門知識は非常に重要です。
そのため、カビの種類やその影響について深い知識を持っている業者を選ぶようにしましょう。

特に法人施設では健康被害や建物の損傷を防ぐために、カビの特定とその対応策についての詳細な知識が求められます。

まずは、業者がどのような種類のカビに対応できるか、過去の実績を確認するようにしてください。
具体的なカビの種類に関する知識や、これまでにどのようなカビ問題を解決してきたかを確認することで、信頼性や対応力を知ることができます。  

2-2.建築の専門知識や資格

カビ調査では建築の知識と資格が重要

カビの問題を正しく解決するには、カビの専門知識だけでなく、建築や法律に関する知識も不可欠です。そのため、以下の資格を有する専門業者を選ぶと、より効果的な対策が期待できます。

重要な資格一覧

  • 建築士
    建築構造や設計に関する専門知識を持ち、住宅の構造的な欠陥の有無を判断できます。

  • 一級建築施工管理技士
    工事全体の管理や施工の品質保証を担当でき、改修が必要な場合も安心です。

  • マンション管理士
    マンション特有の設備や管理問題に精通しており、共有部分のカビ問題にも対応可能です。

  • 住宅診断士
    住宅の健康診断を行い、建物の劣化状況や欠陥を見つける専門家です。

  • 宅地建物取引士(宅建士)
    不動産取引に関する法律知識を持ち、賃貸・売買物件のカビ問題にも対応できます。

  • カビ対策技術者(協会発行の資格)
    カビに特化した技術や対策の専門知識を有し、適切な除去や再発防止策を提案します。

建築的観点から考えるカビ対策

カビの発生原因を正確に把握するためには、建物の構造を理解し、結露や漏水のリスクを総合的に判断できる知識が必要です。たとえば、黒カビが多く発生する場合、以下のような要因を考慮する必要があります。

  1. 結露と漏水の特定

    • 窓や壁の結露の原因が、換気不足なのか、断熱材の欠如によるものかを調査。
    • 漏水の有無も確認し、雨漏りや配管からの水漏れの可能性を排除します。
  2. 構造・施工の確認

    • 壁紙の施工方法:コンクリートに直接壁紙が貼られているか、間に空間や断熱材があるか。
    • 断熱材の有無:断熱の不足があると、温度差で結露が発生しやすくなります。
    • ヒートブリッジ(熱橋)の影響:金属部材などが外気の冷気を伝え、結露を引き起こす場合があります。

これらの要素を頭の中でイメージし、原因を特定することが、正確なカビ対策の第一歩です。専門知識を持つ業者であれば、カビの再発防止に向けた根本的な解決策を提供できます。

2-3.経験と実績

経験豊富な業者は、多種多様なカビ問題に対応してきた実績があり、これが業者選びの重要な指標になります。カビ問題は現場ごとに状況が異なるため、豊富な経験がある業者ほど、適切な原因の特定と効果的な対策が可能です。そのため、具体的な事例や顧客の声を参考にして、業者の信頼性を確認することが重要です。特に法人施設での対応実績が豊富な業者は、建物の用途や管理方法、地域の気候に応じた独自の解決策を持っている可能性が高く、より安心して依頼することができます。

たとえば、ユニット式のホテルでは換気を目的に屋上に通気孔を設置することが一般的ですが、沖縄のように台風が頻発する地域では、猛烈な風と雨が通気孔から侵入し、天井裏の湿度が上昇してカビが増殖するケースがあります。このような特殊な条件下での問題は、類似の経験を持つ業者でなければ原因を正確に把握し、適切な対策を講じるのが難しいことがあります。したがって、依頼する前に、業者が同様の事例に対応した実績を持っているかどうかを確認することが大切です。

信頼できる業者は、カビの発生原因を突き止めるための具体的な調査手法や改善策を事前に明示し、これまでの実績や顧客の声を積極的に公開していることが多いため、事前にそれらを調べるようにしましょう。また、カビ問題を根本的に解決するには、単に除去するだけでなく、再発を防ぐための対策まで含めた包括的なアプローチが必要です。こうした点を踏まえて、経験豊富で実績のある業者を選ぶことが、安心かつ効果的なカビ対策につながります。

 

2-4.カビ調査の方法と技術

最新の技術や確立された最適な方法を用いてカビ調査を行う業者を選ぶことをお勧めします。

例えば、カビの培養試験にはいくつかの方法があります。
培地にカビを付着させて培養する方法や、部屋の中に培地を置いて落下した菌を検査する落下菌検査などがあります。
しかし、エアーサンプラーを使用して空気中の指定した量の空気を吸引し、カビの数を検査する方法の方がより正確です。

また、培養の際に温かい場所に置く業者もいれば、培養器(インキュベーター)を使用して正確に判断する業者もあります。
このようにカビの培養試験と言っても、方法は様々なため、より精度の高い方法で行っている業者を選ぶのが最善の選択です。

 

そして、自社での設備が整っているということも重要です。

弊社の経験から言うと、同定試験を他社に依頼していた時は、調査に時間がかかり、現場に合わせた試験を行うことが困難でした。
しかし、自社で研究室を設けてからは、現場に適した方法で高精度の調査が可能となりました。

業者を選ぶ際には、自社である程度の設備が整っている会社を選ぶ方が良いでしょう。
これにより、より正確で信頼性の高いカビ調査が期待できます。  

 

2-5.調査結果の報告書

調査後に提供される報告書の質も重要です。
優れた業者は、詳細な調査結果に加え、カビの発生源や影響、推奨される対策を明確に記載した報告書を提供します。

報告書には、以下の点が含まれていることが望ましいです。

事前に報告書のサンプルを確認し、その業者が提供する報告書の質を判断するのも有効です。
詳細で信頼性の高い報告書を提供する業者を選ぶことで、カビ問題に対する効果的な対応策を講じることができます。

3.料金体系とサービス内容

カビ調査業者を選ぶ際には、料金体系と提供されるサービス内容をしっかりと確認することが重要です。  

 

3-1.料金体系

料金体系が明確で、納得のいく価格設定を行っている業者を選ぶようにしましょう。

金額が大きく違ってくるのは、検体数になります。
弊社では10検体を基本としていますが、より正確な汚染度を計測するときは、1部屋30検体とることもあります。

過去の事例では、各社同じ内容の調査でも検体数の違いから数十万円の開きがあることがありました。
初回調査費用、追加調査費用、報告書作成費用など、コストを明示しているか、見積もりを取得した際に不明瞭な点がないこと業者を選ぶことをお勧めします。

また、料金が安いから不十分、料金が高いからといって必ずしも優れた調査が提供されるわけではないため、調査の目的と報告書のサンプル等からコストパフォーマンスも考慮することをお勧めします。  

 

3-2.各社サービス内容の違い

各社のサービス内容を比較し、最もニーズに合った業者を選びましょう。 以下のポイントに注目して比較検討することが重要です。  

 

定期的なモニタリングサービス

定期的にカビの状態を監視するサービスを提供している業者は、複雑な施設の場合は非常に有用です。
定期モニタリングにより、早期発見と迅速な対応が可能になります。  

カスタマイズ可能なサービス

自社の特定のニーズに合わせてサービスをカスタマイズできる業者を選びましょう。
例えば、特定のエリアだけを重点的に調査する、特定の頻度で報告書を提出するなど、柔軟な対応ができる業者が理想的です。  

技術と機器の種類

最新の技術や機器を使用している業者は、より正確で信頼性の高い調査を提供できます。
専門的な機械は数百万円~数千万円かかることも珍しくありません。
こういった設備が整った業者は信頼できると言えます。

もし、エアーサンプラーやインキュベーターなど最低限の機器すら使っていない業者の場合は、調査数が少ない可能性があります。  

 

報告書の質

詳細な報告書を提供する業者を選びましょう。

報告書の質は、カビの問題を理解し、適切な対策を講じるために重要です。
報告書には、調査方法、カビの種類と量、発生源の特定、健康への影響、推奨される対策、写真や図表などが含まれていることが望ましいです。  

各社のサービス内容を詳細に比較検討し、自社のニーズに最も合った業者を選ぶことで、カビ問題に対する効果的な対応が可能になります。  

 

4.目的別カビ調査業者のまとめ

カビ問題を根本的に解決するためには、信頼できるカビ調査業者を選ぶことが重要です。
また、信頼できる業者の中でも得意不得意は異なりますし、個人向け・法人向けなどもあるため、その辺りも踏まえて業者選びをするのがいいでしょう。

その点で、ハーツクリーンは、個人住宅から法人施設(工場、ホテル、病院など)まで幅広く対応しています。
カビの発生場所や状況の詳細な調査と検査、報告書作成を行い、ふき取り試験や浮遊菌試験、含水率測定、地域調査を通じてカビの発生リスクを総合的に評価します。
これにより、具体的な対策を提案し、効果的なカビ対策を実現しています。

そして、以下はハーツクリーンに依頼した場合の料金と他社の料金の比較です。

他の業者と比較して、ハーツクリーンはコストパフォーマンスが高く、リーズナブルな料金で高品質なサービスを提供しています。

例えば、B社では調査費だけで400,000円~の料金に対し、ハーツクリーンは115,000円~+交通諸経費で包括的な調査を行っています。
また、C社とは料金がほとんど同じですが、試験方法で充実しています。

ただし、ハーツクリーンもすべてが得意というわけではありません。
例えばカビの菌の種類を特定する同定検査に関しては、北里環境科学センターなどの方が優れています。
ですが、北里環境科学センターでは菌の種類や菌数の測定を主にやっているため、カビの除去方法や解決策について見解を求めることは難しいでしょう。

精密に汚染度や菌の種類を調査したいのか、カビ発生の原因と効果的な対策を考察したいのか、あるいは調査後にカビ取りや予防まで一貫して対応してほしいのか、最終的な目的を明確にした上でカビ調査業者を選ぶことが、カビ問題を解決する近道となります。

 

ハーツクリーン以外の主なカビ調査業者

法人向けの業者
  • 北里環境化学センター
    抗菌剤の効果試験や浮遊菌に対する試験を提供。
    公共施設や食品製造施設の環境モニタリング、設備の性能評価、環境微生物の実態調査を行い、医療施設や食品工場など特定用途に対応しています。

 

個人対応も多い業者
  • カビ相談センター
    衣類、食品、住宅のカビの有無や種類を特定(同定)。
    カビの制御試験や現地調査、空中浮遊カビや付着カビの測定を行い、定期的な環境モニタリングや健康影響に関する評価を提供しています。

 

各業者の提供するサービス内容を理解し、必要に応じて適切な業者を選ぶことが、カビ問題の根本的な解決に繋がります。

 

5.ハーツクリーンの調査サービス

 

続いて、弊社ハーツクリーンの調査サービスについて詳しく解説します。
4.目的別カビ調査業者のまとめでも少しお伝えしましたが、弊社はリーズナブルな料金で高品質なサービスを提供しています。  

 

5-1.ハーツクリーン調査の特徴

弊社の有料詳細調査はすべて代表の穂苅が担当しております。

穂苅は建築士一級施工管理技士の資格を持ち、ゼネコンで商業施設やマンションの建設を手掛けた豊富な経験があります。
これにより、建築的な知見と生物的なカビの知識を融合させ、より精度の高い解決策を提案することができます。

弊社の調査は、汚染レベルやカビの種類を調べることはもちろん、今後カビを発生させない方法を考察し提案することに重点を置いています。
具体的には、調査によって判明した問題点に対し、建築的な視点からの改善策や、生物学的な観点からの再発防止策を総合的に検討し、お客様に最適な対策を提示します。

さらに、穂苅はマンション管理士としてマンションの管理組合の仕組みを理解しており、マンションでのトラブルが発生してもスムーズに解決することが可能です。

また、住宅の新築時に発生したカビのトラブル対応や、大型物件の法人同士の仲裁、官公庁の大型施設、病院、ホテルでの原因不明のカビやカビ臭の問題など、北海道から沖縄の石垣島まで全国各地で多岐にわたるケースを対応してきた経験があります。
そのため、現場に訪れた際には、カビの場所や量、種類を瞬時に判断し、適切な解決策をその場で提示することができます。

カビ調査は個人の知識や経験値に左右されやすいため、1人に集約させることで確実な調査と対応策を提案することを実現しています。  

5-2.料金体系

ハーツクリーンの料金体系は、以下の料金で構成されています。

 

調査費:35,000円
カビの発生場所や状況を詳しく調査するための費用です。
現場に出向き、構造的な視点からの調査を行います。  

検査費:35,000円(10検体まで)
カビの種類や量を確認するための検査費用です。
10検体までの検査が含まれており、検体数が増える場合は、以下の追加料金が発生します。  

追加検体費:1検体あたり3,500円
10検体を超える場合、1検体ごとに3,500円の追加料金がかかります。
正確なカビの特定と適切な対策のため、必要に応じて検体数を増やすことがあります。  

報告書作成費:45,000円
調査と検査の結果をまとめた詳細な報告書を作成する費用です。
この報告書には、カビの種類、発生原因、対策方法などが詳しく記載されています。  

交通諸経費
調査および検査のために現場に訪れる際に発生する交通費やその他の経費が別途請求いたします。
具体的な金額は、調査場所や移動距離により異なります。  

 

料金の一例

例として、10検体の調査を行い、報告書を作成する場合の総費用は以下の通りです。

 

もし検体数が12検体の場合、追加検体費として7,000円(3,500円×2検体)が加算されます。

 

 

5-3.試験方法

ハーツクリーンの検査内容については、以下の4つの方法を採用しています。  

 

ふき取り試験

方法 蛍光染色法の最新機器を使用
目的 生きている菌と死んでいる菌を具体的な数値で正確に把握する
詳細 調査対象の表面を専用のキットでふき取り、蛍光染色法により染色します。その後、最新機器を使用して生菌数と死菌数を測定し、数値化します。この方法により、カビの繁殖状況を詳細に評価できます。

 

浮遊菌試験

方法 エアーサンプラーを使用
目的 空気中のカビの量と種類を確認する
詳細 エアーサンプラーで培地に100リットルの空気を取り込みます。これにより、空気中に浮遊しているカビの数と種類を特定できます。培地に採取されたカビは培養され、専門家によって分析されます。この方法は、室内空気質の評価に非常に有効です。

 

含水率測定

方法 湿度計と専用の測定機器を使用
目的 カビの発生リスクを評価する
詳細 カビの発生が予想される場所や対象物の含水率を測定します。含水率の高い環境はカビの成長を促進します。この測定により、現状結露が発生しているのか又は漏水が発生しているのかを把握し、そこに発生しているカビの種類からカビが発生した原因と解決策を考察するための重要な情報が得られます。

 

地域調査(当社オリジナル)

方法 過去のデータと気象庁のデータを照らし合わせる
目的 カビの発生リスクを地域ごとに分析する
詳細 過去10,000件以上の調査データを基に、地域・発生場所・構造・菌の種類をマッピングしています。これらのデータを気象庁の気象データと照合し、特定の地域でのカビ発生リスクを分析します。この独自の方法により、予防策の立案や早期対策の実施が可能となります。

 

5-4.調査を入れたことによる成功事例

実際に弊社が調査を行ったことによって、カビ問題の解決に成功した事例をいくつかご紹介します。  

 

5-4-1.新築時のカビ問題の解決

以前ハーツクリーンでは、新築の竣工時に床下にカビが発生していることを確認した現場において、調査と対策を求められました。
この現場では、ハウスメーカー様の依頼により詳細な調査を行い、適切な対策を講じました。  

 

①事例の背景

竣工時に設備業者の水道の施工不良により、床下にカビが発生しているのをお施主様より指摘が入り、ハウスメーカー様からの依頼で、現場の調査を行いました。
ハウスメーカー様の担当者の対応が後手に回ってしまったこともあり、建て替え案が具体的に出おり、ハウスメーカーの社長も出るなど大きな問題に発展していました。  

 

②調査と分析

弊社が行った調査は、基本的な以下の3つになります。

  • ふき取り試験
    • 蛍光染色法の最新機器を使用して、カビの生菌数と死菌数を正確に数値化。
  • 浮遊菌試験
    • エアーサンプラーで空気中のカビの量と種類を測定し、どのようなカビが存在するのかを特定。
  • 含水率測定
    • 建材の含水率を測定し、カビの発生原因を特定。

 

③提案と対策

調査結果を基に、以下の改善提案を行いました。  

 

黒カビの除菌
調査結果から、黒カビが多く見られましたが、根が深くないことが判明しました。
そのため、除菌作業で十分対応可能である旨をお施主様に伝えました。

フローリングの補修
調査中に、機密パッキンの使用により湿気がこもり、フローリングが反ってしまったことが判明しました。
この部分は除菌のみでは解決できないため、床を剥がし、床下面の全面除カビと防カビ対策を提案しました。

壁面の対応
壁面の断熱材などの内部構造は汚染されていないため、交換の必要はないと判断しました。
しかし、壁面表面にはカビが繁殖していたため、家全体の除菌作業を実施することをお勧めしました。  

 

④結果

正確なカビの菌数、種類、および原因を報告し、具体的な改善策を提示することで、お施主様に納得していただきました。
弊社はカビの調査だけでなく、カビ取り施工も行っているため、以下の流れで作業を行いました。

 

 

⑤経済的効果

調査後に担当者から確認したところ、建て替えた場合は数千万円の損害が予想されていたそうです。
弊社が行った調査と対策により、ワンストップで問題を解決し、ハウスメーカー様とお施主様の双方にとって大きな経済的メリットをもたらしました。  

 

5-4-2.リゾートホテル

沖縄にあるリゾートホテルの事例です。

こちらは、70部屋以上あるリゾートホテルだったのですが、約半数の30部屋にカビの被害が発生し、売り止めになっていました。
また、朝食会場となるレストランの天井にカビが発生し、さらにカビ臭も酷いことから、お客様より苦情が入ることもありました。

もちろんホテル側もそのカビを放置していたわけではありません。
しかし、地元の工務店に依頼して壁紙を交換しても臭いが無くならず、半年程度でカビが再発してしまいました。
そこでホテルの投資会社からカビをどうにかしてほしいと弊社に依頼がありました。  

 

①調査結果

壁紙の下に大量のカビ
交換したばかりの壁紙を剥がして調査したところ、ほとんどのカビが残っている状態でした。
市販のカビ取り剤レベルの薬剤で黒カビを軽くふいた程度の作業だったようで、カビ取り剤が浸透せず、約6割のカビが死滅せずに残っていることが調査で判明しました。
この環境が改善されないと、何度壁紙を張り替えても半年程度でカビが再発する確率が非常に高いです。

全館空調
ホテルで多いのが、全館空調と呼ばれる空調を中央管理室で一括管理する方法です。
壁掛けエアコンであれば、分解洗浄も出来ますが、全館空調を取り入れている場合、なかなかエアコン洗浄が出来ず、カビの臭いの原因になってしまいます。
実はホテルのカビ臭の原因は、エアコンであることが多いです。
実際に培養試験を行ってエアコンを調べたところ、通常よりも10倍以上のカビ菌数を検出し、カビの臭いの原因の一つであることが判明しました。

冷却管の結露
冷却管に発生した結露が天井にしたたり落ち、それが原因で天井面に黒カビが発生していました。
ホテルの構造によりその影響は変わりますが、ユニット式で屋上面に通気口がある構造だと、台風が直撃した際に湿った空気が天井裏に入り込み、冷却されたファンとぶつかると結露が生じることも多いです。

 

②対策

壁紙の裏に大量のカビが発生した原因として考えられるのが、エアコンの冷房を19~20℃と非常に低く設定していることでした。
断熱材が入っていない壁内の温かい温度と室内の冷たい冷気により壁が結露し、カビが発生したものと結論付けました。

そこで弊社では、空調の清掃と壁紙下の徹底的な除菌を行い、さらに日々の対策を指導しました。
内容としては、空室時はエアコンのドライではなく除湿機で対応し冷気を出さないようにしてもらいました。

その方法を実践してもらったところ、その後5年経った現在も売り止めになった部屋はなく、ホテルは通常通り稼働しています。

このようにハーツクリーンではカビ調査によって、様々なカビの問題を解決してきました。

 

6.まとめ

湿気の多い日本では、カビの発生は避けては通れないものになっています。
そのためカビの発生原因の特定やカビ予防のために、カビ調査は非常に重要です。

カビ調査業者を選定する際には、以下のポイントを重視するようにしましょう。

  • カビに関する専門知識
    特定のカビの種類に対する詳細な知識と、過去の対応実績が豊富な業者を選ぶことが、信頼性と対応力の向上につながります。
  • 建築の専門知識や資格
    カビ対策技術者、建築士、一級建築施工管理技士など、関連する資格を持つ業者を選ぶことで、建築的な解決策と法律的な対応の両方が期待できます。
  • 経験と実績
    多様なカビ問題に対応してきた経験豊かな業者は、その実績を通じて信頼性を確認することができます。
  • カビ調査の方法と技術
    最新の技術や設備を持ち、科学的に根拠のある調査方法を用いる業者を選ぶことで、より正確で信頼性の高い調査結果を期待できます。
  • 調査結果の報告書
    詳細で理解しやすい報告書を提供する業者を選ぶことが、カビ問題の適切な理解と対策の実施に役立ちます。

 

成功事例でも上げたように、ハーツクリーンでは専門知識と資格を生かして、カビの正確な識別と生息環境の特定を行い、効果的な解決策を提案しています。
特に、新築時のカビ問題の解決やリゾートホテルのカビ再発防止策の提案では、科学的な根拠と豊富な経験に基づく改善提案が行ったことで数百万円~数千万円のコストカットや機会損失を防ぐことができました。

カビ問題の解決には、カビの知識や技術が必要です。 そのため、工務店やリフォーム会社のようなところに依頼するのではなく、適切な専門機関や会社に相談することをお勧めします。

著者情報
穂苅 英樹

東証プライム上場の総合建設会社にて、再開発施設やマンションの開発に従事。また、独立系デベロッパーの管理部門でプロパティマネジメントに携わる。2014年にはハーツリッチ株式会社を設立し、2020年からは日本建築防黴協会の専務理事に就任。これまでに、相談や調査を含め累計5000件を超える現場でカビ問題を解決。

保有資格
  • 二級建築士
  • 一級建築管理技士
  • マンション管理士
メディア出演
  • 雑誌:戦略経営者 家主と地主
  • テレビ:日本テレビ ZIP!・TBSテレビ ひるおび
  • WEB:ウェザーニュース
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