住宅では、構造上の通気条件や温度差によって湿気が滞留しやすくなり、その結果としてカビが発生し、建材や衛生環境に影響を及ぼすことがあります。
今回、住宅全体でカビの発生が確認されたとのご相談を受け、ハーツリッチ株式会社が床下・洋室・浴室など複数箇所にわたる除カビ・防カビ施工を実施しました。
1. 施工の目的と方針

今回の施工対象は熊本県の住宅です。
熊本県は年平均気温がおよそ17℃、年間降水量が約2,000mm、平均相対湿度が約70%と高湿な地域で、特に梅雨や台風期には湿度が上昇しやすい傾向があります。
(参考: 熊本地方気象台|熊本の気候、気象庁|熊本 平年値(1991〜2020年))
このような環境では、通気や温度差の影響で結露が生じやすく、カビの発生リスクが高まります。
そこで本施工では、床下・水まわり・居室など建物全体の除カビ・防カビ処理を行い、湿気や結露、胞子拡散といった要因を包括的に抑制しました。
これにより、再発リスクを低減し、長期的に安定した衛生環境を維持できる状態を実現しています。
2. 現場での施工状況
住宅内での作業は、床下から居室・収納まで多岐にわたりました。
ここでは、実際の施工風景の一部を紹介します。
2-1. 床下の施工

床下では、湿気の影響によりカビが広範囲に発生していました。
作業員が床下に入り込み、木部や基礎面のカビを専用の除カビ剤で丁寧に洗浄し、防カビコーティングを施しました。
2-2. 玄関・リビングの施工

玄関やリビングでは、壁や床だけでなく、家具や観葉植物にもカビの付着が見られました。
除カビ作業を行って汚染箇所のカビを取り除き、仕上げに防カビ剤を均一に塗布して、室内全体の清潔性を確保しました。
2-3. キッチン・パントリーの施工

2-4. 洋室の施工

壁面および家具周辺に発生していたカビを除去し、防カビコーティングを実施しました。
収納内の物品をすべて取り出し、内部まで清掃と仕上げ処理を行いました。
2-5. 屋内保管物の除カビ・防カビ処理

屋内に保管されていたキャンプ用品にはカビの付着が見られました。
素材に合わせて洗浄と防カビ処理を行い、衛生状態を回復させました。
3. 施工前後の比較【Before/After】
カビの除去と防カビ処理によって、視覚的にも大きな改善が確認されました。
ここでは、代表的な箇所の施工前後の様子を紹介します。
3-1. 主寝室照明のBefore/After
天井付近の湿気の滞留により、照明器具にカビの付着が確認されました。
表面の除カビを行い、防カビコーティングによって清潔な状態を回復しました。

3-2. ベッドフレームのBefore/After
ベッドフレームの裏側に白カビの発生が確認されました。
専用の除カビ剤を用いて清掃を行い、防カビコーティングによって再発を防止しました。

3-3. 浴室のBefore/After
湿度が高い環境で発生する頑固な黒カビが、浴室内で確認されました。
専用の除カビ剤で丁寧に洗浄し、防カビコーティングを施して美観と衛生状態を回復しました。

4. 施工後の検査結果
施工後の環境を客観的に確認するため、菌数の測定を実施しました。
定量的なデータにより、除カビおよび防カビ処理の効果を科学的に検証しています。
4-1. 菌数測定の判定基準
菌数は「CFU(コロニー形成単位)」という単位で表され、数値が高いほど微生物の存在量が多いことを示します。
一般的な評価基準は以下のとおりです。
| 菌数目安(表面) | 評価 |
|---|---|
| 0〜500CFU/100cm² | 清潔 |
| 501〜3,000CFU/100cm² | 注意 |
| 3,001CFU/100cm²〜 | 汚染 |
500CFU/100cm²を基準とし、それより少ない場合は「清潔」とされます。
この値を超えると、微生物の増殖リスクが高まると判断されます。
4-2. 測定結果と評価
施工後の菌数検査で、床下および1階を広範囲に測定した結果、いずれも非常に清浄な数値が確認されました。


測定値はすべての箇所で0〜16CFU/100cm²であり、基準値の500CFU/100cm²を大きく下回っています。
この結果から、施工後は家庭環境として非常に低水準の菌数を維持していると評価されました。
5. 今後の維持管理ポイント
施工後の清潔な状態を長期間維持するためには、日常的な湿度管理と換気が重要です。
カビは湿度60%を超える環境で活性化しやすいため、建物内の空気循環を整え、再発の芽を早期に抑えることがポイントとなります。
- 定期的な換気と空気循環: 閉め切った状態を避け、季節に応じて換気やサーキュレーターを活用し、室内の空気を入れ替える。
- 家具裏や収納部の通気確保・点検清掃: 壁との隙間を確保し、湿気やホコリをためないよう定期的に確認する。
- 適切な湿度管理: 湿度計を設置し、必要に応じて除湿機やエアコンのドライ運転を利用して、室内湿度をおおむね60%以下に保つ。
これらの対策を継続することで、施工後の清潔状態を安定して維持でき、カビの再発リスクを最小限に抑えることが可能です。
6. 家のカビを根本から解決するには専門的な施工が必要

住宅に発生するカビは、単なる表面の汚れではなく、建物内部の湿度や通気の偏りなど、複合的な要因によって発生します。
市販の洗浄剤や一時的な清掃では、表面のカビを落とせても根の部分や微細な胞子までは除去できず、再発を繰り返すケースが多く見られます。
根本的な解決には、建物の構造や素材を正確に把握し、環境に応じた施工を行う専門的な対応が欠かせません。
専門業者による調査では、湿度・含水率・通気状態などを数値的に把握したうえで、原因を明確にし、再発を防ぐための処理計画を立てます。
住宅内のカビや臭いでお困りの場合は、早めに専門業者へ相談し、状況に合った診断と対策を行うことをおすすめします。
7. まとめ
今回の住宅では、床下から寝室・浴室までの除カビ・防カビ施工を実施し、すべての測定箇所で0〜16CFU/100cm²という極めて低い菌数が確認されました。
この結果は清潔基準(500CFU/100cm²)を大きく下回り、施工後の環境が安定した衛生状態に保たれていることを示しています。
ハーツリッチ株式会社(ハーツクリーン事業部)では、建物の構造・素材・環境条件を踏まえた最適な液剤と施工方法により、長期的に安全で快適な住環境を提供しています。
カビの問題は「発生後の除去」だけでなく、「再発を防ぐ環境づくり」が重要です。
今後も、数値に基づく検査と現場経験をもとに、確実な再発抑制と衛生環境の維持を徹底してまいります。
