住宅のカビ発生に関する相談を受け、ハーツリッチ株式会社(ハーツクリーン事業部)にて、床下・キッチン周辺を対象とした除カビ施工を行いました。
噴霧器および刷毛を用いた液剤処理を実施し、施工後には菌数測定によって環境改善の状況を確認しています。
本記事では、当該施工における対応内容と結果について、実際の事例としてまとめています。
1. 施工の概要と実施内容

本施工は、住宅内の床下・キッチン引き出し・洗面下において発生していたカビを除去し、室内環境の改善を図ることを目的として実施しました。
施工に先立ち、各対象箇所において付着菌検査を実施し、施工前の汚染状況を数値として把握しています。
〈施工前の付着菌数(調査時)〉
- キッチン引き出し:202,305 CFU / 10cm²
- 洗面下:4,596 CFU / 10cm²
- 床下:98,702 CFU / 10cm²
一般的に500 CFU / 10cm² 以下が清潔とされる基準であることから、いずれの箇所も基準を大きく上回る状態であったことが分かります。
当日は、各対象箇所の状態を確認したうえで、噴霧器や刷毛を使用し、液剤による除カビ作業を行いました。
また、床下については、施工前と施工後に写真を撮影し、作業記録として残しました。
2. 床下除カビ施工のBefore / After
床下の施工前と施工後の状態は、以下の写真のとおりです。



このように、施工前に確認されていたカビの付着が見られなくなり、床下の状態は見た目にも変化したことが確認できます。
3. 施工結果(付着菌検査による評価)
施工による効果を数値で確認するため、除カビ施工の前後で付着菌検査を実施しました。
この検査により、見た目だけでは把握しにくい汚染状況についても、客観的な評価が可能となります。
3-1. 付着菌検査の概要および判定基準
付着菌検査は、表面(10cm²)に付着している菌の量を CFU(コロニー形成単位)として測定する検査方法です。
施工前後の菌数を比較することで、環境の改善状況を客観的に把握することが可能です。
付着菌数の判定は、以下の基準に基づいて行っています。
| 菌数(CFU/10cm²) | 判定 |
|---|---|
| 1〜500 | 清潔 |
| 501〜3,000 | 注意 |
| 3,001以上 | 汚染 |
3-2. 付着菌検査の測定結果
除カビ施工の前後に実施した付着菌検査の測定結果は、以下のとおりです。
| 測定箇所 | 施工前(調査時) | 施工後 |
|---|---|---|
| キッチン引き出し | 202,305 CFU / 10cm² | 273 CFU / 10cm² |
| 洗面下 | 4,596 CFU / 10cm² | 30 CFU / 10cm² |
| 床下 | 98,702 CFU / 10cm² | 208 CFU / 10cm² |
施工前は高い付着菌数が確認されていましたが、施工後はいずれも「清潔」判定に該当する数値となりました。
これにより、除カビ施工によって床下および水回り周辺の付着菌量が低減したことが、数値として確認されています。
4. 今回の現場におけるカビ発生要因の整理

今回の現場では、床下内部において空気の流れがほとんどなく、湿気が滞留しやすい状態であったことが確認されました。
このような通気不良の環境では、床下に湿気がこもりやすく、カビが発生・定着しやすい条件が形成されます。
また、キッチンの引き出しや洗面下についても、配管まわりや設備内部に湿気がたまりやすい構造であり、カビが発生しやすい状況であったと考えられます。
これらの環境要因が重なったことが、今回のカビ発生につながったものと推測されます。
5. 今後の再発防止に向けた対応の考え方
今回の除カビ施工により、床下および水回り周辺の状態は改善されました。
一方で、環境条件がそろうと再発の可能性があることから、以下の施工後の維持管理に関する考え方をお客様にお伝えしました。
5-1. 床下環境の通気性確保
床下は構造上、湿気がこもりやすい空間であるため、空気が滞留しない環境づくりが重要です。
換気口の増設や通気経路の見直しなどにより、床下内部の空気が循環しやすい状態を保つことで、再発リスクの低減が期待されます。
5-2. キッチン設備内部への継続的な配慮

今回の施工は、手の届く範囲での除カビ対応となりました。
キッチン設備の構造上、内部の一部には作業が及ばない箇所もあるため、将来的に設備の交換や解体を行う際には、内部の状態確認および再度の除カビ処理を検討することが望まれます。
5-3. 定期的な点検と早期対応
カビの再発は初期段階では目立ちにくいため、定期的な点検を行い、異変が見られた場合には早めに対応することが重要です。
今回のように、数値による確認を併用することで、状態を客観的に把握しやすくなります。
6. まとめ
今回の住宅では、床下およびキッチンまわりを対象に除カビ施工を実施しました。
また、施工前後の付着菌検査によって、数値と見た目の両面から環境改善が確認されています。
良好な状態を維持するためには、床下の通気状況や設備内部の構造など、再発につながりやすい環境要因を踏まえた対応が重要となります。
カビ対策は、除去作業に加え、建物の構造や湿気環境を踏まえた対応と、施工後の状態を継続的に確認していくことが重要です。
ハーツリッチ株式会社(ハーツクリーン事業部)では、現場ごとの状況に応じた施工方法の選定と、数値に基づく評価を重視したカビ対策を行っています。
カビの発生や再発に関する不安がある場合は、まずは一度弊社までご相談ください。
