横浜市は一年を通して湿度が高く、特に梅雨や秋雨の時期には室内に湿気がこもりやすい地域です。
こうした環境では、住宅のわずかな通気の偏りがカビの発生につながることがあります。
今回、住宅全体でカビの発生が確認されたとのご相談を受け、弊社が建物全体の除カビ・防カビ施工を実施しました。
1. 施工の目的と方針

本件では、建物内で確認されたカビを根本から除去し、再発を防ぐことを目的としました。
そのため、以下の方針に基づき、長期的に衛生的な環境を維持できるよう施工を計画しました。
- 建物全体を対象とした総合的なカビ対策
- 除カビと防カビの組み合わせによる根本的な改善
- 菌数測定による効果の「見える化」
2. 施工の流れと実施内容
作業は、床下・1階床・1階天井・2階床の各部位を対象に実施しました。
建物の構造や材質に合わせて段階的に進め、特に湿気がこもりやすい箇所を中心に、専用液剤による除カビ・防カビ処理を行っています。
2-1. 除カビ・防カビ施工の実施

現場では、安全対策として防毒マスクを着用し、専用の噴霧器を用いて除カビ剤を施工しました。
特に、床下や天井裏など通気が限られた空間では、液剤が均一に行き渡るよう、噴霧角度や圧力を細かく調整しながら作業を進行。
木部や基礎部分に付着したカビを除去したのち、防カビコーティングを施工し、建物全体のカビ再発リスクを抑制しました。
2-2. 施工後の菌数測定と効果確認
施工完了後は、微生物蛍光画像測定器を使用して、各部位の菌数を測定。
床下・1階床・1階天井・2階床の各ポイントで実施しています。

このように、対象面を拭き取り、採取したサンプルを機器で分析することで、施工後の清浄度を数値的に確認します。
この工程により、除カビ・防カビ施工の効果を客観的に検証することが可能です。
3. 施工後の菌数測定結果
床下・1階床・1階天井・2階床の4箇所で菌数測定を実施し、施工前後の菌数をCFU(コロニー形成単位)/100cm²で比較しています。
以下は、一般的な菌数評価の基準です。
| 菌数目安(表面) | 評価 |
|---|---|
| 0〜500CFU/100cm² | 清潔 |
| 501〜3,000CFU/100cm² | 注意 |
| 3,001CFU/100cm²〜 | 汚染 |
菌数が高いほど、表面に存在する微生物量が多いことを示しています。
3-1. 床下の菌数測定結果

- 施工前:22,567 CFU/100cm²(汚染)
- 施工後:75 CFU/100cm²(清潔)
湿気の影響を受けやすい床下では、施工前に高い菌数が確認されていました。
除カビ・防カビ処理の結果、約99.6%の菌数低下を達成。
木部や基礎部分の衛生状態が大幅に改善され、施工後は清潔基準を維持しています。
3-2. 1階床の菌数測定結果

- 施工前:5,584 CFU/100cm²(汚染)
- 施工後:30 CFU/100cm²(清潔)
4箇所の中では比較的数値が低いものの、施工前は依然として汚染レベルに該当していました。
施工後に99.5%以上の菌数減少を確認。
液剤の浸透と仕上げ処理により、床下と同等の高い除菌効果が得られました。
3-3. 1階天井の菌数測定結果

- 施工前:18,124 CFU/100cm²(汚染)
- 施工後:49 CFU/100cm²(清潔)
結露や通気の影響を受けやすい天井部分では、施工後に約99.7%の菌数低下を確認。
防カビ仕上げによって、カビの再発要因が大幅に抑制されています。
3-4. 2階床の菌数測定結果

- 施工前:37,488 CFU/100cm²(汚染)
- 施工後:35 CFU/100cm²(清潔)
4箇所の中で最も高い菌数が確認された箇所でしたが、施工後には約99.9%の減少を達成。
表面洗浄と防カビコーティングの効果により、基準値を大幅に下回る清潔状態を実現しました。
3-5. 総合結果と考察
4箇所すべてで、施工前は「汚染」レベルに該当していた菌数が、施工後はいずれも「清潔」基準(500 CFU/100cm²以下)まで低下しました。
除カビと防カビを組み合わせた施工により、除菌・抑制効果が科学的に実証され、建物全体で衛生環境が安定していることが確認されました。
4. 今後の維持管理と再発防止のポイント

施工後の清潔な状態を保つには、湿度管理と通気の確保が欠かせません。
以下を心がけることで、再発を防ぎやすくなります。
- 湿度は40〜60%を維持:除湿機やエアコンのドライ運転を活用。
- 定期的な換気:晴れた日に窓を開け、サーキュレーターで空気を循環。
- 家具の通気確保:壁から少し離して設置し、裏側も定期的に清掃。
- 床下・天井裏の点検:半年〜1年に一度、結露やカビの兆候を確認。
これらを習慣にすることで、施工後の衛生的な環境を長く維持できます。
5. 家のカビを根本から解決するには専門的な施工が重要

住宅のカビは、湿度や通気の偏りなど複数の要因が重なって発生します。
市販の洗剤では表面しか落とせず、根の部分が残って再発することもあります。
建物の構造や環境に合わせて原因を特定し、最適な方法で処理を行う専門的な施工が根本的な解決には欠かせません。
カビやにおいでお困りの際は、早めに専門業者へ相談することをおすすめします。
6. まとめ
今回の住宅では、床下から天井まで除カビ・防カビ施工を実施し、施工前に「汚染」レベルだった菌数が、施工後はいずれも「清潔」基準(500 CFU/100cm²以下)を大きく下回りました。
|
測定箇所 |
施工前(CFU/100cm²) |
施工後(CFU/100cm²) |
|
床下 |
22,567(汚染) |
75(清潔) |
|
1階床 |
5,584(汚染) |
30(清潔) |
|
1階天井 |
18,124(汚染) |
49(清潔) |
|
2階床 |
37,488(汚染) |
35(清潔) |
この結果から、施工によって建物全体の衛生環境が大幅に改善されたことが確認されました。
ハーツリッチ株式会社(ハーツクリーン事業部)は、建物の構造や環境に合わせた最適な施工で、安全で快適な住環境を提供しています。
今後も、確かな技術と数値に基づく品質管理で、より良い住まいづくりに取り組んでまいります。
