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ペットの病気はカビが原因!?ヒトにも移るその正体と対策法について

皆さんはペットを飼育されていますか?
一昔前であれば、ペットは犬や猫、鳥などがその多くを占めておりましたが、ペットの多様化にともないその種類は激増し、現在ではフェレットやハリネズミなど数多くの動物がペットとして飼育されています。しかしこれらペットは一昔前まで室外で飼育されている場合が大半でした。犬であれば番犬として、猫であればネズミ捕り取りとして古くから親しまれてきました。しかし近年の住宅事情、ヘルスサポートとしての一面、動物を家族の一員として捉え飼育する考えへの変化などにより(これらのペットをコンパニオンアニマルと言います。)、室外でなく室内でペットを飼育されるケースが増えました。

これによりペットは以前よりも人と生活空間を共有しやすくなり、密着する時間も増えました。しかしペットとヒトとの距離が近づいた事によりある問題が発生しています。それは「ペットから人へと移る病気」です。そしてその病気の一部にはカビが原因となっているものがあり、ペットのみならず飼い主、そして飼い主の家族にもその魔の手が及ぶ可能性があるということです。そこで今回はペットのみならず人にも忍び寄るカビの危険性とその対処法についてお伝えしていきます。

1. そもそもペットから人へと移るカビ由来の病気とは?


そもそも皆さんはヒトからペットへと移る病気がある事をご存知でしょうか?これらは動物由来感染症(ズーノーシス)と呼ばれ、世界保健機構(WHO)によると、それらの数は200種類を超えるとされております(1そしてその中には真菌、つまりはカビが原因とされる病気が多く見つかっております。増加の背景には医学の発展に伴う病気の認知、高齢の動物も延命可能となった事なども背景にありますが、それ以上に本来自国にいなかったペットを輸入した際に、病原菌まで輸入してしまい、感染拡大してしまった背景などがあるとされております。それではそもそもなぜペットはカビ由来の病気にかかりやすいのでしょうか。

2. なぜペットはカビ由来の病気になりやすく、人にも移りやすいのか?


それではなぜ犬や猫といったペットがカビ由来の病気にかかりやすいのなどでしょうか。まず1つに家主が普段掃除を行わないような狭く、空気の滞留した場所などに好んで入ることが挙げられます。ペットを飼っている方はよくご存じかと思いますが、ペットの多く(特に猫やハムスターといった齧歯類)は薄暗い場所などを好んで入り込んだりします。これらの場所は空気がこもりやすい事から、湿度は高く、温度も変化しにくいです。またペットの毛なども溜まりやすく、カビにとって最高の環境が整っています。そんな所にペットが入り込んだらどうなるでしょうか。まず侵入すれば空気が動くのでカビの胞子が飛びます。これによりその他の箇所にカビが広がる危険性をもたらします。また舞い上がった胞子を吸い込めばペットとのみならず、同じ場所で生活する人も吸引します。つまり呼吸器へアレルゲンを取り込むきっかけを作ってしまします。さらに場合によってはカビの発生面に体をこすりつけたり、舐めてしまったりすることでペットの体に付着してしまう可能性もあります。これによりペットは皮膚に原因菌を付着させることで、自身が感染するきっかけを作ってしまします。そしてカビの胞子などが付着した状態で飼い主に近づけば、飼い主へカビの胞子を運んでしまう可能性も想定されます。これは外でペットと遊んだ場合でも同じことが言えます。家カビも元は外から来ます。よって外には様々な所にカビが存在します。人であれば砂遊びなどをしない限りそれらとの距離は遠く、また接触面である足元は靴がカバーしており、直接的に触れる機会は少ないです。仮についたとしても衣類は洗濯され、体の汚れはお風呂で洗い流されます。しかしペットは手足を用いて穴を掘り、その際に飛散したカビの胞子などは、全て体に付着します。もちろん外で遊んだ後に清潔に保てば問題の無いことですが、落とし切らない状態で免疫能力の下がっている方へと近づいたりすると、家族の一員として可愛がってきたペットが、病気の原因物質を運んでしまう可能性だってあり得るのです。これが犬や猫に影響が出やすい理由であり、そして可愛いペットたちが媒体となり私たちにも感染する可能性がある理由です。よって家で室内動物を飼っているご家庭は、ペットの健康の為、そしてご自身の健康の為にも、しっかりと掃除を行い、場合によってはしっかりとしたカビ対策を行う事が重要であると言えます。それではカビ由来の病気としてどのような病気が報告されているのか。

3. 具体的にどの様なカビ由来の病気があるのか?

それでは具体的にどの様な病気が発見されているのか、どの様に人に感染するのか、見つかっている例なども併せて報告します。

3-1 皮膚糸状菌症


写真引用元:えなむら動物クリニック オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/naemura-ac20120418/entry-11580343319.html

ペットから人へと感染する病気のその多くがこの皮膚糸状菌症です。原因となる種類は非常に多く、また現在飼育されているほぼ全てのペットが感染、発症する可能性のある病気となります。感染すると皮膚の脱毛や紅班、などといった皮疹が主な症状として挙げられます。人に感染するとペット同様に皮膚に異常をきたし、発疹や痒みといった皮疹が認められます。
この病気の非常に恐ろしい所は、その感染能力にあります。感染経路としては接触感染が主であり、犬や猫は勿論の事、近年ではより密に接触する機会が多い、ハムスターやモルモット、ウサギ、ハリネズミからの報告例があります(2(3特にMicrosporum cainsの感染能力は非常に高く、抜け落ちた毛に付着した原因物質には、一年以上も感染能力が残り、完治したとしても環境が改善されなければ再発する危険性が報告されております(4またペットの方が無症状であったとしても、飼い主が感染するケースが報告されております。そしてその症状はペットに比べ強い炎症症状が出るケースがある事が報告されております(5。一方でTrichophyton rubrumにおきましては、飼い主からペットへの感染が懸念される報告もあります。一度完治しても再発するリスクが非常に高い病気です。

3-2 カンジタ症


写真引用元:WHAT IS CANDIDA ALBICANS? DIETARY REGIMEN FOR HEALING AN OVERGROWTH
https://www.superfoodevolution.com/candida.html

犬や猫のみならず鳥類や牛など多くの動物において発見されている病気になります。人を含め、多くの動物が保菌しております。口内や皮膚、生殖器、場合によっては呼吸器への感染が認められ、免疫能力の低下時に発症します。抗生物質などの使用などに伴い発症することもあるそうです。つまりは日和見感染症※に分類される病気となります。

日和見感染症:普段は保菌していても症状として表れないが、体調不良などに伴い引き起こす感染症のこと。

発症すると感染部に肥厚や潰瘍がみられ、それに伴う食欲不振、下痢、体重減少などが起こります。全身への発症は、最悪の場合死亡する場合もある恐ろしい病気です。人への感染経路としては接触感染がその多くを占め、発症時にはかゆみや湿疹などが症状として現れます。

3-3 クリプトコックス症


犬や猫、最近ではコアラなどから発見されている病気になります。鳥類は保菌しますが無症状です。皮膚や呼吸器への感染が認められ、カンジタ症同様に免疫能力が低下している動物での発症例が多いです。発症すると皮膚であれば肥厚や潰瘍、呼吸器であれば鼻水やくしゃみといった人の風邪に似た症状が認められます。人においては軽度であればせきや胸痛、発疹、発熱などですが、重度になりますと性格変化や意識症状、脳髄膜炎となります。AIDS患者における主な死亡原因の1つともされており、非常に恐ろしい病気です5)6)
感染経路としては鳥類の糞が注目されております。これは鳥類の糞に含まれる窒素成分が、原因となるCryptococcus neoformasの増殖を促進する事が発見されたことが背景に挙げられ、近年では乾燥した糞が、風に吹かれた際に動物に取り込まれることで感染が起こっているのではないかとされております5)7)なおハトの糞中のC. neoformasにおいては2年間にわたり感染力を保つとされております8)よって免疫力の低い老人や幼児、老化したペットなどは鳥の糞などが多い場所には行かないといった対策が必要です。

3-4 トリコスポロン症


画像引用元:Alchetron Trichosporon
https://alchetron.com/Trichosporon

ペットにおいてはあまり発症例が報告されない病気ですが、猫において発症が認められ、血尿や化膿性肉芽腫性炎症などが報告されております9)。人においては著しく免疫機能の低下した方にのみ発症するものとされております。

3-4-1 夏型過敏性肺臓炎

こちらはトリコスポロン症の原因となるトリコスポロン属の胞子を吸引する事によって起こるアレルギー性疾患です症状としては犬や猫であればくしゃみや目の充血、人であれば咳やくしゃみ、発熱、頭痛、重篤化すると呼吸困難を引き起こす事がしられております。
実はこの病気が非常に厄介です。と言いますのもトリコスポロン属は日本のような高温多湿の環境を好むことから、住宅環境に繁茂しやすいことが知られております。専門業者の知見から言わせて頂きますと、しっかりとしたカビ対策の出来ていない住宅ですとかなりの確率で家具の裏や部屋の四隅に発生しております。そしてそんな狭く湿った箇所はペットが好んで入り込んだりします。つまりトリコスポロン属の発生を放置しておくと、ペットなどがそれらの繁茂した場所に侵入した際に胞子を舞い上げ、間接的に人がアレルギー性疾患を引き起こしてしまう危険性があります。よって予防としてはカビの対策を徹底し、その上でペットの毛や鳥類の糞など、カビの発生を促進するものがない環境を作る事が重要です。

3-5 スポロトリコーシス


写真引用元:Flowers, Fungi & Felines: An Unusual Epidemic in Brazil
http://blogs.discovermagazine.com/bodyhorrors/2014/10/24/sporothrix-felines-brazil/#.W8l582j7TD4

国内では猫のみからの報告ですが、欧米では馬、犬、ラバ、牛、ニワトリ、豚、ラクダ、キツネ、アルマジロ、イルカなど多くの生物から発見されております10)11)12)発症すると猫であれば難治性の潰瘍病変が認められます。人においても猫と同じように潰瘍※病変を起こし、AIDS患者などの免疫不全状態であると全身に病原体が侵入すると、呼吸困難や頭痛、意識障害などを引き起こします。
潰瘍:皮膚などの表面組織が剥離・壊死し、組織が欠損した状態
感染経路としては感染した動物が病変部位を舐めたり、こすったりした手で人に触れることによって起こる接触感染が多いです。また原因となるSporothrix schenkiiが土壌などに生息する事から、ペットと共に外で遊んで噛まれたりなどして怪我をした子児等に感染するケースが知られております。よって予防としては外部からペットが帰って来た際には、室内に入れる前に一度綺麗に汚れを洗い流す。ペットへ症状が現れている際には、早期に病院へ連れてゆき二次感染を防ぐといった方法が重要です。

4. 予防・発症後にどの様な対策が効果的なのか?

それでは最後にどの様な対策がペット・飼い主をカビの恐怖から守る上で効果的なのかについてお話してゆきます。それではまず予防としてどの様な方法があるのかについてお話してゆきます。

・定期的な清掃とカビの発生しにくい環境づくり


病気に関するところでもたびたび記載しましたが、カビからペット・人を守る方法として最も大切なのは飼育環境の衛生管理の向上です。対策と致しましては定期的な掃除は勿論ですが、それ以上に持ち込んでしまったカビ、カビの胞子から守れる家を作ることが重要です。具体的には風通しの良い家づくりを心掛け、カビの胞子やペットの毛などが家具裏などに溜まりにくい配置、仮に溜まったとしても掃除しやすいように家具と壁との間隔をこぶし一個分空けるなどの工夫が必要です。また除湿を心掛け、侵入したカビの胞子が繁殖しにくい環境づくりを心がけましょう。また生えていないのであれば、部屋にカビの温床が出来にくくなる様に、専門業者によるカビ対策の施工を行ってもらう事も効果的です。専門の業者にお願いすれば、例えカビ・カビの胞子を持ち込んだとしても室内にて生えにくくなる様に、防カビコーティング作業を行ってくれる業者も存在します。病気になるリスクを下げる為にも、一度徹底的に行ってもらう事も重要です。そして何よりも室外でペットと遊んだ際には、外の汚れをペットから丁寧に落とし持ち込まないようにしましょう。特に猫などは様々な所を歩く自由な動物です。場合によっては外で数多くの菌を保有するネズミなどを取って遊んで帰ってくる可能性もあります。家族の為にも、そして可愛いペットの為にもしっかりとした対策を行いましょう。それでは既にペットが感染している場合、カビが室内に生えている場合にはどの様な対策をすべきなのかお話してゆきます。

・再発防止の為の室内清掃及びカビの除去・防止


既にペットが感染している場合にはすぐに最寄りの病院へと連れて行って下さい。家族や他のペットへの日和見感染症を防ぐためにも、直ぐに病院へ連れて行ってください。そしてペットや人が通院している間にしなければならないのが再発防止の為の作業です。病気で最も恐ろしいのが再発です。これはペットにおいても人においても共通です。カビ由来である場合、病院で完治したにもかかわらず、感染した毛や、糞、部屋に繁茂したカビ類が家にあり続けることにより、せっかく病院で直しても家に帰るとすぐに再発してしまうケースが多く報告されています。しかもその反応がアレルギー性であると、花粉症の様に前回よりも高い反応を示し、前回よりも酷くなるケースもあります。よって一度徹底的に感染要因をつぶす必要があります。
具体的にはまずは一度徹底的に掃除を行いましょう。この際感染源となるカビの胞子や毛、糞などを吸い込まないようにマスクを着用し、固く絞った雑巾での拭き掃除を行いましょう。間違っても掃除機などは使用しないで下さい。掃除機は大きなごみを集めることに対しては有効ですが、カビの胞子のような細かいものを集めるのには不向きであり、むしろ通気口からカビを部屋中に拡散させてしまう危険性もあります。そして掃除を行った上で、カビ対策の作業を行いましょう。目に見えて生えている所から、まだ目視では確認出来ていない所まで。しっかりと徹底的に除去を行いましょう。専門の業者にお願いすれば除去のみならず、防カビコーティング作業までしてくれる業者まで存在します。防カビコーティング作業まで行えば外部から再度侵入したとしても、家で繁茂する可能性は格段に低下します。ペットの健康、家族の健康の為にも、再発防止のためにしっかりと行ってもらいましょう。

いかがだったでしょうか。今回の記事をお読みになった方々はいかにカビがペットにとって危険であり、そしてその危険性は飼い主にも降り注ぐ危険性があるのかを理解して頂けたかと思います。どうかカビの病気を見つけた場合には早期対策を徹底し、被害が広がらないようにしてください。また掃除を小まめに行い、カビを見つけた際には拡大する前に早期対策を心掛けて下さい。カビへのリテラシーの向上が大切なペットと家族を守ります。

参考文献

1) 厚生労働省 動物由来感染症ハンドブック2018
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000155227.pdf

2) Takahashi Y, Haritani K, Sano A, Takizawa K, Fukushima K, Miyaji M, Nishimura K.: An isolate of Arthroderma benhamiae with Trichophyton mentagrophytes var. erinacei anamorph isolated from a four-toed hedgehog (Atelerix albiventris) in Japan, Nippon Ishinkin Gakkai Zasshi, 43(4), 249-255, 2002.

3) 加納塁 : 本邦での動物による皮膚真菌症の現状と今後の課題, Medical Mycology Journal, 53(1), 19-23, 2012.

4) 中村遊香, 渡辺晋一, 長谷川篤彦 : ヒトと動物に感染する皮膚真菌症, 日本医真菌学会雑誌, 40(1), 9-14, 1999.

5) 千葉隆司, 高橋由美, 上原さとみ : 東京都における動物由来感染症としての真菌検査と解析, 東京健安研セ年報, Ann. Rep. Tokyo Metr. Inst. Pub. Health, 67, 901-910, 2016.

6) NIID 国立感染症研究所 クリプトコッカス症の概要https://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-sp/2318-related-articles/related-articles-428/5993-dj4281.html

7) 中村遊香 : 皮膚科領域の真菌性人獣共通感染症, 日本医真菌学会雑誌, 47(2), 81-84, 2006.

8) 横浜市衛生研究所 クリプトコッカス症について http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease/cryptococcosis1.html

9) Sakamoto Y, Kano R, Nakamura Y, Watanabe S, Kamata H, Fukuda Y, Hasegawa A.: Case report. First isolation of Trichosporon domesticum from a cat, Mycoses, 44(11‐12), 518-520, 2001.

10) Burke M J.: Successful treatment of cutaneolymphatic sporotrichosis in a cat with ketoconazole and sodium iodide, J. Am. Anim. Hosp. Assoc, 19, 542-547, 1983.

11) SAITO K, KANO R, NAKAMURA Y, WATANABE S, HASEGAWA A.: Arthroderma benhamiae infection in a rabbit, Journal of Veterinary Medical Science, 63(8), 929-931, 2001.

12) Takahashi Y, Haritani K, Sano A, Takizawa K, Fukushima K, Miyaji M, Nishimura K.: An isolate of Arthroderma benhamiae with Trichophyton mentagrophytes var. erinacei anamorph isolated from a four-toed hedgehog (Atelerix albiventris) in Japan, Nippon Ishinkin Gakkai Zasshi, 43(4), 249-255, 2002.

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