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カビ対策会社が教える台風・豪雨災害後の水害カビ対策

近年世界中の様々な国と地域にて異常気象が確認されております。これは日本においても同様であり、特に記録的な豪雨、強い勢力の台風の上陸など人々の生活に支障がでるレベルの水害が数多く確認されています。東大気候システム研究センターを中心に行われた気候変動予測によると、地球温暖化に伴う大気中の水蒸気量の上昇は、大雨の増加を促進するとしております1)実際に国土交通省がまとめた水害による一般資産被害総額は1995年から2004年にかけて1622億円から4360億円と約2.6倍に増加しており2)、近年においても2015年には3900億円3)、2016年度には4660億円4)と大規模な水害が断続的に発生しております。

つまり水害が今まで起きてこなかった地域を含め、水害が起きた際にどの様な対処をすべきかを知っておく必要があります。そこで今回は水害による被害とそれに伴うカビ被害、被害後の対処方法、今できる水害対策についてお話していきます。

1. 水害による被害とそれに伴うカビ被害


水害は大雨に伴い一時的に大量に発生した雨水がダムの決壊や、河川の氾濫などを促し、それらの汚水が排水溝や側溝では対処しきれず、家屋に浸入する事で発生します。そして侵入した汚水は家屋を押し流し、被害を拡大させます。仮に押し流されなかったとしても、汚水が床下や家具を湿らすことで、水害発生後もカビなどの発生源となり二次被害を与えるケースがあります。実際に東海豪雨による水害被害を受けた名糖産業株式会社 名古屋研究所による報告によると、流されなった書類や書籍にはカビが生え、写真は剥離し、電子機器類は修復不能になるなど凄惨たる現状が報告されています5)。これは海外においても同様であり、アメリカ ニューオリンズが大規模なハリケーンにより水害を受けた際には、高湿度を好むスタキボトリス属の一種が住宅に繁茂し、高濃度の胞子が居住空間内から検出されたとの報告があります6)

また秋田県立大学内で行われた人為的な床下浸水シミュレーションによる実験では、水害による相対湿度の上昇はカビの増殖を促進し、結果では一般の居住環境でも確認され、カビによる健康被害の原因種ともされているアスペルギウス属の一種が排水約2カ月後には約4倍にまで増殖することが分かっております7)汚水によって外部からカビの胞子を入れてしまう事を考慮に加えると、実際にはこの実験以上に水害後のカビ発生速度は速いと考えられます。
カビの発生は放置すると、躯体を痛めるだけでは留まらず、種をより広範囲に広げるために胞子を作成しそれらを空中に拡散させます。そして胞子は被害の無かった家具類にも付着し、新たなカビの温床となります。また空間中にカビの胞子が蔓延している状況は生物由来のシックハウス症候群を引き起こす可能性があり8)、咳やくしゃみ、目のかゆみなどを引き起こし、最悪の場合、夏型過敏性肺臓炎などにもなる可能性があります9)よって水害による被害は一時的なものではなく、慢性的に長期化する可能性が高く、いち早くその要因を解消し、改善する必要があるといえます。それでは今後水害被害に見舞われた際には、どの様な行動をすべきなのか、カビの専門業者としての目線で今回はお話させて頂きます。

2. 被害後の対処方法

それではまず水害に見舞われた際にどの様な道具が必要なのでしょうか。災害時に全てを揃えるのは非常に難しいかと思われますが、参考にしてみて下さい。

2-1. 作業するのに必要な道具・恰好の調達

1.汚れても良い・捨てても良い服(出来れば長袖・長ズボン)
※水害時には汚水による汚れが酷く、また何が散乱しているか不明瞭な状態です。よって
汚れても良い長袖・長ズボンがお勧めです。この格好はカビ除去時に使用する薬品から体を守るうえでも重要なのでお勧めします。割烹着や実験などで使用する白衣などもその代用品として使えます。

2.マスク
※不用意に粉塵や、カビの胞子を吸い込まないようにするのに使用します。

3.軍手・ゴム手袋
※水害後の清掃や薬剤を塗布する際に直接触れなくてよくなりますのでお勧めです。特に水害時の清掃の際にはゴム手袋の上から軍手をしますと滑りにくく、また手が濡れることもないのでお勧めです。

4.ゴーグル
※掃除の際には粉塵などが舞います。また汚水などが跳ね、目に入る可能性があります。さらにカビの除去を行う際には目に薬剤が跳ねた際に、目に入ることがありませんので、お勧めの道具です。

5.薬剤
※記事下部にて紹介します。

2-2. カビの発生源の除去


水害の被害が家屋・家財を襲いますと、ありとあらゆるところが水分を含む形となります。水分はカビにとって非常に都合の良い環境を作ってしまいます。よって最初に行わなければならない作業は「汚れを落とし家屋・家財を乾燥させる」という工程です。水害後の環境においてこの作業が一番大変な作業になります。しかし乾燥を怠りますと材質に含まれた水分を媒体にカビが発生し、家屋・家財全体にカビが広がる可能性があります。せっかく生きていた家具もダメにしてしまう可能性がります。十分な乾燥作業がのちの被害を食い止めます。よって天井部屋から、床下までしっかりと乾燥作業を行いましょう。乾燥は、以下の2パターンが適当かと思われます。

2-2-1. 扇風機(送風機)を用いた乾燥法

こちらは一般的に乾燥させる際に行う手法になります。しかしこの手法は乾燥後に水害時の泥などの汚れを周りに飛ばしてしまう可能性があります。よって周りに十分に配慮し、また自分自身も吸い込まないようにマスクなどをして行いましょう。また乾燥後には乾燥した残りの泥などを泥などを拭き取り、カビの胞子の温床となるものは残さないようにしましょう。

2-2-2. 太陽光による乾燥法

こちらは太陽の光を用いて乾燥させる手法です。太陽の光には紫外線が含まれております。紫外線はカビの除去に大変有効的であり、この手法は乾燥を行いながらカビ発生の予防にも繋がります。しかし天候に大きく左右されるという欠点が御座いますので、天候の変化には十分に注意しながら行うようにしましょう。カビにとって最も都合の悪い状態が、水分を補給できない状態です。十分な乾燥がその後の家屋・家財の寿命を大きく変化させます。床下や屋根裏、家財の裏といった人の目の届かない箇所は自身が必要と思う以上の時間は乾燥作業を行いましょう。特に床下に関していましては非常に長い期間の乾燥作業が必要とされており、秋田県立大学で行われたコンクリート床下に対する浸水シミュレーションでは、床下のコンクリート面が元の含水量に戻るのに約半年もかかっており、床下の温度を上昇させ乾燥させても約2カ月はかかる可能性が指摘されており10)例え見た目上元に戻ったとしても、床下の感想は長期的に行うようにしましょう。

それでは次にそれでもカビが生えてしまった場合、どうすべきなのか?
これについて解説していきます。

3. 水害によるカビ除去方法


まず水害による被害を受けたものが、カビ除去後使用できるものか確認しましょう。たとえば家屋であれば、家壁にヒビが入っていないかなどの確認が必要です。ヒビが入っているとその後漏水などの危険性があります。漏水は漏水箇所の湿度、漏水周辺の湿度を大きく上昇させるため、カビの生えるリスクが大きく上昇します。特に漏水の危険性のある家壁などの上から壁紙などを張りますと、壁と壁紙の間の湿度が上昇し、カビの発生と共に壁紙が剥がれ、壁紙が剥がれ始める事には大きな被害になってしまう可能性があります。よって壁などにヒビなどがある場合はまずはその修繕をした後に、壁紙を貼るようにしましょう。せっかく元の生活に戻ることが出来たとしても、下地の処理が不十分なせいでまた工事になってしまうと気が滅入りますよね。そんな気持ちにならない為にも、原状復帰時には十分に気を配りましょう。

※壁紙とカビに関する詳しい記事はこちらをご覧ください。
カビ取り業者が教える各種壁のカビ取りと防カビ方法

また家具であれば過度に水分を含んでしまう事によって湾曲してしまいますと、その湾曲は乾燥しても元の状態に戻ることは難しいです。また水分を吸っているためカビも生えやすい状況です。よって状況に応じて廃棄も考えましょう。お気に入りの家具などで捨てたくないから乾燥させたらカビが発生した、大丈夫だと思って使用していたらカビが生えてきた。こんな事があるかと思います。それでは生えてしまったカビはどの様に処理すれば良いのか、それについてご説明してゆきます。

3-1. エタノールを用いたカビ類の除去


こちらは消毒などに用いられるエタノールを用いたカビの除去方法になります。使用する際には70%を超えたものを使用してい下さい(薬局などで販売しております)。使用するときはしっかりと作業できる格好になった上で、カビの生えた箇所に散布しましょう。
※注意点※
エタノールは引火性がありますので、火元の近くで利用する事は控えましょう。また火元の近くで利用する際には、元栓をしっかりと締めた上で散布し、その後しっかりと拭き取りましょう。またニスやワックスなどで表面加工されている家具、アクリルやポレスチレン、革製品に使用すると表面の加工が取れてしまう可能性があります。使用する際にはその製品がエタノールに対応できるものか確認してから使用しましょう。

3-2. 塩素系薬剤を用いたカビ類の除去


こちらは塩素系薬剤を用いてカビを除去する方法です。最大の特徴はエタノールとは異なり、カビによって残った色素の漂白も行う事が出来ます。なお使用する際には界面活性剤含まれた塩素系薬剤(カビ取り剤・キッチン用漂白剤には多く含まれています。)を使用しましょう。使用する際には作業の出来る形で、カビの生えた箇所に散布しましょう。散布後は薬剤を拭き取り、他の箇所に付かないようにしましょう。
※注意点※
塩素系薬剤はエタノールとは異なり漂白効果があります。よって使用する際には漂白しても困らない格好で作業を行いましょう。また布製品などに使用すると穴が開いてしまう可能性があります。使用する際には十分に注意しましょう。さらに木材などに使用する際にも元の色以上に抜けてしまう可能性があります。なるべく漂白しないように、カビ除去後はしっかりと拭き取るようにしましょう。また薬剤は直接触れると皮膚などが溶けてしまう可能性があるので、直接触れないようにしましょう。そして薬剤は塗布後しても薬剤としての性質は消えません。よってカビを除去した後にはしっかりと拭き取り、子供やペットが触れないようにしましょう。子供がいる家で使用する際には、くれぐれも子供の遊ぶ箇所と薬剤散布箇所がバッティングしないように注意しましょう。

それでは最後にこの様な災害に巻き込まれる前に、万が一にも巻き込まれた際に被害が最小限になるようにするにはどうするべきなのか、それについてお話していきます。

4.水害被害に見舞われる前に出来る水害対策


まずできる事として挙げられるのが時の漏電の防止です。備え付けのコンセント部の漏電を防止する事は難しいかと思われますが、たこ足配線などからの漏電を防ぐことは可能です。よってたこ足配線からの漏電を防ぐために、高い位置への設置を出来るように、結束バンドなどで高い位置に結び付けるなどの工夫をすると良いかと思います。同様に漏水による破損が考えられる電子機器類(特にデータなどが保存してあるパソコンやハードディスクなど)はなるべく高い位置に設置する事を心掛けて下さい。また書類や写真など一度濡れてしまうと元の状態に戻すのが難しく、また濡れるとカビの生えやすいものにおきましては、濡れないように棚の上などに保存するようにして下さい。特に写真に関しましては濡れると剥げてしまい、回復が難しいことが指摘されておりますので注意してください11)。そして何よりも河川の周囲や、地盤の緩い地域、海抜の低い地域への不用意な居住は控えるようにして下さい。住居選びに関しましてもリスクを考えて選ぶようにしましょう。

いかがでしたでしょうか。
水害は被害時よりも、その後の対処による後遺症が残ることが問題視されております。水害によるカビ被害でお悩みの方はお気軽にご連絡ください。また施工をご希望の方は水害被災者限定価格にて施工させて頂いております。

参考文献

1) 国立環境研究所 地球環境研究センター 異常気象と地球温暖化の関係について
http://www.cger.nies.go.jp/ja/news/2013/130911.html

2) 国土交通省 第1章 最近の水害実態 1-1 異常気象と水害
http://www.mlit.go.jp/river/pamphlet_jirei/bousai/saigai/kiroku/suigai/suigai_1-1-5.html

3) 国土交通省 平成27年の水害被害額(確報値)を公表
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo03_hh_000918.html

4) 国土交通省 平成27年の水害被害額(確報値)を公表
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo03_hh_000942.html

5)長江英夫, 石田文雄 : 東海豪雨 (平成 12 年 9 月) による研究所の水害状況, 情報管理, 44(2), 132-132, 2001.

6)Gina M. Solomon, Mervi Hjelmroos-Koski, Miriam Rotkin-Ellman, S. Katharine Hammond : Airborne Mold and Endotoxin Concentrations in New Orleans, Louisiana, after Flooding, October through November 2005, Environmental Health Perspectives, 114(9), 1381-1386, 2006.

7)柳宇, 長谷川兼一, 鍵直樹, 東賢一, 大澤元毅 : 浸水後の住宅におけるカビ増殖特性に関する実験的な研究, In 空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成 27 年度大会 (大阪) 学術講演論文集 第 7 巻 空気質 編, 公益社団法人 空気調和・衛生工学会, 93-99, 2016.

8)関明彦, 瀧川智子, 岸玲子, 坂部貢, 鳥居新平, 田中正敏, 吉村健清, 森本兼曩, 加藤貴彦, 吉良尚平, 相澤好治 : シックハウス症候群に係わる医学的知見の整理, 日本衛生学雑誌, 62(4), 939-948, 2007

9)吉田和子, 安藤正幸, 坂田哲宣, 荘田恭聖, 荒木淑郎, 島津和泰 : 夏型過敏性肺臓炎の発症環境における真菌学的検討, 日本胸部疾患学会雑誌, 26(9), 950-956, 1988.

10)長谷川兼一, 石山智, 大澤元毅, 柳宇, 鍵直樹, 東賢一, 高木理恵 : 実大試験家屋を用いた浸水シミュレーションによる床下湿気性状の長期測定, 日本建築学会技術報告集, 21(49), 1117-1120, 2015.

11)新井英夫 : 津波水損写真: カビ被害への対策, 日本写真学会誌, 76(1), 8-10, 2013.

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