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食品工場の効果的なカビ対策とは?10000件のカビ調査した専門家が徹底解説

著者穂苅 英樹

食品の安全は、消費者の健康と信頼を守るために、食品製造業における最優先事項の一つです。

特に食品工場内でのカビの発生は、製品の品質の低下だけでなく、食品安全に対する重大な脅威となります。
そのため、カビの予防と管理は食品産業において非常に重要です。

この記事では食品工場においてのカビのリスクや、カビの発生を防ぐための対策を、10000件以上のカビ調査、5000件以上のカビ取り施工をしてきたカビの専門家が解説します。
食品工場でカビのリスクを最小限に抑え、食品の安全を守りましょう。

この記事でわかること
  • 食品工場にカビが発生した場合の被害
  • 食品工場にカビが生える原因
  • 食品工場のカビ対策
  • カビが発生した場合の対処方法

 

1.食品工場におけるカビのリスク

食の安全を守るために、食品工場は最高レベルの衛生基準が求められます。
しかしカビの胞子は人間が生活している場所では常に浮遊しているものなので、カビの発生は避けられないリスクの一つです。

カビの種類によっては、健康被害を引き起こす可能性があり、食品の安全性を脅かす重要な要因となり得ます。
製品の汚染だけでなく、従業員の健康、企業の経済的基盤、さらには法的責任にも関連する問題です。

ここでは、食品工場におけるカビのリスクについて詳しく解説していきます。

 

1-1.健康リスク

カビは数万種類が存在し、そのうちのいくつかは人間の健康に有害な影響を及ぼす恐れがある危険なものです。
カビが産生するアフラトキシンという毒素は、発がん性を持つとされており、微量であっても重大な健康被害を引き起こす恐れがあります。

また、カビやその胞子によるアレルギー反応は、従業員や消費者にとって直接的な健康リスクとなり得ます。
長期間にわたる曝露は、呼吸器系の疾患や免疫系の障害を引き起こす可能性があるため、カビのコントロールは従業員の健康管理上も非常に重要です。

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1-2.経済的損失

カビによる直接的な経済的損失は製品の廃棄やリコールによって生じますが、これらは氷山の一角に過ぎません。
カビ汚染が公になった場合、企業のブランドイメージは著しく損なわれ、消費者の信頼を失うことで長期的な売上への影響を受ける可能性があります。

さらに、汚染問題に対処するためのコスト、生産ラインの遅延、市場での競争力の低下など、間接的な損失も莫大です。
これらの経済的影響は、企業の財務状況に深刻な打撃を与え、事業の持続を脅かす恐れがあります。

 

1-3.法的リスク

カビによる汚染が発見された場合、製造業者は食品安全基準に違反していると見なされ、罰金の支払いや製品の回収を命じられる可能性があります。

さらに重大な問題として、消費者からの訴訟リスクが高まるでしょう。
健康被害が発生した場合の法的責任は計り知れず、企業の評判だけでなく、経済的基盤にも深刻な損害を与えることになるのです。

 

1-4.操業停止のリスク

カビ汚染の問題を解決し、将来の発生を防ぐためには、製造プロセスの見直しや設備の改善が必要になる場合があります。
これらの措置を講じるためには、生産ラインの一部または全体を一時的に停止することが必要になることもあり、その結果生産能力の低下や納期の遅れが生じます。

操業停止は企業の収益性に直接的な影響を及ぼし、長期にわたって業績に悪影響を与えるかもしれません。

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2.カビが発生する原因とは

そもそも何故カビは発生するのでしょうか。
まずカビは以下の4つの条件が揃っている場所に発生するものです。

  • 水分・高湿度
  • 暖かい温度
  • 汚れなどの栄養源
  • 酸素

カビは濡れている場所、もしくは湿度が高い環境を好みます。
さらに、適度に暖かくて、埃や食品残渣、油分など栄養源がある場所だとカビにとって最高の生育場所と言えるでしょう。

では、食品工場の場合どのようにしてこのカビの発生条件が揃ってしまうのでしょうか。
以下で詳しく解説します。

 

2-1.温度や湿度など環境要因

カビの成長に最も影響を与えるのは水分や湿度です。
湿度が高い環境はカビの成長に適しています。

食品工場内で湿度が60%以上に保たれる場所では、カビの繁殖リスクが高まります。
また、温度も重要な要素で、多くのカビは20℃~30℃の範囲で最も活発に成長します。

これらの条件が揃うと、食品や設備の表面、さらには空気中にもカビが発生しやすくなります。

 

2-2.不十分な清掃や不適切な衛生管理

定期的かつ徹底的な清掃と衛生管理が行われない場合、カビの成長を促す条件が生まれます。
食品残渣や油分はカビの栄養源となり得るため、製造設備や作業台、床面等の清掃が不十分だとカビの繁殖地となりかねません。

また、換気システムやエアコンフィルターの清掃・メンテナンスが適切に行われないと、これらのシステムがカビ胞子を運ぶ経路となり得ます。

 

2-3.原材料や梱包資材の汚染

カビの問題は工場内部だけでなく、外部から持ち込まれることもあります。
原材料や梱包資材が既にカビやその胞子で汚染されている場合、それらを工場内に持ち込むことで、カビの拡散源となります。

原材料の受け入れ時や使用前に適切な検査を行い、汚染された資材は使用しないことが重要です。
また、梱包資材が湿っている場合は特に注意が必要です。

 

2-4.結露や水漏れ

工場内での結露や水漏れは、カビ発生の大きな原因となります。

冷却設備周辺や水回りでの結露、屋根や配管からの水漏れは、カビの成長に最適な環境を提供します。
これらの問題は、通常の清掃では対処できないことが多く、構造的な修正や改善が必要になる場合があります。

 

3.食品工場内でカビが発生しやすいエリア

食品工場内でカビが発生しやすいエリアは、主に環境条件や衛生管理の不備によって生じます。
ここでは特にカビの発生リスクが高いエリアを取り上げ、それぞれの特徴について解説します。

 

3-1.貯蔵エリアや倉庫

貯蔵エリアや倉庫は、食品や原材料、梱包資材を保管する場所として、温度と湿度の管理が非常に重要です。
これらのエリアで湿度が高い状態が続くと、カビの繁殖に最適な環境が形成されます。

また、換気が不十分な場合、空気中のカビ胞子が集まりやすく、汚染のリスクが高まります。

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3-2.冷蔵エリア

冷蔵エリアでは、製品を新鮮に保つために低温が保たれていますが、この低温環境が結露を引き起こし、湿度が上昇することがあります。
湿度の管理が十分でない場合、結露によって製品や設備表面に水滴が形成され、カビの繁殖を促進する可能性があります。

 

3-3.製造ライン周辺

製造ライン周辺は、食品の加工や梱包が行われる場所で、食品残渣や湿気がカビの栄養源となり得ます。
また、機械設備の隙間や隠れた部分でカビが繁殖することもあります。

定期的な清掃とメンテナンスが不可欠であり、特に食品残渣や湿気の溜まりやすい箇所には注意が必要です。

 

3-4.排水溝と水回りの設備

排水溝や水回りの設備は常に湿っているため、カビが繁殖しやすい場所です。
排水溝内部や隠れた水漏れがある場合、見落とされがちなカビの発生源となることがあります。

 

3-5.エアコンや換気システム

エアコンや換気システムは、工場内の空気の循環を担う重要な設備ですが、これらのシステム内でカビが繁殖すると、工場全体にカビ胞子が拡散させる原因となります。
定期的な清掃とメンテナンスが必要であり、カビの繁殖を防ぐためには、適切なフィルターの使用や空気の循環状態の確認が重要です。

 

4.食品工場をカビから守るための対策

食品工場でのカビ対策は、製品の安全性を確保し、消費者の健康を守るために不可欠です。
適切な環境管理から衛生管理、施設と設備の保守、そして原材料と製品の適切な取り扱いまで、多岐にわたるアプローチが求められます。

以下で、食品工場をカビから守るための基本的な対策について詳しく解説します。

 

4-1.環境の温湿度管理

カビは特定の温度と湿度の条件下で繁殖しやすくなります。
そのため、食品工場内の環境を適切に管理することが、カビ対策の第一歩です。

湿度は60%以下を保つことが推奨されています。
また、温度もカビの成長を抑える範囲で調節する必要があります。

これを実現するためには、高性能の空調システムや除湿器の設置、定期的な温湿度のモニタリングが効果的です。
適切な換気によって湿気の蓄積を防ぎ、カビの発生リスクを低減させることができます。

 

4-2.衛生管理と清掃

衛生管理と徹底した清掃は、カビの発生を防ぐ上で極めて重要です。

食品残渣や埃はカビの栄養源となるため、作業エリアや機械設備の定期的な清掃が必要です。
特に、隅々まで行き届いた清掃と消毒を心がけ、清掃後はエリアを十分に乾燥させることが重要です。

また、従業員に対する衛生教育を実施し、個人の衛生管理も徹底させることで、カビの侵入と拡散を防ぎます。

 

4-3.施設と設備のメンテナンス

施設や設備の不備もカビの発生原因となり得ます。
水漏れや結露が発生しやすい箇所はカビの繁殖地となりやすいため、定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。

配管の修理、断熱材の改善、換気システムの最適化など、施設全体の保守管理を行うことで、カビのリスクを大幅に減少させることができます。

 

4-4.原材料と製品の管理

原材料や製品の適切な管理も、カビ対策の重要な要素です。

原材料の受け入れ時には品質検査を徹底し、カビの汚染が疑われる場合は使用を避けます。
また、製品の保管条件を適切に管理し、湿度の高い環境や直接地面に触れる状況を避けることが重要です。

さらに製品の包装材料もカビの侵入を防ぐために、適切なものを選択し、密封性を確保しましょう。

 

5.HACCP計画の実施の重要性

HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Points)は、食品の安全を確保するための予防的管理システムです。

このシステムは、食品製造プロセスにおける危害を分析し、それらを制御するための重要管理点を特定することに焦点を当てています。
HACCPは食品に及ぼすリスクを科学的に評価し、体系的に管理することを目的としています。

 

5-1.HACCPとは何か

HACCPは、食品安全管理のための国際的な標準であり、食品の製造、加工、取り扱い、配送、販売の各段階で危害を予防、除去、または受け入れられるレベルまで減少させることを目的としています。

このシステムは、7つの原則に基づいて構築され、食品産業全体で広く採用されています。

 

原則1:危害要因の分析
原材料や製造工程で問題になる危害の要因を挙げます。

原則2:重要管理点の決定
製品の安全を管理するための重要な工程(管理点)を決定します。

原則3:管理基準の設定
重要管理点で管理すべき測定値の限界を設定します。

原則4:モニタリング方法の設定
管理基準の測定方法を設定します。

原則5:改善措置の設定
あらかじめ管理基準が守られなかった場合の製品の取扱いや機械のトラブルを元に戻す方法を設定しておきます。

原則6:検証方法の設定
設定したことが守られていることを確認します。

原則7:記録と保存方法の設定
検証するためには記録が必要です。記録する用紙と、その保存期間を設定します。

参考:HACCP(ハサップ)|厚生労働省

 

5-2.HACCPはなぜ重要なのか

HACCPは、食品安全管理のための国際的なシステムであり、食品産業にとって極めて重要な役割を果たしています。
主な理由としては以下の通りです。

消費者保護
HACCPは、食品から消費者を守るための効果的な手段です。
食品に潜む様々な危険要因を特定し、制御することで、食品の安全性を確保します。
これにより、食品からの健康リスクを最小限に抑え、消費者の安全を保護します。

法的要件の遵守
多くの国や地域で、食品産業におけるHACCPの実施が法的に義務付けられており、企業は法規制を遵守し、HACCPの基準を満たす必要があります。
これにより、食品企業は法的リスクを回避し、事業の継続性を確保することができます。

市場競争力の維持
HACCPの実施は、食品企業が市場で競争力を維持するために重要です。
消費者は安全な食品を求める傾向があり、HACCP認証を受けた企業からの製品を信頼する傾向があります。
したがって、HACCPの実施は消費者の信頼を得るための重要な手段となります。

経済的損失の防止
食品事故や製品リコールは企業にとって経済的な損失をもたらす可能性があります。
HACCPは事前にリスクを管理し、食品の安全性を確保することで、これらのリスクを最小限に抑えます。
結果として、企業は経済的な損失を回避し、ブランドの信頼性を守ることができます。

 

6.食品工場にカビを見つけたらすぐにカビ取り業者に相談する

食品の安全を守るために、4.食品工場をカビから守るための対策で紹介した方法でしっかりとカビ対策することが重要です。

しかし、それでも万が一カビが発生してしまった時は、迅速な対応が不可欠です。
カビは食品の安全性と品質に深刻な影響を及ぼし、企業に多大な被害を発生させるかもしれません。

そのため、カビを見つけたらすぐにカビの専門家に相談しましょう。

 

6-1.なぜカビ取り業者に相談すべきか

食品工場のような衛生管理が徹底される場所では、自己判断でのカビ取りは危険です。
少しでもカビが残っていると、そこから再発して広がる恐れがあります。
カビのリスクを減らすためにも、早急にカビ取り業者に相談することが重要です。

そして、カビ取り業者に依頼すると以下のような利点があります。

 

専門的知識と経験
カビ取り業者は、カビの種類を特定し、その成長を促す条件を理解しています。
また、適切な清掃と消毒方法を知っており、効果的なカビ除去が可能です。

適切な機材と技術
専門業者は、カビ除去に必要な専門的な機材や効果的なカビ取り剤を使用します。
これにより、根本からカビを取り除き、再発を防ぐことができます。

健康リスクの低減
カビ取り業者に作業を委託することで、従業員がカビや使用するカビ取り剤に直接触れるリスクを低減させることができます。

時間とコストの節約
専門業者による迅速な対応は、カビの問題を早期に解決し、製造プロセスの長期的な停止や、製品の廃棄による損失を防ぎます。

法的要件
食品工場は、食品の安全性に関する法規制を遵守することが求められます。
専門業者による適切なカビ除去と記録の保持は、これらの要件を満たすのに役立ちます。

 

6-2.対応の流れ

食品工場でカビを発見した場合、すぐにカビ取り業者に相談することで、食品の安全性を確保し、長期的なリスクを避けることができます。

カビを発見した際は、以下の手順で迅速に対応しましょう。

①カビの発見
食品工場の施設内でカビを発見したら、すぐにその場所を確認し、カビの種類や範囲を把握します。

②カビ取り業者への相談
カビを見つけたら、直ちにカビ取り業者に連絡し、状況を報告します。
専門家による早急な対応が必要です。

③現場調査と見積もり
業者は現場調査を行い、カビの範囲と除去方法について見積もりを提供してくれます。
問題がなければ正式に依頼しましょう。

④除去作業の実施
カビ取り業者は適切な機材や技術を用いて、カビの除去作業を行ってくれます。
根本的な除去と再発防止のための対策が重要です。

⑤予防策の提案
カビ取り業者は、再発防止のための予防策や衛生管理の改善点を提案してくれでしょう。
これらを実施することにより、将来のカビ発生を最小限に抑えることができます。

 

6-3.ハーツクリーンが選ばれる理由

ハーツクリーンは、以下の理由からカビ対策においてたくさんの企業から選ばれています。

 

豊富な実績と経験
ハーツクリーンは、10000件以上のカビの調査と5000件以上の施工実績を誇ります。
これには、官公庁や上場企業、工場などの大規模で高いレベルを求められる現場も含まれます。

先進的な技術と開発
海外の国立大学との提携により、自社開発したカビ取り剤を使用しています。
液剤の独自性と施工方法が認められ、世界初のカビ対策工法として特許取得しています。

防カビコーティングの提供
ハーツクリーンは、カビ取りだけでなく、防カビコーティングも行っています。
このコーティングにより、カビの付着や繁殖を抑制し、さらにホルムアルデヒド等を分解する効果や抗ウイルスの効果も期待できます。

衛生管理の徹底支援
食品工場など衛生管理が重要な場所においても、ハーツクリーンは適切な対策を提供します。
カビにお困りの企業だけでなく、カビの発生を防止したい場合にも選ばれています。

 

ハーツクリーンは、その高度な技術と経験を活かし、顧客のニーズに合わせた最適なカビ対策を提供しています。
カビにお困りの場合も、カビを防ぎたい場合も、まずは一度ハーツクリーンまでご相談ください。

 

7.まとめ

今回は食品工場のカビ対策について詳しく解説しました。

食品工場におけるカビの問題は、健康リスクや経済的損失、法的リスク、そして操業停止のリスクといった多岐にわたります。
そのような事態を避けるためにも、しっかりと工場のカビ対策を行う必要があります。

食品工場をカビから守るためには、環境の温湿度管理、衛生管理と清掃、施設と設備のメンテナンス、原材料と製品の管理など、さまざまな対策が必要です。
また、HACCP計画の実施も重要であり、早期発見・対応のためにもカビが発生した場合はすぐに専門家に相談するようにしましょう。

食品安全管理は、単に法的要件を満たすだけではなく、消費者の健康を守り、企業の信頼性と市場競争力を高めるために不可欠です。
適切なカビ対策とHACCP計画を実施し、安全で質の高い製品を提供し続けましょう。

著者情報
穂苅 英樹

東証プライム上場の総合建設会社にて、再開発施設やマンションの開発に従事。また、独立系デベロッパーの管理部門でプロパティマネジメントに携わる。2014年にはハーツリッチ株式会社を設立し、2020年からは日本建築防黴協会の専務理事に就任。これまでに、相談や調査を含め累計5000件を超える現場でカビ問題を解決。

保有資格
  • 二級建築士
  • 一級建築管理技士
  • マンション管理士
メディア出演
  • 雑誌:戦略経営者 家主と地主
  • テレビ:日本テレビ ZIP!・TBSテレビ ひるおび
  • WEB:ウェザーニュース
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