カビの教科書

約900名のカビリスク診断でわかった|2026年夏に注意すべきサインと対策

穂苅 英樹

監修者穂苅 英樹

ハーツリッチ株式会社 代表取締役社長 一般社団法人日本建築防黴協会専務理事


じめじめとした季節が近づくと、毎年多くのご相談をいただくのが「お部屋のカビ」です。

そして現場でよくお聞きするのが、「気づいたときには、もう広がっていた」というお声ではないでしょうか。

実は、この“手遅れ感”には明確な理由があります。カビは、目に見えるサインが出た時点で、すでに住まいのなかに「出やすい条件」が積み重なっているからです。

私たちハーツリッチは、これまで累計カビ原因調査10,000件以上、カビ除去6,015件以上に携わってきました。その知見を活かし、現在は慶應義塾大学大学院と共同で、建物のカビリスクを可視化する「カビリスク予測システム(MRPS)」の研究を進めています。

その一環として、2025年11月〜2026年7月にお問い合わせいただいたお客様、約900名(909件)に簡易診断を実施しました。

本記事では、その診断結果からわかった「カビが出やすい住まいに共通するサイン」と、湿気が最も高まる2026年の夏に向けて気をつけたいポイントを、実際のデータとあわせて解説します。

【約900名の診断でわかった「注意すべきサイン」】
・半数以上(58%)が、すでにカビを目視している
・最も多いサインは「カーテンの黒いポツポツ」「24時間換気の停止」
・リスクと最も連動していたのは「壁面の濡れ」
・当てはまるサインが重なるほど、リスクは上がる
・賃貸・集合住宅では、換気と湿度管理がとくに重要

一つずつ、データとあわせて解説してまいります。

1. 診断の全体像 ― 約3人に1人が「対策をおすすめしたい」状態

まず、約900名の診断結果を評価(グレード)別に見てみましょう。多くの方が B〜C に集中していました。「いますぐ深刻ではないが、条件が重なれば一気に進む」ゾーンです。リスクスコアの中央値は 34 でした。

評価割合目安
A(良好)約4%現状はリスクが低い
B約63%標準的だが油断は禁物
C約24%注意が必要
D約9%対策をおすすめしたい
E約1%早めの相談を推奨

注目したいのは、C以下(注意〜早期相談)が合わせて約34%にのぼること。つまり、約3人に1人は、なんらかの対策をおすすめしたい状態でした。

さらに、目視でのカビの有無を尋ねたところ、次のような結果になりました。

【「すでにカビが見える」と回答した方】
・はい … 約58%(半数以上)
・いいえ … 約23%
・わからない … 約16%
診断を受けた方の半数以上が、すでに何らかのカビのサインに気づいている状態でした。

2. とくに多かった「危険サイン」ワースト7

診断では、住環境や生活習慣に関する10項目をチェックします。約460名の回答を集計したところ、多くの方が当てはまっていたのは次のサインでした。

順位チェック項目該当者
1カーテン・レースに黒いポツポツ状の汚れが見られる177名
224時間換気を停止している175名
3紙類に茶色い斑点状の跡が残っている100名
4除湿機のタンクがすぐ満水になる85名
5新築時・過去にカビトラブルがあった83名
6壁面が濡れていることが多い81名
7加湿器を使用している76名

とくに、「カーテンの黒いポツポツ」と「24時間換気の停止」が突出していました。前者はカビそのものの初期サインであることが多く、後者は湿気を室内にこもらせる代表的な生活習慣です。いずれも、多くのご家庭に共通する“見落としがちなカビの温床”といえます。

3. リスクスコアが「高く出やすかった」サイン

ここで注意したいのは、該当者が多いことと、リスクが高いことは別問題だという点です。

なぜなら、生活習慣として多くの方が行っていても、実際のリスクにはあまり影響しないサインもあれば、該当者は少なくてもリスクを大きく押し上げるサインもあるからです。

そこで、各サインに当てはまった方のリスクスコアが、全体平均(約36)と比べてどれだけ高かったかを見てみました。

チェック項目平均との差リスク傾向
壁面が濡れていることが多い+4.9pt最も高い
カーテン・レースに黒いポツポツ状の汚れ+2.6pt高い
除湿機のタンクがすぐ満水になる+2.1pt高い
24時間換気を停止している+1.9ptやや高い
紙類に茶色い斑点状の跡+1.8ptやや高い

もっともリスクと強く連動していたのは、「壁面が濡れていることが多い」でした。結露や水まわりのトラブルなど、“水分そのもの”に直結するサインが、やはり一段高いリスクにつながっています。

また、「カーテンの黒いポツポツ」は、該当者が最多でありながら、リスクも高めという、まさに要注意の代表格でした。

※「平均との差(+pt)」は、そのサインに当てはまった方のリスクスコアが、全体平均(約36)からどれだけ高かったかを示す比較値です。数値は自己申告にもとづく傾向であり、原因を断定するものではありません。

4. サインは「重なるほど」危険

今回のデータで、もっともわかりやすかった傾向があります。それは、当てはまるサインの数が増えるほど、リスクスコアが上がるということです。

当てはまったサインの数平均リスクスコア
1個34.7
2個35.6
3個37.2
4個以上40.0

きれいな右肩上がりになっており、心当たりが3つ、4つと重なってきたら要注意という目安になります。「ひとつくらいなら…」と油断せず、複数重なった時点で早めに手を打つことが、この夏を乗り切るコツです。

5. お住まいのタイプ別の傾向

参考までに、建物の種類別に平均リスクスコアを見てみると、次のような差が出ました。

お住まいのタイプ平均リスクスコア傾向
アパート43.0△ 要注意
マンション37.3◯ 注意
戸建て26.5◎ 比較的低い

アパートにお住まいの方のスコアが高めに出る傾向がありました。気密性や間取り、通気の取りにくさなど、複数の要因が考えられます。集合住宅・賃貸住宅にお住まいの方は、とくに換気と湿度管理を意識したいところです。

6. 2026年夏、気をつけたい対策ポイント

ここまでの結果をふまえると、この夏カビに悩まされやすい住まいと、そうでない住まいの差は、次のような点にあらわれます。

◎ カビに強い住まい△ カビが出やすい住まい
・24時間換気を常に動かしている
・窓、カーテンの結露や汚れを早めにケア
・室内湿度を60%以下に保っている
・気になるサインが出たら早めに相談する
・換気を止めがち、空気がこもりやすい
・黒ポツや結露を「そのうち」と放置
・除湿機がすぐ満水になるほど多湿
・過去のカビを対処しきれていない

以上をふまえ、今回の診断で「多かった/リスクと連動していた」項目に対応する、7つの実践ポイントにまとめました。

対策ポイントひとことアドバイス
1. 24時間換気は止めない最頻サインのひとつ。電気代や音が気になっても、湿気を逃がす基本の仕組みです。夏こそ動かし続けましょう。
2. 窓・カーテンの「黒ポツ」を見逃さない最多かつ高リスク寄りのサイン。早めに拭き取り、発生源となる窓・サッシの結露もあわせてケアを。
3. 壁面の濡れ・結露を放置しないもっともリスクと連動していた項目。拭いても繰り返す場合は、漏水や断熱の問題が隠れていることもあります。
4. 除湿機がすぐ満水=多湿のサイン空気中の水分が多い証拠。除湿機やエアコンの除湿を使い、室内湿度は60%以下を目安に。
5. 紙・本・段ボールの「茶色い斑点」に注意カビの初期サインが出やすい場所。押し入れやクローゼットの紙類は、定期的に風を通しましょう。
6. 「過去にカビが出た場所」は再発しやすい一度発生した箇所は環境的にも出やすいため、今年は重点的にチェックを。
7. サインが重なったら早めに専門診断を心当たりが3つ・4つと重なるほどリスクは上がります。「まだ大丈夫」と思ううちの相談が、被害を最小限に抑える近道です。

7. まとめ

約900名のカビリスク簡易診断(MRPS)から見えてきた傾向を、あらためて整理します。

【約900名の診断からわかったこと】
・半数以上(58%)が、すでにカビのサインに気づいている
・最も多いサインは「カーテンの黒ポツ」「24時間換気の停止」
・リスクと最も連動していたのは「壁面の濡れ」
・サインが重なるほど、リスクは着実に上がる
・賃貸・集合住宅では、換気と湿度管理がとくに重要

カビは、条件がそろえば一気に広がります。逆に言えば、湿気を逃がし・水分を残さず・早めに気づくという基本を押さえれば、十分に防げるものでもあります。

とはいえ、拭いても再発する、原因がわからないという場合は、表面のカビの裏で漏水や断熱など、建物側の問題が進行していることも少なくありません。

私たちハーツリッチは、カビ原因調査10,000件以上、カビ除去6,015件以上の経験をもとに、原因の特定から再発防止まで一貫して対応しています。この夏、気になるサインがひとつでもあれば、どうぞお気軽にご相談ください。まずは、10秒でできる無料のカビリスク診断からお試しいただけます。

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※本記事は、2025年11月〜2026年7月にカビリスク簡易診断(MRPS)へご回答いただいた約900名分のデータをもとに作成しています。数値は自己申告にもとづく集計であり、原因を断定するものではなく傾向を示すものです。

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